生命保険の年金受取は二重課税?2010年最高裁判決で変わった相続税・所得税の仕組みと現行の計算方法

障子越しの柔らかな光が差す和室で、日本人の60代夫婦が座卓を囲み、穏やかに将来のお金について話し合う様子 相続税対策

公開日:2026年10月3日 / 最終確認日:2026年10月3日
監修:終活・相続専門チーム(DEN編集部)

「死亡保険金を年金で受け取ると、相続税と所得税の両方がかかる」
そんな話を聞いて、不安に思ったことはないでしょうか。

かつては実際に、同じ財産に二度課税される状態が長年続いていました。
この扱いは、2010年7月6日の最高裁判所の判決で「違法」と判断され、是正されています。

ただし、是正された今も、年金受取では2年目から所得税がかかります。
「二重課税はもうない」と「税金はかからない」は、同じ意味ではありません。

この記事では、生命保険を年金形式(分割)で受け取るときの税金を解説します。
判決の内容から現行の計算方法まで、順を追って見ていきましょう。

本記事で分かること
– 生命保険の年金受取で「二重課税」が問題になった理由
– 2010年7月6日の最高裁判決の内容と、その後の是正措置
– 現行制度の計算方法(初年度は非課税、2年目から階段状に課税)
– 一括受取と年金受取の税務比較表
– 年金受取を選んだときの確定申告・住民税の注意点
– 受取方法と、それを選んだ理由を家族に残す大切さ

【ご注意】本記事は2026年10月時点の法令・国税庁の公表情報に基づいています
記事内の計算例は、仕組みを理解するための簡略化したモデルです。実際の税額は、契約内容・年金の種類・相続税評価額・ほかの所得・扶養の状況などによって大きく異なります。具体的な判断は、必ず税理士や税務署にご確認ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律・税務・投資相談ではありません。特定の保険商品や受取方法を推奨するものではありません。個別の案件については、専門家(税理士・弁護士・司法書士)にご相談ください。


生命保険の年金受取で「二重課税」が問題になった理由

年金受取では、相続時に「年金受給権」に相続税がかかり、さらに毎年の年金にも所得税がかかっていたため、同じ価値に二度課税される「二重課税」が問題になりました。

まず、一括で受け取る場合を見てみましょう。
夫が保険料を払い、夫の死亡で妻が死亡保険金を受け取るケースです。

この場合、保険金は「みなし相続財産」として相続税の対象になります。
所得税は、相続で取得したものとして非課税です。課税は相続税の1回だけです。

一方、同じ保険金を年金形式で受け取る場合はどうだったでしょうか。

判決前の課税の流れ(年金受取)
1. 相続時:将来の年金をもらう権利(年金受給権)の評価額に相続税
2. 毎年:受け取る年金から保険料相当分を引いた額に所得税(雑所得)
3. 結果:相続税で課税された価値に、受取時にも所得税がかかる

年金受給権の評価額は、将来受け取る年金をまとめて「今の価値」に置き換えたものです。
その権利から生まれる年金にも所得税をかけると、同じ価値に二度課税することになります。

「分割で受け取っただけで、なぜ税金が増えるのか」。
この疑問が、のちに最高裁まで争われることになりました。

みなし相続財産の基本的な考え方は、死亡保険金は相続財産?みなし相続財産の仕組みと非課税枠・相続放棄との関係で詳しく解説しています。


そもそも死亡保険金にかかる税金は「契約形態」で決まる

死亡保険金にかかる税金の種類は、保険料を誰が払い、誰が亡くなり、誰が受け取るかという契約形態によって、相続税・所得税・贈与税のいずれかに分かれます。

本記事で扱う「二重課税」の問題は、このうち相続税がかかるケースが中心です。
まずは、自分の契約がどれに当たるかを確認しましょう。

保険料の負担者 被保険者(亡くなった人) 受取人 受取時にかかる税金
夫 夫 妻・子 相続税(みなし相続財産)
妻 夫 妻 所得税(一時金は一時所得、年金は雑所得)
妻 夫 子 贈与税

