公開日:2026年10月5日 / 最終確認日:2026年10月5日
監修:終活・相続専門チーム(DEN編集部)
本記事は2026年10月時点の情報です。
Apple・Googleの仕様や画面の表示は、変更される可能性があります。最新情報は必ず各社の公式サイトでご確認ください。
「父のiPhoneに、孫の写真がたくさん残っているはずなのに」
「パスコードがわからず、どうしても開けない」
ご家族が亡くなった後、こうした悩みを抱える方は少なくありません。
iPhoneは、本人以外が中を見られないよう、強固に守られています。
それは安心である一方、家族にとっては大きな壁にもなります。
この壁に備える仕組みとして、Appleは「デジタル遺産プログラム」を用意しています。
生前に故人アカウント管理連絡先を指定しておくと、死後に家族がデータを受け取れるのです。
この記事では、設定方法から、家族が実際にアクセスする手順までを解説します。
スクリーンショットがなくても迷わないよう、メニュー名を一つずつ文章で案内します。
本記事で分かること
– Appleのデジタル遺産プログラム(故人アカウント管理連絡先)の仕組み
– 引き継げるデータ・引き継げないデータ
– iPhoneでの設定方法5ステップ
– いちばん大切な「アクセスキー」の保管方法
– 死後に家族がデータへアクセスする手順と、3年間という期限
– Androidユーザー向け、Googleの類似機能との比較
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律・税務・投資相談ではありません。個別の案件については、専門家(弁護士・税理士・司法書士)にご相談ください。
Appleのデジタル遺産プログラム(故人アカウント管理連絡先)とは
Appleのデジタル遺産プログラムとは、生前に指定した人が、本人の死後にApple Accountのデータへアクセスできるようにする仕組みです。
2021年12月(iOS 15.2)から始まった制度
この仕組みは、2021年12月配信のiOS 15.2から利用できるようになりました。
英語では「Legacy Contact」と呼ばれます。
日本語版のiPhoneでは、故人アカウント管理連絡先という名前で表示されます。
ネットでは「遺産連絡先」と紹介されることもありますが、画面上の名称は「故人アカウント管理連絡先」です。
設定画面で探すときは、この名前を目印にしてください。
それまで、亡くなった方のiCloudのデータを家族が受け取るのは、簡単ではありませんでした。
この制度によって、本人の意思で「この人に託す」と決めておけるようになったのです。
引き継げるデータ・引き継げないデータ
Appleの公式サポートページでは、引き継げるデータを次のように案内しています。
| 区分 | 主な内容 |
|---|---|
| 引き継げるデータ(例) | 写真、メッセージ、メモ、ファイル、ダウンロードしたApp、デバイスのバックアップなど、iCloudに保存されたデータ |
| 引き継げないデータ | Apple Accountで購入した映画・音楽・本、サブスクリプション |
| 引き継げないデータ | iCloudキーチェーンのデータ(パスワード、パスキー、支払い情報) |
ポイントは、パスワード類は引き継げないことです。
iPhoneに保存していたネット銀行や通販サイトのパスワードは、この仕組みでは家族に届きません。
また、iPhone本体のパスコードが家族に伝わるわけでもありません。
端末そのものは、初期化(消去)してから使う形になります。
購入した映画や音楽が相続できない理由は、購入した電子書籍・映画・音楽は相続できない?デジタル遺産・デジタル財産・デジタルコンテンツ・デジタル遺品の違いから徹底解説で詳しく解説しています。
利用するための条件
設定するには、主に次の条件があります。
- 本人のiPhoneがiOS 15.2以降であること
- 本人のApple Accountで2ファクタ認証が有効になっていること
- 指定する相手が13歳以上であること(国や地域によって異なります)
連絡先は、複数名を指定できます。
配偶者と子どもなど、信頼できる人を何人か選んでおくこともできます。
では、実際の設定方法を見ていきましょう。
iPhoneでの設定方法5ステップ
iPhoneでの設定は、「設定」アプリから自分の名前を開き、「サインインとセキュリティ」の中で行います。
所要時間は、5分ほどです。
iPhoneを手元に用意して、順番に進めてみてください。
STEP1:「設定」を開き、自分の名前をタップする
ホーム画面の、歯車の形をした「設定」アプリを開きます。
いちばん上に表示されている、ご自身の名前をタップしてください。
STEP2:「サインインとセキュリティ」をタップする
名前の画面に切り替わったら、「サインインとセキュリティ」をタップします。
iOSのバージョンによっては、「パスワードとセキュリティ」と表示される場合があります。
STEP3:「故人アカウント管理連絡先」をタップする
画面を下へ進めると、「故人アカウント管理連絡先」という項目があります。
これをタップします。
STEP4:「故人アカウント管理連絡先を追加」から相手を選ぶ
