2027年問題とは?2025年問題との違いと、団塊世代が全員後期高齢者になった日本の現実

和室で日本人の高齢の父親と50代の娘が、縁側越しの庭を眺めながら穏やかに語り合っている様子 終活・エンディングノート

公開日:2026年10月7日 / 最終確認日:2026年10月7日
執筆:終活・相続専門チーム(DEN編集部)

本記事は2026年10月時点の情報です。制度改正の議論は進行中のため、最新情報は厚生労働省などの公表資料でご確認ください。

「2025年問題」という言葉は、ニュースで何度も耳にしてきたと思います。
団塊の世代が全員75歳以上になり、日本が本格的な超高齢社会に入る、という話です。

では、その「2025年」を過ぎた今、何が起きているのでしょうか。

団塊の世代は今、77〜79歳になりました。
親が80歳を目前にしている50〜60代の方にとって、これはもう「将来の話」ではありません。

医療費や保険料、介護の担い手、そして相続や実家の行方。
2025年問題が、家計や家族の暮らしに具体的に表れ始める時期を、本記事では「2027年問題」と呼んで整理します。

本記事で分かること
– 2027年問題と2025年問題の違い
– 医療費・保険料、介護人材、介護保険制度改正への影響
– 見落とされがちな「相続」と「実家の空き家」の問題
– 団塊世代本人・50〜60代の子ども・現役世代それぞれの「自分ごと」
– 今からできる3つの備え

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律・税務・投資・医療に関する相談ではありません。個別の案件については、専門家(弁護士・税理士・司法書士)や自治体の窓口にご相談ください。


2027年問題とは?2025年問題との違い

2027年問題とは、団塊の世代が全員75歳以上になった「2025年問題」の影響が、2027年度の介護保険制度改正などを通じて、医療・介護・相続・住まいの各分野で具体的に表れ始める状況を指す言葉です。

団塊の世代は「すでに全員が後期高齢者」

団塊の世代とは、1947〜1949年に生まれた世代のことです。
1949年生まれの方が75歳になったのは2024年です。
つまり、団塊の世代は2024年末の時点で全員が75歳以上になっています。

総務省統計局によると、2026年9月15日現在の75歳以上人口は2,168万人です。
総人口に占める割合は17.7%で、前年より0.5ポイント上がりました。
およそ6人に1人が75歳以上という計算になります。

2025年問題と2027年問題の違い

項目 2025年問題 2027年問題(本記事の整理)
何が起きるか 団塊の世代が全員75歳以上になる その影響が制度と家計に表れ始める
主な論点 社会保障費の増大、医療・介護の需要増 保険料の上昇、介護保険改正、相続・空き家
時期の目安 2022〜2025年 2026〜2027年度以降
誰に響くか 主に国・自治体の財政 本人・子ども・現役世代の家計と暮らし

「2027年問題」という言葉には、まだ決まった定義はありません。
介護業界では、主に2027年度の介護保険制度改正を指して使われることが多いようです。

本記事では、それに加えて相続と空き家の視点からも整理します。
では、まず医療費から見ていきましょう。


影響①:医療費と保険料の増加

75歳以上の1人当たり医療費は65歳未満の約4.5倍にのぼり、後期高齢者が増えるほど医療費全体と保険料が上がりやすい構造になっています。

75歳以上の医療費は、65歳未満の約4.5倍

厚生労働省「令和4(2022)年度 国民医療費の概況」によると、年齢別の1人当たり医療費は次のとおりです。

年齢 1人当たり国民医療費(年額)
65歳未満 約21.0万円
65歳以上 約77.6万円
75歳以上 約94.1万円

年を重ねれば、医療が必要になるのは自然なことです。
ただ、75歳以上の方が増えるほど、医療費の総額は大きくなります。

後期高齢者の保険料は、全国平均で月7,989円に

厚生労働省によると、2026・2027年度の後期高齢者医療の保険料は、全国平均で月額7,989円の見込みです。
2024・2025年度の7,411円から、578円(7.8%)増えました。

また、2022年10月からは、一定以上の所得がある75歳以上の方の窓口負担が1割から2割になっています。
厚生労働省によると、対象は後期高齢者医療の被保険者全体の約20%です。