※国税庁「No.1750 死亡保険金を受け取ったとき」をもとに作成。

相続税がかかるケースでは、受取人が相続人なら「500万円×法定相続人の数」の非課税枠も使えます。
年金形式で受け取る場合も、年金受給権に対してこの非課税枠が適用されます。

非課税枠の計算方法は、生命保険の相続税非課税枠(500万円×法定相続人)を徹底解説をご覧ください。

なお、保険料を払った本人が年金を受け取る場合(上の表の2行目など)は、相続税がかかりません。
そのため、本記事の二重課税の問題とは別の扱いになります。


2010年7月6日の最高裁判決|何が「違法」とされたのか

2010年7月6日の最高裁判所の判決は、年金の各支給額のうち、相続税の課税対象となった部分には所得税を課すことができないと判断し、遺族への所得税の課税を取り消しました。

この裁判は「長崎年金訴訟」「生保年金二重課税事件」とも呼ばれています。
事案の概要は、次のとおりです。

判決の事案(概要)
– 夫が保険料を払っていた年金払特約付きの生命保険
– 夫の死亡後、妻が年230万円を10年間受け取る契約(総額2,300万円)
– 年金受給権は、当時の評価方法で1,380万円(総額の60%)として相続税の対象に
– さらに初年度の年金230万円について、所得税の雑所得として課税

最高裁は、年金受給権の評価額は「将来の年金の今の価値」の合計だと整理しました。
そのうえで、その部分は相続で取得したものとして、所得税は非課税になると判断しています。

根拠は、所得税法9条1項(判決当時は15号)の規定です。
相続などで取得したものには、所得税を課さないと定めています。
初年度の年金は、亡くなった時点ですでに受け取れる金額で、今の価値と同じです。そのため、全額が非課税とされました。

ポイント
判決が否定したのは「相続税の対象になった部分」への所得税です。
受給権の評価額を超える部分、つまり年金を運用して増えた部分には、所得税がかかるという考え方が前提になっています。

判決の全文は、裁判所ウェブサイトの「最高裁判所 平成22年7月6日 第三小法廷判決」で確認できます。

国税庁も判決を受けて、取扱いの変更を案内しました。
詳しくは「相続等に係る生命保険契約等に基づく年金を受給されている方へ」で確認できます。
生命保険協会も「年金二重課税」のページで判決の概要を公表しています。


判決後の是正措置|過去分の還付と「特別還付金」

判決を受けて、国は2010年10月に保険年金の税務上の取扱いを変更し、払い過ぎた所得税を還付する手続きを設けましたが、その請求期限はすでに過ぎています。

是正の流れを、時系列で整理します。

時期 内容
2010年7月6日 最高裁判決(年金のうち相続税の対象部分への所得税は違法)
2010年10月 国税庁が保険年金の課税の取扱いを変更
2010年10月以降 過去5年以内の年分は、更正の請求・還付申告で還付
2011年6月30日 5年より前の年分を対象とする「特別還付金」の制度が施行
2012年6月29日 特別還付金(2000年分〜2006年分)の手続き期限
2013年1月以降 相続等に係る保険年金は、原則として源泉徴収されない取扱いに

※国税庁「相続等に係る生命保険契約等に基づく年金を受給されている方へ」「相続又は贈与等に係る生命保険契約や損害保険契約等に基づく年金の税務上の取扱いについて」などをもとに作成。

通常、払い過ぎた税金を取り戻せるのは過去5年分までです。
この件では、特例としてさらに前の年分まで、特別還付金でさかのぼる措置が取られました。

ただし、2026年現在、判決前の課税にかかる還付の請求期限は、どれもすでに過ぎています。
「親が昔、年金で受け取っていたかもしれない」という場合も、今から還付を受けるのは難しいと考えられます。

一方で、是正後の制度のもとで、計算の誤りなどにより税金を払い過ぎた年分がある場合は別です。
法定申告期限から5年以内であれば、更正の請求ができる可能性があります。気になる方は、税務署や税理士に確認してみましょう。


現行制度の計算方法|初年度は非課税、2年目から「階段状」に課税

現行制度では、毎年の年金を「非課税部分」と「課税部分」に振り分け、初年度は全額非課税、2年目以降は課税部分が毎年少しずつ増えていく「階段状」の方法で所得税を計算します。