「故人アカウント管理連絡先を追加」をタップします。
Face ID、Touch ID、またはパスコードで本人確認をします。
ファミリー共有のメンバーがいれば、一覧に表示されます。
それ以外の人を選ぶ場合は、「ほかの連絡先を選択」から選んでください。
STEP5:アクセスキーを相手に渡す
最後に、アクセスキーの渡し方を選びます。
アクセスキーとは、死後に家族が申請するときに必要になる「合い鍵」のようなものです。
渡し方は、主に2通りです。
- メッセージで送る:相手もiPhoneなどのApple製品を使っている場合。相手が承諾すると、相手の端末に自動で保管されます
- 控えをプリントする:相手がApple製品を持っていない場合など。印刷やPDF保存をして、紙で渡したり、大切な書類と一緒に保管したりします
連絡先に追加されると、相手には確認のメールが届きます。
これで設定は完了です。
MacやiPadで設定する場合
iPadの場合は、iPhoneと同じ手順です。
「設定」→自分の名前→「サインインとセキュリティ」→「故人アカウント管理連絡先」と進みます。
Macの場合は、画面左上のAppleメニューから「システム設定」を開きます。
自分の名前をクリックし、「サインインとセキュリティ」→「故人アカウント管理連絡先」と進みます。
設定できたかの確認と、アクセスキーの見直し
設定後は、STEP3の画面を開くと、登録した人の名前が一覧で表示されます。
名前をタップして「アクセスキーを表示」を選ぶと、キーを再確認できます。
「渡した紙をなくしたかもしれない」というときも、本人が元気なうちなら、ここから印刷し直せます。
年に一度、誕生日などに確認する習慣をつけておくと安心ではないでしょうか。
アクセスキーの保管方法|いちばん大切な実務ポイント
アクセスキーは、家族がAppleに申請するときに欠かせないため、「家族が確実に見つけられる場所」に保管することが大切です。
設定したことに満足して、キーの保管場所を誰にも伝えていない。
これが、実際によく起こりうる落とし穴です。
| 保管方法 | 良いところ | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 相手のiPhoneに保管(メッセージで共有) | 自動で保管され、なくしにくい | 相手が機種変更や紛失をした場合に備え、紙の控えもあると安心 |
| 紙に印刷して自宅で保管 | Apple製品がない家族にも渡せる | 「どこにしまったか」を家族が知らないと見つからない |
| 金庫や重要書類のファイルに保管 | 紛失・劣化を防ぎやすい | 金庫の開け方まで家族に伝えておく |
| エンディングノートに保管場所を記録 | 他の大切な情報と一緒に伝わる | キーそのものではなく「保管場所」を書くと安全 |
おすすめは、紙の控えと保管場所のメモをセットにすることです。
「アクセスキーは、書斎の引き出しの青いファイルに入れてある」
この一文があるだけで、家族の負担はぐっと軽くなります。
死後に家族がアクセスする手順
家族がアクセスするには、必要書類をそろえて、Appleの専用サイトからアクセスキーとともに申請します。
ここからは、指定された家族の立場での手順です。
いざというときに慌てないよう、流れを知っておきましょう。
STEP1:必要な書類をそろえる
申請には、亡くなったことを証明する書類が必要です。
Appleの案内では、日本の場合、死亡の記載がある戸籍謄本が必要になる場合があるとされています。
あわせて、次のものを手元に用意しておきます。
- 故人アカウント管理連絡先のアクセスキー
- 申請する人自身のApple Account
- 亡くなった方のApple Accountの情報(メールアドレスなど)
STEP2:Appleのデジタル遺産のサイトにアクセスする
パソコンやスマートフォンのブラウザで、Appleのデジタル遺産のウェブサイトを開きます。
自分のApple Accountでサインインします。
STEP3:アクセスキーと書類を提出する
画面の案内に従って、アクセスキーを入力します。
あわせて、STEP1でそろえた書類の画像をアップロードします。
STEP4:Appleの審査を待つ
Appleが、申請内容と書類を確認します。
審査にかかる日数は、公式には示されていません。
数日で終わると決めつけず、時間に余裕をもって進めると安心です。
承認されると、故人の端末にかかっていたアクティベーションロックは自動的に解除されます。
端末は消去したうえで、家族が使ったり手放したりできるようになります。
STEP5:データを取り出す
承認後は、Appleからの案内に従って、写真やメモなどのデータにアクセスします。
大切な写真は、早めに家族のパソコンなどへダウンロードしておきましょう。
アクセスできるのは3年間だけ
見落としがちですが、とても大切な点があります。
Appleの案内によると、アクセスできるのは最初の申請が承認されてから3年間です。
3年が過ぎると、そのアカウントは完全に削除されます。
「落ち着いたら整理しよう」と思っているうちに、期限が来てしまうかもしれません。
承認されたら、まず写真や動画のダウンロードから始めることをおすすめします。
アクセスキーがない場合はどうなる?