医療費の増加は、現役世代が払う健康保険料にも影響します。
世代を問わず関係する話だといえるでしょう。

では、介護の現場では何が起きているのでしょうか。


影響②:介護需要の増加と人材不足

介護が必要になりやすい80代以上が増える一方で、介護の担い手は足りておらず、厚生労働省は2026年度に約240万人の介護職員が必要になると推計しています。

必要な介護職員は「2040年度に約272万人」

厚生労働省が2024年7月に公表した推計(第9期介護保険事業計画に基づく)は次のとおりです。

年度 必要な介護職員数 2022年度(約215万人)との差
2026年度 約240万人 約25万人増
2040年度 約272万人 約57万人増

団塊の世代は、これから80代に入っていきます。
介護が必要になる方が増える時期と、担い手不足が重なることになります。

「介護離職」は50代が中心

総務省「令和4年就業構造基本調査」によると、介護・看護を理由に直近1年間で仕事を辞めた人は約11万人でした。
介護離職は、働き盛りの50代に多いと指摘されています。

団塊の世代の子ども、いわゆる団塊ジュニア世代は、今まさに50代です。
親の介護と仕事の両立は、多くの家庭で現実の課題になりつつあります。

仕事と介護の両立については、介護離職を防ぐ5つの方法|仕事と介護を両立するための制度・給付金・相談先で詳しく紹介しています。

こうした状況を受けて、介護保険の制度そのものも見直しが議論されています。


影響③:2027年度の介護保険制度改正

2027年度は第10期介護保険事業計画が始まる年で、利用者負担2割の対象拡大などが社会保障審議会の介護保険部会で議論されていますが、2026年10月時点では結論は出ていません。

議論されている主な論点

介護保険の利用者負担は、所得に応じて1〜3割です。
2027年度に向けた見直しでは、次のような論点が挙げられてきました。

  • 利用者負担が2割になる人の範囲を広げるかどうか
  • ケアプラン(ケアマネジメント)に利用者負担を設けるかどうか
  • 要介護1・2の方へのサービスの位置づけ

2026年9月18日の介護保険部会では、2割負担の判断基準について複数の案が示されました。
最も対象が広い案では、新たに約35万人が影響を受けるという厚生労働省の資料が紹介されています(社会保険研究所の報道による)。

賛否それぞれの意見がある

この議論には、立場によってさまざまな意見があります。

主な視点 意見の例
制度を持続させる視点 負担能力のある人に応分の負担を求め、現役世代の負担増を抑える必要がある
利用者の生活を守る視点 物価上昇で生活に余裕がない中、負担増は利用控えや重度化につながるおそれがある

どちらにも理由があり、本記事でどちらが正しいと判断することはできません。
大切なのは、決まったことを正しく知り、家計の備えに反映することです。

介護保険の基本的な仕組みは、介護保険とは?仕組み・要介護認定7段階・申請から利用開始までの流れを完全ガイドで解説しています。

医療と介護の話は、よくニュースになります。
一方で、あまり語られないのが「相続」の問題です。


影響④:多死社会と相続の増加

日本では年間約160万人が亡くなる「多死社会」が続いており、団塊の世代が80代に入るこれからの十数年は、親から子への相続が多くの家庭で現実の課題になります。

年間の死亡数は約159万人

厚生労働省「人口動態統計月報年計(概数)」によると、2025年の死亡数は158万9,489人でした。
前年より約1万6千人少なく、5年ぶりの減少です。

一方、出生数は67万1,236人で、過去最少を更新しました。
亡くなる方が生まれる子どもの2倍以上いる状態が続いています。

死亡数は年によって増減します。
ただ、団塊の世代が平均寿命に近づくにつれ、相続を経験する家庭は今後も多い状態が続くと考えられます。

相続の「手間」は以前より重くなっている

相続の手続きには、預貯金の解約、不動産の名義変更、相続税の申告などがあります。
2024年4月からは、相続登記の申請が義務化されました。

さらに最近は、スマホやネット銀行、ネット証券、サブスクといったデジタル資産の存在が、手続きを難しくしています。
親がどんな口座やアカウントを持っているか、子どもが把握していないことも少なくありません。