この計算方法は、国税庁のタックスアンサーにまとめられています。
「No.1620 相続等により取得した年金受給権に係る生命保険契約等に基づく年金の課税関係」をご覧ください。
根拠となる法令は、所得税法施行令185条・186条です。

課税されるのは「運用益に当たる部分」だけ

考え方はシンプルです。
年金の総額のうち、相続税の対象になった評価額の部分は非課税です。残りの「運用益に当たる部分」だけに所得税がかかります。

その運用益に当たる部分を、受取期間の後半ほど多くなるように、毎年に割り振ります。
運用益は時間がたつほど積み上がる、という考え方に沿った仕組みです。

計算の流れ(主に2011年4月以降に相続した確定年金の場合)

2010年度の税制改正で、年金受給権の相続税評価の方法が変わりました(相続税法24条)。
現在は、解約返戻金の額・一時金の額・予定利率をもとに計算した額のうち、最も多い額で評価します。この新しい評価方法が適用される年金を「新相続税法対象年金」といいます。

新相続税法対象年金の課税部分の計算ステップ
1. 相続税評価割合を出す(相続税評価額 ÷ 年金の支払総額)
2. 評価割合に応じて、国税庁の表から「課税割合」を当てはめる
3. 「1課税単位当たりの金額」を出す(支払総額 × 課税割合 ÷ 課税単位数)
4. 課税単位数は「残存期間年数 ×(残存期間年数 − 1)÷ 2」で計算する
5. その年の課税部分 = 1課税単位当たりの金額 × 経過年数(初年度は0)
6. 課税部分から、対応する保険料(必要経費)を差し引いた額が雑所得になる

課税割合は、評価割合が高いほど低くなります。
国税庁の表では、評価割合が50%超55%以下なら45%、89%超92%以下なら8%、98%超なら0%とされています。

計算例:10年間、毎年100万円を受け取る場合

国税庁の計算例と同じ条件で、具体的に見てみましょう。

前提条件
– 10年間の確定年金を相続(毎年100万円、支払総額1,000万円)
– 相続税評価額は900万円(評価割合90%)→ 課税割合は8%
– 亡くなった人が払った保険料の総額は200万円

計算
– 課税単位数:10 ×(10 − 1)÷ 2 = 45
– 1課税単位当たりの金額:1,000万円 × 8% ÷ 45 ≒ 約1.78万円
– 必要経費の割合:保険料200万円 ÷ 支払総額1,000万円 = 20%

受取年 受け取る年金 課税部分 雑所得(課税部分 − 必要経費)
1年目 100万円 0円 0円
2年目 100万円 約1.8万円 約1.4万円
3年目 100万円 約3.6万円 約2.8万円
4年目 100万円 約5.3万円 約4.3万円
5年目 100万円 約7.1万円 約5.7万円
6年目 100万円 約8.9万円 約7.1万円
7年目 100万円 約10.7万円 約8.5万円
8年目 100万円 約12.4万円 約10.0万円
9年目 100万円 約14.2万円 約11.4万円
10年目 100万円 約16.0万円 約12.8万円
合計 1,000万円 約80万円 約64万円

※国税庁「No.1620」の計算例の条件をもとに、所得税法施行令185条2項の算式で試算。1万円未満は四捨五入しているため、合計と一致しない場合があります。

10年間で受け取る1,000万円のうち、雑所得になるのは約64万円です。
判決前の扱いでは、毎年「100万円 − 保険料相当20万円 = 80万円」が雑所得でした。
10年間の合計は、約800万円にのぼります。

差の大きさが、判決の意味を物語っています。

計算方法は個人の状況によって異なります
上の例は、評価割合が50%を超える「確定年金」の、最も基本的なケースです。終身年金・有期年金・保証期間付きの年金では、余命年数などを使った別の計算になります。主に2011年3月以前に相続した年金(旧相続税法対象年金)も計算方法が異なります。実際の金額は、保険会社から届く通知書や国税庁の計算書をもとに、税理士・税務署に確認してください。