連絡先の指定がない、またはキーが見つからない場合もあるでしょう。
Appleは、日本などの一部の国や地域について、別の書類による申請方法も案内しています。
ただし、手続きの負担は大きくなります。
データの開示まで認められるとは限らない点にも、注意が必要です。
だからこそ、生前の設定とキーの保管が、家族への大きな贈り物になります。
設定前に知っておきたい5つの注意点
故人アカウント管理連絡先は便利な仕組みですが、iCloud以外のデータは対象外など、いくつかの限界があります。
注意点1:対象はiCloudのデータだけ
この仕組みで引き継げるのは、Apple Accountに保存されたデータです。
次のようなものは、別に準備が必要です。
- LINEのトーク履歴やアカウント
- Facebook・InstagramなどのSNSアカウント
- ネット銀行・ネット証券・仮想通貨の口座
SNSごとの死後の扱いは、死後、SNSアカウントはどうなる?主要6サービス徹底比較と「乗っ取りリスク」を防ぐ生前対策でまとめています。
注意点2:指定した人が先に亡くなることもある
配偶者だけを指定していると、配偶者が先に亡くなった場合に、託す相手がいなくなります。
世代の違う人を含めて、複数名を指定しておくと安心です。
家族構成が変わったときは、設定を見直しましょう。
注意点3:複数名を指定すると、一人の判断で削除もできる
Appleの案内では、複数の連絡先がいる場合、誰か一人の判断でアカウントのデータを扱えるとされています。
完全に削除することも含まれます。
「写真は残しておきたい」という家族と、「すぐに消したい」という家族。
意見が分かれないよう、生前に方針を話しておけると心強いですね。
注意点4:本人が元気なうちは、誰もアクセスできない
連絡先に指定された人でも、本人が生きている間はデータを見られません。
アクセスキーだけでは開けず、死亡を証明する書類が必要だからです。
「見られてしまうのでは」と心配な方も、安心して設定できます。
注意点5:仕様は変わることがある
メニュー名や手続きの流れは、iOSのアップデートで変わることがあります。
この記事は2026年10月時点の情報です。
設定や申請の前には、Appleの公式サポートページで最新情報をご確認ください。
デジタル終活を安全・簡単に進めたい方は、DENのモニター募集をご確認ください。
モニター募集に申し込む
Androidユーザーは「Googleアカウント無効化管理ツール」を
Androidスマートフォンを使っている方は、Googleの「アカウント無効化管理ツール」で、似た備えができます。
故人アカウント管理連絡先は、Apple Accountを持つ人のための仕組みです。
Androidをお使いの方は、Googleアカウント側で設定します。
なお、指定される側の家族がAndroidユーザーでも、Appleの仕組みは使えます。
その場合は、アクセスキーを印刷して渡す方法を選んでください。
Googleアカウント無効化管理ツールの設定の流れ
- Googleアカウントの「アカウント無効化管理ツール」のページを開く
- アカウントが使われていないと判断するまでの期間を選ぶ
- 通知する相手(最大10人)と、共有するデータの種類を選ぶ
- 必要に応じて、アカウントを削除するかどうかを選ぶ
Appleとの大きな違いは、「死亡」ではなく「一定期間使われていないこと」がきっかけになる点です。
AppleとGoogleの比較
| 項目 | Apple(故人アカウント管理連絡先) | Google(アカウント無効化管理ツール) |
|---|---|---|
| きっかけ | 本人の死亡(書類で証明) | 一定期間ログインなどがないこと |
| 期間の設定 | なし | 3・6・12・18か月から選ぶ |
| 指定できる人数 | 複数名 | 最大10人 |
| 家族の手続き | アクセスキーと書類で申請 | 通知メールのリンクからダウンロード |
| アクセスできる期間 | 承認から3年間 | 通知から3か月間 |
| その後 | アカウントは完全に削除 | 削除するかどうかを本人が選べる |
Googleの期間の選択肢などは、設定画面と各種解説に基づくものです。
Googleは、2年以上使われていない個人アカウントを削除する方針も公表しています。
最新の内容は、Googleアカウントヘルプでご確認ください。
アクセスキーの保管場所を、エンディングノートに記録しておく
故人アカウント管理連絡先を設定したら、その事実とアクセスキーの保管場所を、エンディングノートに記録しておくと安心です。
家族が困るのは、「仕組みがあること自体を知らない」ケースです。
せっかく設定していても、家族が気づかなければ、使われないまま期限を迎えるかもしれません。
エンディングノートには、次のように書いておくとよいでしょう。
- 故人アカウント管理連絡先に、誰を指定しているか
- アクセスキーの控えを、どこに保管しているか