相続登記の義務化については、相続登記の義務化完全ガイド|2024年4月スタート、期限・罰則・過去分適用までわかりやすく解説で詳しく解説しています。

相続の中でも、特に悩む方が多いのが「実家」です。


影響⑤:相続した実家が空き家になる

全国の空き家は900万戸と過去最多で、親世代が持つ住宅が相続されたあと住む人がいないまま残ると、空き家はさらに増えると考えられます。

空き家は過去最多の900万戸に

総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると、2023年10月時点の空き家は900万2千戸でした。
空き家率は13.8%で、いずれも過去最多・過去最高です。

そのうち、賃貸・売却用や別荘などを除いた「使い道の決まっていない空き家」は385万6千戸です。
2018年から36万9千戸増えています。

「実家をどうするか」を先送りにしない

団塊の世代には、長年住み続けた持ち家で暮らす方も多いでしょう。
一方で、子どもはすでに別の場所で暮らしていることも少なくありません。

そうすると、親が亡くなったり施設に入ったりしたあと、実家が空き家になります。
誰が住むのか、売るのか、貸すのか。
親が元気なうちに話し合っておくことで、相続後の迷いを減らせます。

実家の扱いに迷ったときは、実家の空き家は売却・賃貸・解体どれが得?3択の判断基準チェックリストも参考にしてください。

ここまでの5つの影響は、立場によって響き方が違います。


立場別に考える「2027年問題」の自分ごとチェック

2027年問題の影響は、団塊の世代本人、その子どもである50〜60代、そして現役世代で異なるため、自分の立場に合わせて優先すべき準備を考えることが大切です。

団塊の世代本人(77〜79歳)

気になること 確認しておきたいこと
医療・介護 自分の負担割合(医療・介護)と、介護が必要になったときの希望
お金 保険料の変化、預貯金・年金の把握
相続 財産の一覧、遺言書を書くかどうか
住まい 実家(自宅)を将来どうしたいか

団塊の世代の子ども(50〜60代)

気になること 確認しておきたいこと
親の介護 地域包括支援センターの場所、介護休業制度
親の医療 かかりつけ医、常用薬、医療の希望
相続 親の口座・保険・不動産・デジタル資産の概要
実家 親の意向と、相続後の扱いについての家族の考え

現役世代(20〜40代)

  • 健康保険料・介護保険料の変化を給与明細で確認する
  • 祖父母や親の介護が始まったときの相談先を知っておく
  • 自分自身の老後資金づくりを早めに始める

あてはまる項目が多くても、焦る必要はありません。
一つずつ確認していけば大丈夫です。

では、具体的に何から始めればよいのでしょうか。


今からできる3つの備え

2027年問題への備えとしては、①エンディングノートで情報を整理する、②介護保険・高額療養費などの負担軽減制度を知る、③相続対策を早めに始める、の3つが今日から取り組みやすい方法です。

備え①:エンディングノートで「情報」を整理する

介護や相続で家族が困るのは、多くの場合「情報がわからない」ときです。

  • 通院先・かかりつけ医・常用薬
  • 介護が必要になったときの希望
  • 預貯金・保険・年金・不動産の一覧
  • スマホやネット銀行など、デジタル資産のアカウント
  • 家族や友人の連絡先

これらを一冊にまとめておくだけで、家族の負担は大きく変わります。

備え②:負担を軽くする制度を知っておく

医療費や介護費が高額になったときは、自己負担を抑える制度があります。

制度 内容
高額療養費制度 1か月の医療費の自己負担に上限がある
高額介護サービス費 1か月の介護サービスの自己負担に上限がある
介護休業・介護休暇 家族の介護のために仕事を休める(雇用保険から給付金あり)

高額介護サービス費については、高額介護サービス費とは?月4.4万円を超えた介護費用が戻る制度で解説しています。

備え③:相続対策は「元気なうち」に始める

認知症などで判断能力が低下すると、遺言書の作成や財産の整理が難しくなることがあります。
相続対策は、元気なうちにしかできないことが多いのです。

  • 財産の全体像を家族と共有する
  • 遺言書を書くかどうかを考える
  • 実家の扱いについて話し合う
  • 必要に応じて専門家(弁護士・税理士・司法書士)に相談する

