相続税は大都市の持ち家で急増中|土地価格の上昇で「うちは関係ない」が通用しない時代に

相続税対策

相続税は大都市の持ち家で急増中|土地価格の上昇で「うちは関係ない」が通用しない時代に

最終更新日:2026年6月17日 / 最終確認日:2026年6月17日


※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律・税務・投資相談ではありません。個別の案件については、専門家(弁護士・税理士・司法書士)にご相談ください。記事内の情報は作成時点のものであり、法改正等により変更される場合があります。


本記事でわかること

  • 都内では6〜7人に1人が相続税の対象になっている実態
  • 基礎控除の正しい計算方法と、見落としやすい落とし穴
  • 土地価格が毎年変動することで「知らぬ間に課税対象」になるメカニズム
  • 不動産相続が引き起こす「売れない・分けられない・税金は払わないといけない」三重苦
  • 今すぐできる資産の見える化と家族への情報共有の方法


「うちには財産なんてない」70代男性に届いた衝撃の通知

※以下はよくある状況をもとにした創作エピソードです。

東京郊外に自宅を持つ田中さん(仮名・72歳)は、長年こう思い続けていました。「うちには財産なんてない。相続税とは無縁だ」と。

40年前に購入した小さな一戸建て。購入時の価格は2,500万円ほど。老後のために蓄えた預貯金も約1,000万円。「息子2人に残せるのは家くらい」と、のんびり構えていました。

田中さんが亡くなった後、息子たちが相続手続きのために専門家に相談したところ、衝撃の事実が判明します。自宅の土地評価額が1億2,000万円に上昇していたのです。

基礎控除額は「3,000万円+600万円×2人=4,200万円」。遺産総額は土地1億2,000万円+預貯金1,000万円で1億3,000万円。基礎控除を8,800万円も超えていました。

「お父さんは相続税なんて関係ないって言っていたのに」。戸惑う息子たちに、税理士は静かにこう告げました。「土地の評価額は毎年変わります。数十年前の感覚では判断できないんです」。


この話は、決して他人事ではありません。東京・大阪・名古屋といった大都市圏に持ち家を持つ方なら、今すぐ自分の資産状況を確認する必要があります。

本記事では、都市部で急増している相続税リスクの実態を明らかにしながら、家族を守るために今できる対策をお伝えします。


都内は6〜7人に1人が相続税の対象|全国平均の約1.6倍の衝撃

「相続税は一部の富裕層だけの話」と思っていませんか。

国税庁のデータによると、令和5年(2023年)の相続税申告件数は昭和42年以降で過去最多を更新しています。相続税の総額も3兆53億円と、平成27年以降で過去最高に達しました。

地域別の課税割合を見ると、その格差が際立ちます。

地域 課税割合
全国平均 9.9%(約10人に1人)
東京都(区外含む) 15.0%(6〜7人に1人)
東京都区内 20.3%(約5人に1人)

東京都区内では、亡くなった方の5人に1人が相続税の課税対象です。「うちは関係ない」と思っていた方が多い中、この数字は衝撃的ではないでしょうか。

なぜ大都市でここまで課税割合が高くなるのか。その答えは「土地の評価額」にあります。次の章で、その仕組みを詳しく解説します。


基礎控除の計算式を正しく理解していますか?

相続税には「基礎控除」という非課税枠があります。遺産総額がこの金額を下回れば、相続税は一切かかりません。

計算式は以下の通りです。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

具体的に計算してみましょう。

【ケース1】配偶者と子ども2人の場合
– 法定相続人:3人(配偶者1人+子2人)
– 基礎控除額:3,000万円+600万円×3人=4,800万円

【ケース2】配偶者なし、子ども2人の場合
– 法定相続人:2人(子2人)
– 基礎控除額:3,000万円+600万円×2人=4,200万円

「4,800万円もあれば大丈夫」と感じましたか。しかし、ここに大きな落とし穴があります。

東京都内の一戸建て住宅の土地評価額は、エリアによっては1億円を超えることも珍しくありません。たとえば、土地評価額8,000万円+預貯金1,500万円=合計9,500万円であれば、基礎控除4,800万円を4,700万円も超えてしまいます

「預貯金は少ない」「質素に暮らしてきた」という方でも、土地の評価額次第で相続税の対象になりうるのです。あなたのご自宅の土地評価額は、今いくらになっているでしょうか。


「数年前の評価額」では判断できない理由

「以前に調べたことがある。大丈夫だった」という方も、油断は禁物です。

相続税の土地評価額は「路線価」を基準に計算されます。路線価は毎年1月1日時点の地価をもとに国税庁が7月に公表するもので、土地の評価額は毎年変わります

東京23区の地価はここ10年、右肩上がりの上昇が続いています。「5年前に計算したら相続税はかからなかった」という結果が、今年の路線価では全く別の答えになっていることは十分あり得ます。

国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」は、誰でも無料で閲覧できます。毎年7月の路線価公表時に自宅周辺の評価額を確認する習慣を作るだけで、リスクの見落としを大幅に減らせます。