- iPhoneの写真で、特に残してほしいもの
- iCloud以外で、家族に引き継いでほしいアカウント
パスワードの管理方法については、パスワード管理は老後こそ重要|実施率わずか2%の現実と家族が困らない3つの選択肢が参考になります。
生体認証が死後に壁になる理由は、Face IDが家族を締め出す日|生体認証の「便利」が死後に最大の壁になる理由【入門編】で解説しています。
子ども世代から見た「親のスマホ問題」は、親が亡くなったらスマホの中身はどうなる?デジタルネイティブ世代の相続で子どもが直面する7つの壁でまとめています。
DEN(Digital Everlife Note)は、エンディングノートの内容やデジタル資産の情報を、暗号化して保管するサービスです。
アクセスキーの保管場所や、ネット銀行・SNSなどのアカウント情報も、まとめて家族に引き継ぐことを目指しています。
iPhoneの中の思い出を、家族に確実に届けたい方へ。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 指定したい家族がAndroidを使っています。指定できますか?
A. 指定できます。設定の最後で「控えをプリント」を選び、印刷したアクセスキーを渡してください。申請する際には、その家族自身のApple Accountが必要になります。
Q2. 故人アカウント管理連絡先を設定すると、相手に通知されますか?
A. 連絡先に追加されると、相手には確認のメールが届きます。黙って設定するより、「もしものときのために設定したよ」と一言伝えておくと、家族も安心できるでしょう。
Q3. 指定された家族は、iPhoneのパスコードもわかるようになりますか?
A. わかりません。この仕組みで引き継げるのはiCloudなどに保存されたデータです。パスコードやiCloudキーチェーンのパスワードは引き継がれません。申請が承認されるとアクティベーションロックは解除されるため、端末は消去して使う形になります。
Q4. アクセスキーをなくしてしまいました。
A. 本人がご存命であれば、設定画面で連絡先の名前を選び、「アクセスキーを表示」から再確認・再印刷ができます。本人が亡くなった後に見つからない場合は、Appleが案内する別の手続きを確認してください。
Q5. LINEのトーク履歴も、この仕組みで見られますか?
A. 見られません。LINEやSNS、ネット銀行などは、それぞれのサービスの手続きが必要です。エンディングノートに、利用しているサービスの一覧を残しておくと、家族の助けになります。
Q6. 指定した連絡先を取り消すことはできますか?
A. 取り消せます。設定画面の「故人アカウント管理連絡先」から、削除したい人を選んで手続きします。家族構成や関係が変わったときは、見直しておきましょう。
エンディングノートのデジタル化にご興味がある方は、DENのサービス紹介ページをご覧ください。
まとめ
Appleのデジタル遺産プログラム(故人アカウント管理連絡先)は、iPhoneの思い出を家族に託すための仕組みです。
設定は「設定」アプリから5分ほどで終わり、指定は複数名できます。
大切なのは、設定した後のことです。
アクセスキーを家族が見つけられる場所に保管し、その場所をエンディングノートに記録しておく。
そして、承認から3年でアカウントが削除されることも、家族と共有しておきましょう。
今日、iPhoneの「設定」を開いて、「故人アカウント管理連絡先」を確認してみませんか。
Androidをお使いの方は、Googleの「アカウント無効化管理ツール」から始めてみてください。
本記事は2026年10月時点の情報です。
Apple・Googleの仕様は変更される可能性があります。最新情報は必ず各社の公式サイトでご確認ください。
参考資料
– Apple サポート「Apple Accountに故人アカウント管理連絡先を追加する方法」
– Apple サポート「亡くなった家族のApple Accountへのアクセスをリクエストする方法」
– Apple「Legacy Contact security(Apple Platform Security)」
– Apple「デジタル遺産 – 故人アカウント管理連絡先のリクエスト」
– Google アカウント ヘルプ「アカウント無効化管理ツールについて」
– Google「Updating our inactive account policies」(2023年5月)
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律・税務・投資相談ではありません。個別の案件については、専門家(弁護士・税理士・司法書士)にご相談ください。記事内の情報は作成時点(2026年10月)のものであり、各社の仕様変更や法改正等により変更される場合があります。


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