認知症の行方不明、2025年も高止まり|介護保険料が全額免除に【2026年9月最新】家族の対応と備え

夕暮れ時の玄関先で家族の帰りを静かに待つ温かい雰囲気のイメージ 認知症・成年後見

認知症の行方不明、2025年も高止まり|介護保険料が全額免除に【2026年9月最新】家族の対応と備え

公開日:2026年9月12日 / 最終確認日:2026年9月12日
監修:終活・相続専門チーム(DEN編集部)

「さっきまで庭にいたはずなのに、姿が見えない」——認知症の家族を持つ方にとって、この瞬間ほど心臓が凍りつく経験はないかもしれません。警察に届け出るべきか、まず近所を探すべきか、頭が真っ白になりながらも動かなければならない。そして無事に見つかったあとには、「介護保険料はどうなるのか」という現実的な問題も待っています。

2025年、認知症やその疑いで行方不明になったとして警察に届け出があった人は17,345人にのぼりました。そして2026年9月8日、厚生労働省は行方不明になった高齢者の家族の負担を考えて、介護保険料を全額免除できるとする通知を全国の自治体に発出しました。これまで多くの現場では「減額」までしか想定されていなかった扱いが、大きく前進した形です。

本記事では、認知症による行方不明の現状と、この最新の制度改正、そして家族が実際に行方不明に直面したときにとるべき対応、日頃からの予防策までを、当事者・家族への配慮を第一にしながら解説します。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療・法律相談ではありません。個別の介護保険手続きについては必ずお住まいの市区町村(介護保険担当窓口)に、認知症の症状や対応については医師にご確認ください。記事内の情報は作成時点のものであり、制度改正等により内容が変わる場合があります。本記事は2026年9月時点の情報です。

認知症による高齢者の行方不明、いま何が起きているか

大切な家族が突然いなくなる。その不安と焦りは、経験した人にしか分からないものかもしれません。まずは、いまの状況を数字で整理します。

警察庁の統計によると、2025年中に認知症やその疑いがあるとして行方不明者届が出された人は17,345人でした。前年より776人減少したものの、依然として高水準が続いています。過去最多は2023年の19,039人で、統計を取り始めた2012年と比べると届出数はおよそ2倍に増えています。高齢化が進むなかで、誰の家庭にとっても他人事ではない数字だといえるでしょう。

一方で、発見率の高さも重要な事実です。2025年に所在や安否が確認された認知症行方不明者のうち、約96.7%が届け出から3日以内に発見されており、そのうち約98.1%が生存した状態で見つかっています。多くのケースでは、早期に行動すれば無事に再会できる可能性が高いということです。

ただし、すべてが無事に終わるわけではありません。発見までに時間がかかり、命に関わる結果になるケースも一定数存在します。過去の調査では、死亡して発見された方の多くが自宅から比較的近い範囲で見つかっているという報告もあり、「遠くまで行くはずがない」という思い込みが、かえって捜索の初動を遅らせる要因になることもあります。

数字の裏側にあるのは、家族の精神的な負担です。「目を離した自分が悪い」と自分を責めてしまう方、24時間気が休まらず疲弊してしまう方は少なくありません。そこに、後述する介護保険料の支払いなど経済的な負担が重なることも、家族を追い詰める一因になってきました。

【最新】行方不明中の介護保険料が全額免除に|2026年9月8日 厚労省通知

ここからが、本記事で特にお伝えしたい最新情報です。

何が変わったのか

厚生労働省は2026年9月8日、「介護保険最新情報Vol.1541」として、行方不明になった65歳以上の第1号被保険者について、資格喪失の手続きや保険料の減免・返還に関する取り扱いを整理し、全国の自治体に通知しました。

行方不明になった場合、本来は市区町村が住民票を職権消除することで被保険者としての資格を失います。しかし、住民票の消除には時間がかかることが多く、その間も介護保険料の納付義務だけが残ってしまうという課題がありました。行方不明の本人はサービスを利用できないにもかかわらず、家族が保険料を負担し続けなければならない状況です。

今回の通知では、この間の保険料について、市区町村が介護保険法第142条に基づく減免として扱い、全額免除としても差し支えないとの考えが示されました。従来、現場では減額までにとどまるケースが一般的でしたが、家族の負担を考慮し、全額免除まで踏み込めることが明確になった点が今回のポイントです。

死亡とみなされた場合の返還についても整理

行方不明の状態が長期間続き、家庭裁判所の失踪宣告などによって過去にさかのぼって死亡したとみなされた場合、死亡とみなされる日の翌日以降に賦課されていた保険料は無効となります。この場合、市区町村がすでに受け取っていた保険料には返還義務が生じることも、あわせて整理されました。