「各年の受取額 − 評価額 ÷ 受取年数」ではない点に注意

インターネット上では、次のような説明を見かけることがあります。
「毎年の受取額から、評価額を受取年数で割った額を引いた残りに課税される」というものです。
これは考え方の目安としては分かりやすいものの、現行の計算方法とは異なります。

上の例でこの式を使うと、毎年「100万円 − 90万円 = 10万円」が均等に課税されることになります。
実際の制度では、初年度は0円で、課税部分は毎年少しずつ増えていきます。年ごとの所得は大きく変わるため、注意が必要です。


一括受取と年金受取の税務比較表

一括受取は相続税だけで手続きがシンプルな一方、年金受取は相続税に加えて2年目以降の運用益部分に所得税がかかり、毎年の所得の管理が必要になります。

相続税がかかる契約形態(保険料負担者=亡くなった人)を前提に、主な違いを比べてみましょう。

比較項目 一括受取 年金受取(分割)
相続税 保険金の額が対象(非課税枠あり) 年金受給権の評価額が対象(非課税枠あり)
所得税・住民税 かからない 初年度は非課税、2年目以降は運用益部分が雑所得
受け取る総額 一時金の額 運用益の分だけ一時金より多くなるのが一般的
源泉徴収 なし 原則なし(2013年1月以降)
確定申告 所得税の申告は不要 ほかの所得との関係で必要になる場合がある
住民税・社会保険料 影響なし 雑所得が国民健康保険料などの計算に影響する場合がある
手間 1回で完了 毎年、通知書の確認と所得の管理が必要
資金の使いやすさ まとまった資金をすぐ使える 毎年一定額が入り、生活費の計画を立てやすい

※契約内容や保険会社によって、選べる受取方法や受け取る総額は異なります。

このように、税金の面だけを見ると一括受取のほうがシンプルです。
一方で、年金受取には「受け取る総額が増えやすい」「使いすぎを防げる」といった良さもあります。

どちらが有利かは、個人の状況によって変わります。
次の章で、判断のポイントを見ていきましょう。


一括受取と年金受取、どちらを選ぶ?判断のポイント

一括受取と年金受取のどちらを選ぶかは、税金だけでなく、受取人の年齢や収入、資金の使い道、毎年の手間をどこまで受け入れられるかをあわせて判断することが大切です。

受取方法を決める前に、次の点を家族で確認してみましょう。

判断の前に確認したいポイント
– 葬儀費用や相続税の納税など、すぐにまとまった資金が必要か
– 受取人に給与や公的年金などの収入があり、雑所得が増えると税金や保険料が増えないか
– 受取人が高齢で、毎年の申告や書類の管理を続けられるか
– 一括受取の額と、年金で受け取る総額にどのくらい差があるか
– 受取人自身の老後資金として、毎年の収入が安心につながるか

年金の支払開始前なら、一時金への切り替えも選択肢に

意外と知られていないのが、受け取り方を途中で変えられる場合があることです。
年金の支払開始日より前に、年金に代えて一時金で受け取る場合があります。
このとき、所得税は非課税とされています(国税庁「No.1620」注2、所得税基本通達9-18)。

ただし、切り替えられるかどうかや、その時期・金額は契約によって異なります。
保険会社に確認し、税理士にも相談してから判断しましょう。

退職金の受け取り方でも、一時金と年金で税金の扱いが変わります。考え方を比べたい方は、退職金は一時金と年金どちらが得?税金の違いと賢い使い方もあわせてご覧ください。


年金受取を選んだ場合の実務上の注意点

年金受取を選んだ場合は、2年目以降に雑所得が生じるため、ほかの所得とあわせて確定申告が必要かを毎年確認し、保険会社から届く通知書を保管しておくことが重要です。

注意点1:源泉徴収されないため、申告が必要になる場合がある

2013年1月以降、相続等に係る保険年金は、原則として源泉徴収されなくなりました(所得税法209条)。
税金が自動で差し引かれないため、自分で確定申告をして納める場面が出てきます。

ただし、「毎年必ず確定申告が必要」とは限りません。
たとえば、次のような場合は、所得税の確定申告が不要になることがあります。

先ほどの計算例では、2年目から雑所得が生じ、8年目には約10万円になります。
ほかに副収入があれば、合計が20万円を超えて申告が必要になることもあります。

注意点2:所得税の申告が不要でも、住民税の申告は別

所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。
また、雑所得が増えると、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の計算に影響する場合があります。

