購入した電子書籍・映画・音楽は相続できない?デジタル遺産・デジタル財産・デジタルコンテンツ・デジタル遺品の違いから徹底解説
「父が愛用していたKindleに、まだ読み終えていない本がたくさん残っている」「母がずっと集めていた電子コミックを、せめて形として残したい」——大切な家族を見送ったあと、そんな思いを抱く方は少なくありません。
しかし結論からお伝えすると、購入した電子書籍・デジタル映画・音楽データなどの「デジタルコンテンツ」は、原則として相続することができません。 紙の本やDVD・CDであれば、モノとしてそのまま家族に引き継げますが、デジタルコンテンツにはそれとは異なる仕組みが存在します。
本記事では、混同されがちな「デジタル遺産」「デジタル財産」「デジタルコンテンツ」「デジタル遺品」という4つの言葉の定義を整理したうえで、何が引き継げて、何が引き継げないのかを具体的に解説します。本記事で理解できることは、以下の3点です。
- デジタル遺産・デジタル財産・デジタルコンテンツ・デジタル遺品、それぞれの言葉が指す範囲の違い
- 電子書籍・映画・音楽・ゲームアイテムが相続できない法律上・契約上の理由
- 今からできる、後悔しないための具体的な準備
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律・税務・投資相談ではありません。個別の案件については、専門家(弁護士・税理士・司法書士)にご相談ください。記事内の情報は作成時点のものであり、法改正や各サービスの利用規約の変更等により内容が変わる場合があります。最新の取り扱いについては、必ず各サービスの公式情報をご確認ください。また、本記事は特定の企業・サービスを批判する意図を持つものではなく、いずれのサービスも著作権者・権利者の保護を目的として設計されている点にご留意ください。
デジタル遺産・デジタル財産・デジタルコンテンツ・デジタル遺品の違いを整理する
これらの言葉は似ているようで、指している範囲がそれぞれ異なります。混同したまま話を進めると、「相続できる/できない」の判断を誤ってしまうことがあります。まずは表で整理してみましょう。
| 用語 | 意味 | 相続できるか |
|---|---|---|
| デジタル遺産 | 故人が残したデジタル関連の財産・データ全般を指す広義の言葉 | 中身による |
| デジタル財産 | 金銭的価値を持つデジタル資産(ネット銀行残高・仮想通貨・ポイント・NFT等) | 原則として相続可能 |
| デジタルコンテンツ | お金を払って利用権を得た電子書籍・映画・音楽・ゲーム等の作品 | 原則として相続不可 |
| デジタル遺品 | 故人が残したデータ全般(写真・動画・メール・SNSアカウント等)を指す言葉。経済的価値は問わない | 中身により対応が分かれる |
「デジタル遺産」は最も広い概念で、「デジタル財産」と「デジタル遺品」の両方を含むイメージで使われることが多い言葉です。本記事のテーマである「デジタルコンテンツ」は、この中でも購入したうえで金銭的価値を持たない作品データに限定して考えていきます。
なぜ購入した電子書籍・映画・音楽は相続できないのか
「お金を払って買ったのだから、自分のものになっているはず」と考えるのは自然な感覚です。しかし、デジタルコンテンツの購入には、紙の本やCDの購入とは異なる仕組みが存在します。
「購入」ではなく「利用許諾権」を得ているにすぎない
紙の本やCD・DVDを購入した場合、私たちはその「モノ」自体の所有権を得ています。所有権は財産権の一種であり、相続の対象になります。
一方、電子書籍や配信映画、デジタル音楽の場合、私たちが購入時に得ているのは、そのデータを個人的に利用してよいという「利用許諾権(ライセンス)」にすぎません。データそのものの所有権を得ているわけではなく、あくまで「サービスを通じて閲覧・再生する権利」を購入している、という整理になります。
利用規約で「本人限定・譲渡禁止」が明記されている
多くの電子書籍・動画配信・音楽配信サービスの利用規約には、アカウントや購入したコンテンツの利用権を第三者に譲渡・相続することはできない旨が定められています。これは特定のサービスに限った話ではなく、業界全体で共通して見られる傾向です。
死亡によってアカウントが消えると、購入コンテンツも消える
契約者本人が亡くなった場合、その利用契約は自動的に終了する仕組みになっているサービスが一般的です。アカウントが閉鎖・削除されると、これまで購入してきた電子書籍や映画、音楽データにもアクセスできなくなってしまいます。
なお、サービスによって相続時の対応方針は異なり、会員としての地位ごと引き継げる形をとっているケースも一部にはあります。契約内容は各社の利用規約によって決まるため、詳細は必ず利用中のサービスに直接ご確認ください。
【比較表】現物とデジタルで、引き継ぎ可否はここまで違う