実際の売買価格と路線価の間に開きが生じるケースも多く、相続発生時に「こんなに評価額が高いとは思わなかった」という事態を避けるためにも、定期的な確認は欠かせません。


不動産相続の「三重苦」とは何か

相続税が発生するとわかったとき、不動産を多く持つ家庭では深刻な問題が生じます。現金や株式と違い、不動産の相続は「三重苦」と呼ばれる困難を抱えているからです。

苦その1|分けられない

現金なら「長男に半分、次男に半分」と簡単に分けられます。しかし、一軒の家は物理的に等分できません。

相続人が複数いる場合、不動産は「共有状態」に陥りやすくなります。共有状態になると、売却・リフォーム・賃貸化のいずれにも全員の同意が必要です。意見が対立すれば、家を動かすことすらできなくなります。

苦その2|売れない

「売れば税金が払える」と思っていても、現実はそう簡単ではありません。

土地の形状が不整形だったり、前面道路が狭かったり、傾斜地だったりすると、買い手がつかないケースがあります。売却には通常数ヶ月〜半年以上かかることも珍しくありません。相続税の申告・納付期限は「相続発生から10ヶ月以内」です。売却が間に合わないケースは十分起こり得ます。

苦その3|税金は払わないといけない

不動産が売れなくても、相続税の納付期限は待ってくれません。

現金が手元になければ、金融機関から融資を受けるか、延納・物納の手続きが必要になります。いずれも手間とコストがかかります。「資産はあるのに、現金がない」という状況に追い込まれた家族の負担は計り知れません。

なお、自宅の土地については「小規模宅地等の特例」(330㎡まで評価額80%減額)が適用できるケースがあります。ただし適用には条件があり、相続発生後に税理士への相談が不可欠です。

※小規模宅地等の特例の適用可否は個別の状況によって異なります。必ず税理士にご確認ください。


今すぐできる「相続税リスク」セルフチェック

以下の5つの質問に答えてみてください。1つでも「はい」があれば、早めに対策を検討する価値があります。

Q1: 東京・大阪・名古屋・福岡など大都市圏に不動産を保有していますか?

都市部の不動産は地方と比べて評価額が高い傾向があります。持ち家があるだけで相続税リスクが存在します。

Q2: 直近3年以内に土地の評価額(路線価)を確認しましたか?

路線価は毎年更新されます。3年前の評価額は現在とはまったく異なる可能性があります。

Q3: 法定相続人の人数と基礎控除額を計算したことがありますか?

「3,000万円+600万円×相続人数」の計算を、現在の家族構成で確認してみてください。

Q4: 相続税が発生した場合、現金で納税できる手元資産がありますか?

不動産の評価額が高くても、現金が少なければ資金調達が必要になります。

Q5: 保有している全資産の一覧を家族に共有していますか?

相続発生時に家族が困らないよう、資産情報の共有は生前から始める必要があります。

「はい」が多いほど、今すぐ行動を起こすことが重要です。


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対策の第一歩は「資産の見える化」から

相続税対策で最も重要なのは、「今、自分がいくら持っているか」を正確に把握することです。

ところが、多くの方は不動産・金融資産・デジタル資産を一括で把握していません。通帳は複数の銀行に分散し、不動産の登記資料は押し入れの奥に眠り、証券口座のIDとパスワードは誰も知らない——そんな状況が少なくありません。

「見える化」に取り組む際は、以下の資産を一つずつ整理していきましょう。

  • 不動産(所在地・面積・固定資産税評価額・ローン残高)
  • 金融資産(銀行口座・証券口座・保険)
  • その他の財産(車・貴金属・骨董品など)
  • デジタル資産(ネット銀行・仮想通貨・PayPay等の電子マネー・SNSアカウント)

特に見落とされやすいのが「デジタル資産」です。ネット専業銀行や仮想通貨は、IDとパスワードがわからなければ家族がアクセスできません。「口座があることすら知らなかった」というケースも増えています。

毎年7月(路線価公表時)と1月(年始)に資産一覧を見直す習慣を作ることをお勧めします。小さな積み重ねが、家族への最大の備えになります。

相続が発生した後の具体的な手続きの流れについては、相続手続きの完全ガイドでわかりやすく解説しています。あわせてご参照ください。


エンディングノートに書くべき「資産情報」チェックリスト

「見える化」した資産情報は、エンディングノートに記録して管理しましょう。

エンディングノートは遺言書と違って法的効力はありませんが、家族が相続手続きをスムーズに進めるための「道しるべ」になります。記録しておくべき項目は以下の通りです。

【不動産情報】
– □ 物件の所在地・地番・家屋番号
– □ 最新の固定資産税評価額(納税通知書を参照)
– □ 路線価(国税庁サイトで確認)
– □ 住宅ローンの残高・金融機関名

【金融資産情報】
– □ 銀行口座(金融機関名・支店名・口座番号)
– □ 証券口座(証券会社名・口座番号)
– □ 生命保険(保険会社名・証券番号・受取人)
– □ 個人年金・企業年金の情報