申請の方法

減免(または全額免除)の申請にあたっては、一般的に次のような書類の提出を求められる可能性があります。

  • 警察が発行する行方不明者届の受理を証明する書類
  • 公的年金の支給停止を証明する書類 など

ただし、具体的な運用や必要書類は市区町村ごとに異なります。介護保険料の減免・全額免除の詳細については、必ずお住まいの市区町村の介護保険担当窓口に直接ご確認ください。「知らなかった」ために本来受けられたはずの免除を受けられなかった、ということがないよう、行方不明の届け出をした際に、あわせて窓口で保険料の取り扱いについても尋ねておくことをおすすめします。

家族が行方不明に直面したときの対応フロー

もし今この瞬間、家族の行方が分からなくなったら——落ち着いて、次の順番で動いてください。

① 警察へ行方不明者届を提出する
「もう少し待ってから」とためらう必要はありません。認知症による行方不明は命に関わる可能性があるため、警察も早期の届け出を推奨しています。最寄りの交番・警察署で行方不明者届(旧・捜索願)を提出しましょう。この届出受理証明が、後述する介護保険料の減免申請でも必要になる場合があります。

② GPS・見守りサービスを確認する
すでにGPS端末や見守りサービスを利用している場合は、すぐに位置情報を確認します。2025年に所在や死亡が確認された認知症行方不明者のうち、GPS機器などが活用されたケースは139人で、そのうち84.9%にあたる118人が届け出当日に発見されています。導入していない家庭も、この機会に検討する価値があります。

③ 地域包括支援センターへ相談する
地域包括支援センターは、高齢者やその家族を支える地域の相談窓口です。行方不明の経緯や本人の特徴、立ち寄りそうな場所などを伝えることで、地域の関係機関と連携した捜索・見守り体制につなげてもらえる場合があります。

④ SOSネットワークへ登録する(未登録の場合)
多くの都道府県・市区町村では、「認知症高齢者等SOSネットワーク」を運営しています。事前登録しておくことで、行方不明時に地域の協力機関(交通機関・商店・郵便局など)へ迅速に情報が共有され、早期発見につながりやすくなります。まだ登録していない場合も、行方不明を機に、今後に備えて登録を検討しましょう。

⑤ 介護保険料の減免について窓口に確認する
無事に発見された後、あるいは行方不明が長期化している場合は、市区町村の介護保険担当窓口で保険料の減免・全額免除について確認しておきましょう。前述の通り、2026年9月の通知により、対応の幅が広がっています。

行方不明を防ぐための備え・予防策

一度でも行方不明を経験すると、「また同じことが起きるのでは」という不安が消えないという声も少なくありません。ここでは、日頃からできる予防策を紹介します。

認知症の早期発見・早期対応
行方不明のリスクは、認知症の症状がある程度進んでから顕在化することが多いといわれています。もの忘れや道に迷うといった小さな変化に早い段階で気づき、対応を始めることが、結果的に行方不明のリスクを下げることにつながります。早期発見のサインについては、認知症の早期発見サイン10選|発症前にやるべき5つの準備で詳しく解説しています。

GPS端末を無理なく携帯してもらう工夫
「GPSを持たせよう」としても、本人が嫌がって外してしまうケースはよくあります。靴のインソールに収納するタイプや、普段から使っているカバンや杖に取り付けるタイプなど、本人が意識せずに身につけられる形を選ぶことがポイントです。多くの自治体でGPS端末の貸与や利用料の補助制度が用意されているため、お住まいの自治体に確認してみることをおすすめします。

見守りネットワークへの事前登録
行方不明が起きてから登録するのではなく、平時のうちにSOSネットワークや地域の見守りサービスに登録しておくことで、いざというときの初動が格段に早くなります。見守りサービスの種類や選び方については、高齢者見守りサービスの種類・選び方【入門編】もあわせてご確認ください。

エンディングノートでの情報共有
本人の身体的特徴、服薬情報、かかりつけ医、立ち寄りそうな場所(実家・以前の職場など)といった情報は、いざ捜索が必要になったときに警察や地域包括支援センターへ正確に伝える必要があります。こうした情報を家族の誰か一人しか把握していない状態は、緊急時に大きなリスクになります。

エンディングノートに「もしも」への備えを記録しておく重要性

行方不明という出来事は、多くの家族にとって「まさか自分の家族が」という予期せぬ形で訪れます。だからこそ、平時のうちに備えておく価値があります。

エンディングノートには、遺言書のような法的効力はありませんが、緊急連絡先、かかりつけ医、服薬情報、GPSサービスの契約状況、行きつけの場所といった、行方不明時の捜索に直結する情報を一元的に記録しておくことができます。いざというとき、家族の誰が対応しても同じ情報にすぐアクセスできる状態を作っておくことが、初動の速さにつながります。