同じ「本」「映画」「音楽」というジャンルでも、現物として持っているか、デジタルデータとして持っているかで、相続できるかどうかが大きく変わります。
| コンテンツの種類 | 引き継ぎ可否 | 理由 |
|---|---|---|
| 紙の本・CD・DVD/Blu-ray | 相続可能 | モノとしての所有権が本人にあるため |
| 電子書籍(Kindle・楽天Kobo等) | 原則として相続不可 | 購入は「読む権利」の取得にとどまるため |
| デジタル映画(配信サービスで購入) | 原則として相続不可 | アカウント単位の利用許諾であるため |
| 音楽データ(配信サービスで購入) | 原則として相続不可 | 利用規約で本人限定利用とされているため |
| ゲームアイテム・ガチャアイテム | 原則として相続不可 | ゲーム内データの利用権にとどまるため |
| 仮想通貨(暗号資産) | 相続可能 | 金銭的価値を持つ「デジタル財産」に該当するため |
このように整理すると、「形があるかどうか」ではなく「所有権を得ているか、利用許諾を得ているだけか」が、相続できるかどうかの分かれ目になっていることがわかります。仮想通貨のような「デジタル財産」については、財産としての評価方法や生前対策のポイントを「仮想通貨の秘密鍵を失くしたら永久に消える?回復できる場合・できない場合と今すぐやるべき対策」でも詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
デジタル終活を安全・簡単に進めたい方は、DENのモニター募集をご確認ください。
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例外はある?ファミリー共有という実務的な選択肢
「本当に何も引き継げないのか」というと、そうとも言い切れません。一部のサービスには、家族間でコンテンツを共有できる仕組みが用意されています。
Appleのファミリー共有・Googleのファミリーリンク
Apple・Googleなどが提供するファミリー共有系の機能を生前から設定しておくことで、購入した一部のコンテンツを家族と共有できるケースがあります。ただし、これは「相続」とは異なり、あくまで生前に設定した共有グループの枠組みの中で成り立つ仕組みです。
死後のアカウント共有には注意が必要
ファミリー共有の仕組みを使っていても、契約者本人が亡くなった後の扱いはサービスによって異なります。共有グループ自体が解散してしまう場合や、死後の第三者によるアカウント利用が規約上想定されていない場合もあります。
利用規約は各サービスの判断で随時見直されるため、最新の取り扱いについては、必ず利用中のサービスの公式情報をご確認ください。
もう一つの例外:故人が「作った」作品の著作権は相続できる
ここまでは「購入したコンテンツ」についての話でしたが、故人自身が電子書籍を出版していたり、イラスト・楽曲などのデジタル作品を制作していたりした場合は事情が異なります。
こうした場合、故人が持っていた「著作権」は財産権の一種として、相続の対象になります。「買ったコンテンツを楽しむ権利」と「自分で作った作品に対する権利」はまったく別のものであり、この違いを理解しておくことも大切です。
デジタルコンテンツを「消してしまわない」ための3つの対策
購入したデジタルコンテンツをすべて次の世代に引き継ぐことは難しくても、後悔を減らすためにできることはあります。
- 家族で共有できるサービスを生前に設定しておく:ファミリー共有機能が用意されているサービスであれば、早めに設定し、家族と使い方を共有しておきましょう
- 特に大切なものは、現物でも持っておく:思い入れの強い本や作品については、電子版だけでなく紙の本やパッケージ版でも手元に残しておくという選択肢も有効です
- エンディングノートにデジタルコンテンツの一覧を記録しておく:どのサービスで、何を購入しているのかを家族が把握できるようにしておくだけでも、死後の混乱を大きく減らせます
DENのデジタルエンディングノートは、こうした情報を一つの場所に平文で残すのではなく、三分割して暗号化して保管する方式を採用しています。生前は本人以外が中身を確認できない状態を保ちながら、必要なときには家族だけが「何を、どのサービスで購入していたか」にたどり着ける仕組みです。デジタル終活全体の進め方については「デジタル終活とは?スマホ・SNS・仮想通貨の整理から家族を守る完全ガイド」でも解説していますので、あわせてご覧ください。
なお、デジタルコンテンツ以外にも、デジタル遺品全般にまつわるトラブルは多く報告されています。具体的な事例と対策については「デジタル遺品トラブル事例8選|「こんなはずじゃなかった」を防ぐ具体的対策」も参考になります。
よくある質問
Q1. 家族のIDとパスワードを使って、故人が購入した電子書籍を読み続けるのは問題がありますか?