【デジタル資産情報】
– □ ネット銀行のID・アクセス方法
– □ 仮想通貨の保有有無・取引所名
– □ PayPay・楽天ペイ等の電子マネー残高
– □ SNSアカウントの対処方針(削除・記念アカウント化等)

【専門家情報】
– □ かかりつけの税理士・弁護士・司法書士の連絡先
– □ 過去に相談した専門家の履歴

エンディングノートに何をどう書けばよいか迷う方は、エンディングノート 書き方完全ガイドも参考にしてください。記載すべき項目を網羅的に解説しています。

紙のエンディングノートは紛失・火災のリスクがあり、内容の更新も手間がかかります。DENのデジタルエンディングノートなら、資産情報を暗号化して安全に保管し、いつでも更新できます。

DENは、相続・遺言・終活に関する大切な情報を暗号化して安全に保管するデジタル終活サービスです。現在、サービス開始に向けてモニターを募集しています。
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家族への情報共有がなぜ最重要なのか

資産を一覧化するだけでは不十分です。その情報を「家族が知っている状態」にしておかなければ、意味がありません。

相続発生後、家族は10ヶ月以内に次の手続きを進める必要があります。

  1. 相続人の確定(戸籍収集)
  2. 遺産の調査・評価
  3. 遺産分割協議
  4. 相続税申告・納付

この10ヶ月の間に「どんな財産があるか」を一から調べなければならないとすれば、家族への負担は計り知れません。預貯金の口座を探すだけで数ヶ月かかるケースも珍しくないのです。

ただし、資産情報をそのままの形で家族に渡すことには、セキュリティ上のリスクもあります。特にデジタル資産のIDやパスワードは慎重に管理する必要があります。

DENでは、資産情報を三分割暗号化方式で保管し、相続発生時にのみ家族が安全にアクセスできる仕組みを提供しています。「生きている間は自分だけが管理し、亡くなった後に家族へ引き継ぐ」という理想的な情報共有が実現できます。

相続税の具体的な試算や節税対策については、税理士への早期相談が最も有効です。相続発生前から専門家と関係を作っておくことで、いざというときにスムーズに動けます。

資産の法的な分配を確定させたい場合は、遺言書の書き方と種類を徹底解説もあわせてご覧ください。エンディングノートと遺言書の役割の違いから実際の作成手順まで解説しています。

エンディングノートのデジタル化にご興味がある方は、DENのサービス紹介ページをご覧ください。


よくある質問(FAQ)

Q1: 相続税は自宅(居住用不動産)にもかかりますか?

はい、かかります。自宅の土地も遺産総額に含まれます。ただし「小規模宅地等の特例」(330㎡まで評価額80%減額)を適用できる場合、課税額を大幅に抑えられます。適用には条件があるため、税理士にご相談ください。

Q2: 相続税の申告は自分でできますか?

基本的には可能ですが、不動産の評価や特例の適用には専門知識が必要です。計算ミスや特例の見落としによって余分な税金を払うリスクがあるため、税理士への依頼を推奨します。

Q3: 相続税の納付期限はいつですか?

相続の開始(被相続人が亡くなった日)から10ヶ月以内です。申告と納付を同時に行う必要があります。期限を過ぎると延滞税・加算税が発生するため、早めの準備が重要です。

Q4: 現金がなくても相続税を払えますか?

通常の相続税は金銭一括納付が原則です。現金が不足している場合は「延納」(分割払い)や「物納」(不動産等による納付)の制度がありますが、手続きが複雑で条件もあります。金融機関からの融資(相続ローン)を活用するケースもあります。いずれも税理士・金融機関への早期相談が重要です。

Q5: エンディングノートに書いた内容は法的効力がありますか?

エンディングノートそのものに法的効力はありません。財産の分配方法を法的に確定させるには、別途「遺言書」の作成が必要です。ただし、エンディングノートは家族が相続手続きを進める上での重要な道しるべになります。遺言書とエンディングノートを併用することをお勧めします。


まとめ|「知らなかった」では済まされない時代に

大都市圏の持ち家オーナーにとって、相続税はもはや「一部の富裕層の問題」ではありません。東京都では6〜7人に1人が課税対象となっており、土地価格の上昇が続く今、「うちは関係ない」という思い込みは大きなリスクをはらんでいます。

今すぐできる3つのアクションをお伝えします。

  1. 路線価を確認する — 国税庁「路線価図・評価倍率表」で自宅周辺をチェック
  2. 基礎控除を計算する — 「3,000万円+600万円×法定相続人数」と遺産総額を比較
  3. 資産一覧をエンディングノートに記録する — 不動産・金融資産・デジタル資産を一元管理

大切な家と財産を、家族への「重荷」ではなく「贈り物」として残すために。今日から一歩を踏み出してください。

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監修者情報
本記事の内容は、相続・終活分野の専門的知識をもとに作成しています。個別の相続税申告・節税対策については、税理士・弁護士・司法書士にご相談ください。

更新日:2026年6月17日 / 最終確認日:2026年6月17日

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律・税務・投資相談ではありません。個別の案件については、専門家(弁護士・税理士・司法書士)にご相談ください。記事内の情報は作成時点のものであり、法改正等により変更される場合があります。


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