また、認知症が進行すると、預貯金口座やネット銀行、各種サブスクリプションといったデジタル資産の全体像を本人以外が把握することも難しくなっていきます。行方不明という緊急事態のなかで、こうした情報まで家族が一から探し出すのは大きな負担です。DENでは、こうした大切な情報を暗号化した状態で安全に保管し、必要なときに家族が確認できる仕組みを目指しています。デジタル終活を安全・簡単に進めたい方は、DENのモニター募集をぜひご覧ください。

なお、こうした情報の整理や、判断能力が低下した後の財産管理・後見制度の活用については、法律や制度に関わる部分も多いため、必要に応じて弁護士・司法書士・ケアマネジャーなど専門家に相談しながら進めることをおすすめします。DENは、相続・遺言・終活に関する大切な情報を暗号化して安全に保管するデジタル終活サービスです。現在、サービス開始に向けてモニターを募集しています。詳細はこちらからご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 介護保険料の全額免除は、全国どこでも同じように受けられますか?
A1. 2026年9月8日の厚労省通知は、市区町村が全額免除としても「差し支えない」という取り扱いの考え方を示したものであり、具体的な運用や基準は市区町村ごとに異なる可能性があります。必ずお住まいの市区町村の介護保険担当窓口にご確認ください。

Q2. 免除の申請は誰が行うのですか?
A2. 一般的には、行方不明になった本人の家族(配偶者・子など)が、市区町村の介護保険担当窓口で手続きを行うことになります。必要書類は窓口によって異なる場合があるため、事前に電話等で確認しておくとスムーズです。

Q3. 免除の対象になるのはどの期間の保険料ですか?
A3. 基本的には、行方不明になってから住民票が消除される(または所在が確認される)までの期間が対象として想定されています。詳細な取り扱いは市区町村にご確認ください。

Q4. 無事に発見された場合、免除された保険料はどうなりますか?
A4. 発見後は通常どおり被保険者としての資格が続きますので、発見以降の保険料は通常どおり納付する必要があります。行方不明であった期間の取り扱いについては窓口にご確認ください。

Q5. 残念ながら亡くなった状態で発見された場合はどうなりますか?
A5. 死亡が確認された場合や、失踪宣告によって過去にさかのぼって死亡したとみなされた場合は、死亡とみなされる日の翌日以降に賦課された保険料は無効となり、すでに納付していた分は返還されることになります。具体的な手続きは市区町村にご確認ください。

Q6. GPSサービスの費用は自己負担ですか?
A6. サービスや自治体によって異なります。多くの市区町村でGPS端末の貸与や利用料の一部補助を行っているため、お住まいの地域包括支援センターや高齢福祉担当課に確認してみることをおすすめします。

Q7. SOSネットワークには誰でも登録できますか?
A7. 対象範囲は自治体ごとに定められていますが、多くの場合、認知症の症状があり行方不明になるおそれのある高齢者本人とその家族が登録対象です。詳しくはお住まいの市区町村の高齢福祉担当窓口にお問い合わせください。

まとめ|「もしも」を一人で抱え込まないために

認知症による行方不明は、統計上も依然として高い水準が続いており、どの家庭にも起こりうる出来事です。しかし、2025年のデータが示すように、早期に行動すれば9割以上が数日以内に、多くは無事に発見されています。そして2026年9月には、家族の経済的な負担を軽くする介護保険料の全額免除という制度上の後押しも加わりました。

大切なのは、行方不明が起きてから慌てるのではなく、警察への届け出、GPS・見守りサービス、SOSネットワークへの登録、そしてエンディングノートでの情報共有といった備えを、平時のうちに一つずつ整えておくことです。そして、万が一のときには一人で抱え込まず、地域包括支援センターや市区町村の窓口、専門家を頼ってください。

介護保険料の減免・全額免除の詳細は必ず市区町村の窓口に、認知症の症状や対応については医師に、法的な手続きについては弁護士・司法書士など専門家にご相談ください。


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参考・出典
– 厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1541」(2026年9月8日)
– 厚生労働省「行方のわからない認知症高齢者等をお探しの方へ」
– 警察庁「令和7年における行方不明者届受理等の状況」(認知症に係る行方不明者数)
– 日本経済新聞「2025年の認知症不明者1万7000人 警察庁、GPS利用呼びかけ」

(本記事は2026年9月時点の情報に基づいて作成しています。介護保険料の減免・全額免除に関する詳細は、必ずお住まいの市区町村の介護保険担当窓口にご確認ください。認知症の症状や対応については医師に、法的な手続きについては弁護士・司法書士など専門家にご相談ください。)

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