亡くなった後に必要な手続きと費用の全体像は、死後処理にかかる費用は総額いくら?葬儀・相続・遺品整理まで完全ロードマップで確認できます。

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  • 医療・介護についての希望、かかりつけ医の情報
  • 預貯金・保険・不動産の一覧
  • スマホやネット銀行など、デジタル資産のアカウント情報
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紙のノートと違って更新しやすく、離れて暮らす家族との情報の引き継ぎに役立てることを目指しています。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 2027年問題と2025年問題は、何が違うのですか?
A. 2025年問題は「団塊の世代が全員75歳以上になる」という人口の変化を指します。本記事でいう2027年問題は、その影響が2027年度の介護保険制度改正や保険料、相続・空き家などを通じて、家計や暮らしに具体的に表れ始める状況を指しています。なお、2027年問題には決まった定義はありません。

Q2. 団塊の世代は、いつ全員75歳以上になったのですか?
A. 団塊の世代は1947〜1949年生まれのため、最も若い1949年生まれの方が75歳になった2024年に、全員が75歳以上になりました。2026年時点では77〜79歳です。

Q3. 介護保険の自己負担は、2027年度から必ず上がるのですか?
A. 2026年10月時点では、まだ決まっていません。2割負担の対象拡大などが社会保障審議会で議論されている段階です。最新の情報は、厚生労働省やお住まいの市区町村の公表資料でご確認ください。

Q4. 親の介護が始まったら、まずどこに相談すればよいですか?
A. 親が住んでいる地域の「地域包括支援センター」が最初の相談先になります。介護保険の申請方法や、使えるサービスについて相談できます。

Q5. 実家をどうするか、親とどう話し合えばよいですか?
A. 「売る・売らない」から入るのではなく、「将来どこで暮らしたいか」「家への思い」を聞くところから始めると話しやすくなります。決めきれない場合も、親の考えをエンディングノートに残してもらうだけで、相続後の判断材料になります。

Q6. エンディングノートには法的な効力がありますか?
A. エンディングノートには、遺言書のような法的効力はありません。財産の分け方を法的に指定したい場合は、遺言書を作る必要があります。エンディングノートは、家族が必要な情報を知るための「引き継ぎの道具」として活用するのがおすすめです。

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まとめ:2027年問題は「誰かの問題」ではなく「わが家の問題」

団塊の世代は、すでに全員が75歳以上になりました。
これから先、医療費や保険料、介護の担い手、制度改正、相続、実家の空き家といった形で、その影響が少しずつ暮らしに表れてきます。

ただ、こうした変化の多くは、前もって知り、準備することで影響を和らげることができます。
制度は議論の途中のものもあるため、決まったことを確認しながら、わが家に合った備えを考えていくことが大切です。

まずは、親の通院先や口座、実家への思いを一つ聞いてみる。
そんな小さな一歩から、家族の「2027年問題」への準備を始めてみませんか。

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参考資料
– 総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-(令和8年)」(2026年9月15日現在)
– 厚生労働省「令和7年(2025)人口動態統計月報年計(概数)の概況」(2026年6月公表)
– 厚生労働省「令和4(2022)年度 国民医療費の概況」
– 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和8・9年度の保険料率について」(2026年4月)
– 厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」
– 厚生労働省「介護人材確保に向けた取組について(第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数)」(2024年7月)
– 社会保険研究所「2割負担の対象拡大に慎重論相次ぐ――第136回社会保障審議会介護保険部会(2026年9月18日)」
– 総務省統計局「令和4年就業構造基本調査 結果の概要」(2023年7月)
– 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)」(2024年)
– 法務省「不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~」

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律・税務・投資・医療に関する相談ではありません。個別の案件については、専門家(弁護士・税理士・司法書士)や自治体の窓口にご相談ください。本記事は2026年10月時点の情報であり、制度改正の議論の状況や統計は今後変更される場合があります。特定の政党・政策を支持または批判する意図はありません。

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