A. 多くのサービスの利用規約では、アカウントの利用は契約者本人に限定されています。技術的にログインできてしまう場合でも、規約違反にあたる可能性があるため、各サービスの利用規約を確認したうえで慎重に判断することをおすすめします。
Q2. サブスクリプション型の動画・音楽配信サービスも、同じように相続できませんか?
A. サブスクリプション型のサービスは「利用権」をその都度支払っている形態であり、そもそも個別のコンテンツを「購入」しているわけではありません。契約者本人の死亡により契約が終了する点は、購入型のサービスと共通しています。
Q3. 電子書籍と紙の本、両方を買うのは無駄になりませんか?
A. 読みやすさや保管スペースの面では電子書籍に利点がありますが、「次の世代に残したい」という思いがある作品については、紙の本やパッケージ版を選ぶことにも意味があります。用途に応じて使い分けるのも一つの考え方です。
Q4. ゲームに課金して手に入れたアイテムは、財産として扱われませんか?
A. ゲーム内アイテムの多くは、ゲーム運営会社が提供する「利用権」の一種と位置づけられており、一般的には金銭的価値のある財産として相続の対象にはならないとされています。
Q5. デジタルコンテンツと違い、仮想通貨はなぜ相続できるのですか?
A. 仮想通貨は、電子書籍や音楽のような「作品を利用する権利」ではなく、それ自体が金銭的価値を持つ「デジタル財産」として扱われるためです。取引所を通じて管理されている場合は、通常の相続手続きに沿って承継の手続きを進めることができます。
Q6. 利用規約は今後変わる可能性がありますか?
A. 各サービスの利用規約は、事業者の判断により随時見直される可能性があります。本記事の内容は執筆時点の一般的な情報であり、最新の取り扱いについては必ず利用中のサービスの公式ページでご確認ください。
まとめ|「購入=所有」ではないからこそ、生前の準備が大切
- デジタル遺産・デジタル財産・デジタルコンテンツ・デジタル遺品は、それぞれ指す範囲が異なる言葉です
- 電子書籍・デジタル映画・音楽データなどの「デジタルコンテンツ」は、原則として相続できません。購入とは「利用許諾権」の取得にすぎず、利用規約で本人限定利用と定められているためです
- 一方、仮想通貨のような金銭的価値を持つ「デジタル財産」は、相続の対象になります
- Appleのファミリー共有・Googleのファミリーリンクなど、生前の設定次第で一部のコンテンツを家族と共有できるケースもありますが、利用規約は変更される可能性があるため最新情報の確認が欠かせません
- 大切なコンテンツは現物でも持つ、エンディングノートに一覧を残しておくといった生前の備えが、家族の後悔を減らす最大の対策になります
DENは、相続・遺言・終活に関する大切な情報を暗号化して安全に保管するデジタル終活サービスです。現在、サービス開始に向けてモニターを募集しています。
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更新日:2026年9月14日(最終確認日:2026年9月14日)
参考:法務省(https://www.moj.go.jp/)、国税庁(https://www.nta.go.jp/)の公表情報を参照


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