受取人が高齢の場合は、税金だけでなく、保険料や医療費の自己負担割合への影響も確認しておきましょう。
お住まいの市区町村の窓口で確認できます。

注意点3:通知書と契約書類は、受取期間が終わるまで保管する

課税部分の計算には、支払総額・相続税評価額・保険料の総額などの情報が必要です。
保険会社から届く年金の通知書や、相続税申告書の控えは、受取期間が終わるまで保管しておきましょう。

国税庁は「相続等に係る生命保険契約等に基づく年金の雑所得の金額の計算書」の様式や記載例を公表しています。
ただし、計算は複雑なため、自分だけで判断せず税理士に確認することをおすすめします。

注意点4:相続税の申告期限は10か月

年金受給権は、相続税の申告の対象です。
相続税の申告と納税は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。

ほかの期限もあわせて確認したい方は、相続手続きの期限一覧|3ヶ月・4ヶ月・10ヶ月・3年以内にやるべきことをご覧ください。


税理士への相談を強くおすすめするケース

生命保険の年金受取は、相続税と所得税の両方が関わり、年金の種類や相続の時期によって計算方法が変わるため、受取方法を決める前の段階から税理士に相談することを強くおすすめします。

特に、次のような場合は、早めに専門家へ相談しましょう。

  • 相続税の申告が必要になりそうな場合(年金受給権の評価額の確認が必要)
  • 一括受取と年金受取のどちらにするか、まだ決めていない場合
  • 終身年金や保証期間付きの年金など、計算が複雑な契約の場合
  • 複数の保険年金や、給与・公的年金などほかの所得がある場合
  • 受取人が保険料の一部を負担していた場合
  • 過去の申告内容に誤りがないか不安な場合

相続税に詳しい税理士は、日本税理士会連合会の「税理士情報検索サイト」などで探せます。
最寄りの税務署の電話相談を利用するのも一つの方法です。

保険の契約内容そのものを見直したい場合は、終活で保険を見直す重要性|種類別の活用法と相続税非課税枠も参考になります。

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エンディングノートに「受取方法」と「選んだ理由」を残す重要性

生命保険の受取方法と、それを選んだ理由をエンディングノートに残しておくと、家族が税金の仕組みや手続きの見通しを理解しやすくなり、受け取った後の申告漏れや思い違いを防ぐことにつながります。

年金で受け取る保険は、受取が10年、20年と続くことがあります。
その間に、受取人である配偶者が高齢になり、書類の管理が難しくなることも考えられます。

「なぜ年金受取にしたのか」が分からないと、子どもが途中で手続きを引き継ぐときに迷ってしまいます。
受取方法を決めた背景を、言葉にして残しておきましょう。

エンディングノートに記録しておきたい保険の情報
– 保険会社・証券番号・担当者の連絡先
– 契約者・被保険者・受取人と、保険料を払っている人
– 受取方法(一括・年金・併用)と、年金の場合の期間・年額
– その受取方法を選んだ理由(生活費の確保、使いすぎ防止など)
– 相談した税理士やFPの連絡先
– 保険会社のマイページのIDや、郵送・ペーパーレスの別

最近は、契約内容の確認や通知書の受け取りを、保険会社のウェブサイトで行う契約も増えています。
ネット上の手続きは、家族がIDや存在を知らなければたどり着けません。

保険会社のマイページも、ネット銀行やSNSと同じ「デジタル資産」の一つとして整理しておくことが大切です。
亡くなった人の保険契約が分からない場合は、生命保険協会の「生命保険契約照会制度」を利用する方法もあります。

DEN(Digital Everlife Note)は、保険やデジタル資産の情報を暗号化して保管するサービスです。
必要な時に、家族へ確実に引き継ぐことを目指しています。

受取方法とその理由を、家族が迷わない形で残しておきたい方へ。
DENは、相続・遺言・終活に関する大切な情報を暗号化して安全に保管するデジタル終活サービスです。
現在、サービス開始に向けてモニターを募集しています。詳細はこちら


