公開日: 2026-09-09 / 最終確認日: 2026-09-09
監修: 終活・相続専門チーム(DEN編集部)
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療・介護・法律相談ではありません。
制度の詳細(保険料額・限度額の単価・独自サービスの有無など)は市区町村によって異なるため、
個別の内容については必ずお住まいの市区町村の介護保険担当窓口、または地域包括支援センターにご確認ください。
記事内の情報は作成時点のものであり、法改正等により変更される場合があります。
「親の物忘れが増えてきた気がする」「そろそろ介護が必要かもしれない」——そう感じたとき、多くの方が最初にぶつかるのが「何から始めればいいのかわからない」という壁です。
介護保険は、名前は知っていても、実際に使う場面になるまで仕組みを詳しく知らない制度の代表格です。しかし、申請の流れや使えるサービスをあらかじめ理解しておけば、いざというときに落ち着いて動くことができます。
本記事でわかること:
– 介護保険制度の基本的な仕組みと、対象になる年齢・条件
– 要介護認定7段階が、日常生活のどんな違いを表しているか
– 申請から介護サービス利用開始までの7つのステップ
– 自己負担割合(1〜3割)の決まり方
– 要介護度別に使える「区分支給限度額」の目安
– 在宅サービス・施設サービスにはどんな種類があるか
– 最初に相談すべき「地域包括支援センター」の役割
介護保険とは——40歳から始まる「支え合い」の仕組み
介護保険制度は、2000年に始まった社会保険制度です。40歳になると加入が義務付けられ、保険料を納めることで、将来介護が必要になったときに、原則1割の自己負担でサービスを利用できる仕組みになっています。
財源は、被保険者が納める保険料と、国・都道府県・市区町村が負担する公費で構成されています。保険料の基準額は市区町村ごとに設定されており、地域によって金額が異なります。(参考:厚生労働省「介護保険制度の概要」)
ここで重要なのは、介護保険は自動的にサービスが始まる制度ではないという点です。加入していても、実際にサービスを利用するには「要介護認定」を受ける必要があります。次の章から、対象者の条件と認定の仕組みを順番に見ていきましょう。
誰が対象?第1号被保険者と第2号被保険者の違い
介護保険の被保険者は、年齢によって2つの区分に分かれており、それぞれ条件が異なります。
第1号被保険者(65歳以上)
65歳以上の方は、原因を問わず、日常生活で介護や支援が必要な状態になった場合に認定を受けられます。加齢に伴う衰えはもちろん、事故によるケガなどが原因でも対象になります。
第2号被保険者(40〜64歳)
40歳から64歳までの方は、末期がんや関節リウマチ、初老期における認知症など、加齢に伴う特定の疾病(特定疾病)が原因で介護が必要になった場合に限り、認定の対象となります。交通事故など特定疾病に該当しない原因の場合は、40〜64歳では介護保険の対象になりません。
この違いを知らずに「40代だから関係ない」と思い込んでしまうと、いざというときに手続きが遅れる原因になります。特に若年性認知症など、特定疾病に該当するケースがあることは覚えておく価値があります。
要介護認定7段階——数字だけではわからない「日常生活の違い」
要介護認定は、「要支援1・2」「要介護1〜5」の合計7段階に分かれています。数字が大きくなるほど、必要な介護の度合いが重くなるイメージです。
- 要支援1・2:日常生活はほぼ自分で行えるが、家事や身の回りの一部に見守りや軽い支援が必要な状態。将来的な介護予防の観点からサービスを利用する段階です。
- 要介護1:立ち上がりや歩行が不安定になり始め、身の回りの動作に部分的な介助が必要になる状態。
- 要介護2:食事や排せつなど、日常的な動作にも部分的な介助が必要になり、判断力の低下が見られることもあります。
- 要介護3:立ち上がりや歩行が自力では難しく、食事・排せつ・入浴など多くの場面で介助が必要になる状態。
- 要介護4:日常生活の動作全般に介助が必要で、意思疎通が難しくなるケースもあります。
- 要介護5:ほぼ寝たきりの状態で、日常生活全般にわたって全面的な介助が必要になります。
数字だけを見ると違いがわかりにくいものですが、「見守り程度で済むのか」「食事や排せつにまで介助が必要なのか」という日常生活のイメージで捉えると理解しやすくなります。実際の認定結果は、後述する認定調査と主治医の意見書をもとに総合的に判定されます。
要介護認定、申請から利用開始までの7ステップ
「何から始めればいいかわからない」という方のために、申請から実際にサービスを利用するまでの流れを7つのステップに整理しました。
STEP1:市区町村の窓口、または地域包括支援センターに申請
まずは、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口、または地域包括支援センターで申請します。介護保険被保険者証(40〜64歳の方は医療保険被保険者証)が必要です。