よくある質問(FAQ)

Q1. 生命保険を年金で受け取ると、今でも二重課税になりますか?
A. 2010年7月6日の最高裁判決を受けて、2010年10月に取扱いが変わりました。現在は、相続税の対象になった部分には所得税がかからない仕組みです。ただし、2年目以降は運用益に当たる部分に所得税がかかります。

Q2. 年金で受け取ると、毎年確定申告が必要ですか?
A. 必ずしも毎年必要とは限りません。給与所得者や公的年金の受給者で、ほかの所得が20万円以下なら、所得税の申告が不要になることがあります。ただし、住民税の申告が必要な場合もあるため、税務署や市区町村、税理士に確認しましょう。

Q3. 年金受取を選んだあとで、一括受取に変えられますか?
A. 契約によっては可能です。年金の支払開始前に、年金の総額に代えて一時金で受け取った場合は、所得税は非課税とされています。変更できる時期や条件は保険会社によって異なるため、契約内容を確認してください。

Q4. 年金で受け取る場合も、生命保険の非課税枠は使えますか?
A. 受取人が相続人であれば、年金受給権にも「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が適用されます。非課税枠の適用によって相続税がかからなかった場合でも、2年目以降の所得税の計算は本記事で解説した方法によります。

Q5. 親が昔、年金形式で受け取っていました。払い過ぎた税金は戻りますか?
A. 判決前の課税にかかる還付は、更正の請求や特別還付金(2012年6月29日まで)の期限がすでに過ぎています。そのため、今から還付を受けるのは難しいと考えられます。是正後の年分で計算誤りがある場合は、税務署や税理士に相談してみてください。

Q6. 雑所得が増えると、住民税や国民健康保険料にも影響しますか?
A. 影響する場合があります。雑所得は住民税や国民健康保険料、後期高齢者医療保険料の計算に含まれます。受取人が高齢の場合は、受取方法を決める前に市区町村や税理士に確認しておくと安心です。

エンディングノートのデジタル化にご興味がある方は、DENのサービス紹介ページをご覧ください。


まとめ

生命保険を年金形式で受け取ると、かつては相続税と所得税が同じ価値に二重にかかっていました。
この扱いは、2010年7月6日の最高裁判決で違法とされ、2010年10月に是正されています。

現行制度では、初年度は全額非課税で、2年目以降は運用益に当たる部分だけが「階段状」に課税されます。
一括受取は相続税だけでシンプル、年金受取は総額が増えやすい一方で毎年の所得管理が必要です。どちらが有利かは、個人の状況によって変わります。

計算方法は年金の種類や相続の時期によって異なるため、受取方法を決める前に、必ず税理士に相談することをおすすめします。
そして、選んだ受取方法とその理由を、エンディングノートに書き残しておきましょう。まずは保険証券を手元に出して、契約内容を確かめるところから始めてみませんか。


参考資料
– 国税庁「No.1620 相続等により取得した年金受給権に係る生命保険契約等に基づく年金の課税関係」(令和8年4月1日現在法令等)
– 国税庁「No.4123 相続税等の課税対象になる年金受給権」
– 国税庁「No.1750 死亡保険金を受け取ったとき」
– 国税庁「相続等に係る生命保険契約等に基づく年金を受給されている方へ」
– 国税庁「相続又は贈与等に係る生命保険契約や損害保険契約等に基づく年金の税務上の取扱いについて」
– 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
– 国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」
– 裁判所「最高裁判所 平成22年7月6日 第三小法廷判決(民集64巻5号1277頁)」
– 一般社団法人生命保険協会「年金二重課税」
– 国税庁 税務大学校「相続税と所得税の関係について-「生保年金二重課税事件」を素材とした考察-」

※本記事は2026年10月時点の法令・国税庁の公表情報に基づいています。記事内の計算例は簡略化したモデルであり、実際の税額は契約内容・年金の種類・相続税評価額・ほかの所得などによって異なります。特定の保険商品や受取方法を推奨するものではありません。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律・税務・投資相談ではありません。個別の案件については、専門家(弁護士・税理士・司法書士)にご相談ください。記事内の情報は作成時点のものであり、法改正等により変更される場合があります。

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