STEP2:認定調査員が自宅を訪問(約1時間)
申請後、市区町村の認定調査員が自宅などを訪問し、心身の状態について本人や家族から聞き取りを行います。所要時間の目安は1時間程度です。
STEP3:主治医の意見書作成
市区町村が主治医に依頼し、心身の状態に関する意見書を作成してもらいます。かかりつけ医がいない場合は、市区町村が指定する医師の診察を受けることになります。
STEP4:介護認定審査会が審査
認定調査の結果と主治医の意見書をもとに、コンピューターによる一次判定を行ったうえで、保健・医療・福祉の専門家で構成される介護認定審査会が二次判定を行います。
STEP5:認定結果の通知(申請から約30日)
審査結果は、申請から原則30日以内に、要支援1・2、要介護1〜5、または「非該当」のいずれかで通知されます。
STEP6:ケアマネジャーを決めてケアプラン作成
要介護・要支援の認定を受けたら、ケアマネジャー(介護支援専門員)を選び、どのサービスをどのくらい利用するかを定めた「ケアプラン」を作成してもらいます。要支援の場合は地域包括支援センターが、要介護の場合は居宅介護支援事業所のケアマネジャーが窓口になるのが一般的です。
STEP7:サービス開始
ケアプランに沿って、訪問介護やデイサービスなどの利用が始まります。
この7ステップの流れを頭に入れておくだけで、「今どの段階にいるのか」が把握しやすくなり、不安が和らぎます。(参考:厚生労働省「要介護認定に係る制度の概要」)
自己負担割合はいくら?1〜3割の決まり方
介護保険サービスを利用する際の自己負担割合は、原則1割です。ただし、一定以上の所得がある65歳以上の方(第1号被保険者)については、2割または3割の負担となる場合があります。
負担割合は、本人の合計所得金額や、65歳以上の方がいる世帯の年金収入等の状況をもとに、市区町村が判定します。判定結果は「介護保険負担割合証」として通知され、この証明書を提示することでサービス利用時の負担割合が適用されます。
負担割合が何割になるかは所得状況によって毎年見直される可能性があるため、最新の負担割合証を必ず確認しておくことが大切です。
要介護度別の区分支給限度額(早見表)
介護保険の在宅サービス(居宅サービス・地域密着型サービス)には、要介護度に応じて1ヶ月に利用できる金額の上限「区分支給限度基準額」が定められています。上限を超えて利用した分は、全額自己負担になります。
| 要介護度 | 支給限度額の目安(月額) | 主な状態イメージ |
|---|---|---|
| 要支援1 | 最も低い水準 | 見守り・軽い支援が中心 |
| 要支援2 | 要支援1よりやや高い水準 | 一部動作に支援が必要 |
| 要介護1 | 要支援2よりさらに高い水準 | 部分的な介助が必要 |
| 要介護2 | 要介護1より高い水準 | 複数の動作に介助が必要 |
| 要介護3 | 要介護2より高い水準 | 多くの場面で介助が必要 |
| 要介護4 | 要介護3より高い水準 | 生活動作全般に介助が必要 |
| 要介護5 | 最も高い水準 | ほぼ全面的な介助が必要 |
具体的な金額は、1単位あたりの単価が地域やサービスの種類によって異なるため、全国一律の数字では示せません。制度の詳細は地域によって異なるため、必ず市区町村に確認してください。限度額を超えて利用したい場合は、超過分をどう扱うか事前に相談しておくと安心です。
使えるサービス一覧——在宅サービスと施設サービス
介護保険で利用できるサービスは、大きく「在宅サービス」と「施設サービス」に分けられます。
在宅サービス(自宅で暮らしながら利用)
- 訪問介護:ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事・入浄・排せつなどの介助や生活援助を行う
- 訪問看護:看護師が自宅を訪問し、療養上の世話や医療的なケアを行う
- デイサービス(通所介護):日中、施設に通って入浴・食事・レクリエーションなどを受ける
- ショートステイ(短期入所):数日〜数週間、施設に宿泊して介護を受ける。家族の休息(レスパイトケア)にも活用される
施設サービス(施設に入所して利用)
- 特別養護老人ホーム(特養):要介護3以上が原則の対象で、長期的な生活の場となる
- 介護老人保健施設(老健):リハビリを中心に、在宅復帰を目指す施設
- 介護医療院:医療的なケアと生活支援を長期的に受けられる施設
どのサービスを組み合わせるかは、本人の状態や家族の状況によって大きく変わります。この選択を一人で抱え込む必要はなく、次に紹介する地域包括支援センターやケアマネジャーに相談しながら決めていくのが基本です。
老後の住まい方には、在宅以外にも複数の選択肢があります。費用や介護度に応じた比較は老後の住まい、どう選ぶ?6つの選択肢を費用・介護度・自由度で徹底比較で詳しく整理しています。
最初の相談窓口——地域包括支援センターの役割
「介護保険の申請をしたいけれど、何から手をつければいいかわからない」という方にとって、最初の相談先となるのが地域包括支援センターです。
地域包括支援センターは、高齢者の暮らしに関するあらゆる相談を受け付ける総合窓口で、主任ケアマネジャー・保健師・社会福祉士といった専門職が配置されています。要介護認定の申請代行、ケアマネジャーの紹介、介護予防に関する相談まで、幅広く対応してもらえます。(参考:厚生労働省「地域包括支援センターの概要」)
「まだ申請するかどうか決めていない」という段階でも、地域包括支援センターに相談することは可能です。迷った時点で一度連絡してみることをおすすめします。センターの所在地は、市区町村のホームページや窓口で確認できます。
なお、認知症が疑われる場合は、早期の気づきが本人の意思決定を尊重した準備につながります。詳しくは認知症の早期発見サイン10選|発症前にやるべき5つの準備をご覧ください。日本における認知症の人数は、厚生労働省の最新推計で2025年時点は約471.6万人、2040年には約584.2万人に上るとされており、決して他人事ではないテーマです。
在宅での見守り体制を整えたい場合は、高齢者見守りサービスの種類・選び方【入門編】もあわせてご確認ください。
エンディングノートに介護の希望とケアマネ情報を残す
介護保険の申請や制度の仕組みを理解しておくことは大切ですが、それと同じくらい重要なのが「本人がどのような介護を望んでいるか」を、元気なうちから記録しておくことです。
いざ介護が必要になったとき、本人の意思確認が難しくなっているケースも少なくありません。「自宅で暮らし続けたいのか、施設への入所を希望するのか」「担当のケアマネジャーは誰で、連絡先はどこか」といった情報が整理されていないと、家族は判断に迷い、負担が大きくなってしまいます。
デジタル終活を安全・簡単に進めたい方は、DENのモニター募集をご確認ください。介護に関する希望やケアマネジャーの連絡先、かかりつけ医の情報などを暗号化して安全に記録し、必要なときに家族へ確実に伝えられる仕組みを提供しています。
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DENは、相続・遺言・終活に関する大切な情報を暗号化して安全に保管するデジタル終活サービスとして、介護に関する希望の記録もサポートします。デジタル終活を効率的に進めたい方は、DENのサービス紹介ページもあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 介護保険の申請は誰でもできますか?
申請自体は本人だけでなく、家族や親族が代理で行うことも可能です。遠方に住んでいる場合や、本人が窓口に行くのが難しい場合は、地域包括支援センターに相談すると手続きをサポートしてもらえます。
Q2. 要介護認定にはどのくらいの費用がかかりますか?
要介護認定の申請・調査・審査そのものには、原則として費用はかかりません。ただし、主治医の意見書作成にあたり、受診が必要になる場合は診察費用が発生することがあります。
Q3. 認定結果に納得がいかない場合はどうすればいいですか?
認定結果に疑問がある場合は、都道府県の介護保険審査会に不服申立てをする制度があります。また、状態が変化した場合には、区分変更の申請を行うことも可能です。まずは市区町村の窓口やケアマネジャーに相談することをおすすめします。
Q4. 要介護認定には有効期間がありますか?
はい、認定には有効期間が設けられており、期間満了前に更新申請が必要です。心身の状態が変化した場合は、有効期間内であっても区分変更を申請できます。
Q5. 地域包括支援センターには誰が相談できますか?
地域包括支援センターは、原則として高齢者本人だけでなく、家族や地域住民からの相談にも対応しています。「まだ介護保険の対象かどうかわからない」という段階でも相談可能です。
Q6. ケアマネジャーは自分で選べますか?
要支援の場合は地域包括支援センターが、要介護の場合は居宅介護支援事業所のケアマネジャーが担当します。事業所やケアマネジャーとの相性が合わないと感じた場合、変更を相談することも可能です。
まとめ——次に読むべき介護保険シリーズ記事
介護保険は、40歳から加入し、要介護認定を受けることで初めてサービスを利用できる制度です。申請から利用開始までの7ステップ、要介護認定7段階の違い、自己負担割合、区分支給限度額といった基本を押さえておくことで、いざというときに落ち着いて対応できます。
制度の詳細は市区町村によって異なる部分があるため、具体的な手続きや金額については、必ずお住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センター、ケアマネジャー、社会福祉士といった専門家に確認しながら進めてください。
介護をめぐる準備は、制度の理解だけで終わりません。老後の住まい方や、認知症の早期発見、見守りサービスの活用など、あわせて知っておきたいテーマは数多くあります。関連記事もぜひ参考にしてください。


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