残置物の処理等に関するモデル契約条項とは?おひとりさまが賃貸で「死後の部屋」に備える仕組みと受任者の選び方

和室のある賃貸住宅で、日本人の高齢女性が大切な品を木箱に丁寧に収めて整理しているイメージ写真 終活・エンディングノート

公開日:2026年9月25日 / 最終確認日:2026年9月25日
監修:終活・相続専門チーム(DEN編集部)

「この年齢だと、部屋を貸してもらえないかもしれない」。
「自分が亡くなったら、部屋の荷物は誰が片づけてくれるのだろう」。

ひとり暮らしで賃貸住宅に住んでいる方や、これから住み替えを考えている方の中には、こうした不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

実は、この不安に応えるための公的な仕組みがあります。2021年に国土交通省と法務省が策定した「残置物の処理等に関するモデル契約条項」です。

ただ、制度の名前が難しいこともあり、一般の方にはほとんど知られていません。この記事では、制度の仕組みから受任者の選び方まで、できるだけやさしく解説します。

本記事で分かること
– 賃貸の入居者が亡くなると、部屋と家財がどうなるのか
– モデル契約条項の仕組みと、2025年に広がった利用範囲
– 入居者・大家・受任者、それぞれの立場でのメリットと注意点
– 受任者を誰に頼むべきか、選ぶときのチェックポイント
– 死後事務委任契約と組み合わせる考え方
– エンディングノートに記録しておきたい情報

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律・税務・投資相談ではありません。個別の案件については、専門家(弁護士・行政書士・司法書士・税理士)にご相談ください。記事内の情報は2026年9月時点のものであり、法改正や国の運用変更等により変わる場合があります。


  1. 残置物問題とは?ひとり暮らしの入居者が亡くなると部屋はどうなるか
    1. 部屋を借りる権利も、家財も「相続人のもの」になる
    2. 大家さんが勝手に処分するとトラブルになるおそれ
    3. 相続人がいない・連絡がつかないと、手続きが止まる
  2. 残置物の処理等に関するモデル契約条項とは?2021年に国交省・法務省が策定
    1. 策定の背景は「高齢者の入居拒否」
    2. モデル契約条項を構成する3つの契約
    3. 2025年の改正で利用できる範囲が広がった
  3. 契約の仕組み:死後に受任者が行う手続きの流れ
    1. 契約の解除:受任者が相続人の代わりに手続きする
    2. 家財は「指定残置物」と「非指定残置物」に分ける
    3. 死亡から明け渡しまでの流れ
  4. 【立場別】入居者・大家・受任者それぞれのメリットと注意点
    1. 入居者側:借りやすさと「自分で決められる安心」
    2. 大家側:明け渡しまでの見通しが立つ
    3. 受任者側:「相続人のため」に動く責任
  5. 受任者の選び方:誰に頼むべきか
    1. 受任者になれる主な候補
    2. 避けるべき受任者
    3. 受任者を選ぶときのチェックリスト
  6. おひとりさまこそ使いたい理由と、死後事務委任契約との組み合わせ
    1. 死後事務委任契約とのカバー範囲の違い
    2. 同じ受任者にまとめると「窓口」が一本化できる
  7. 指定残置物リストの作り方:「捨ててほしくない物」を決める
    1. 一つずつ書かなくても指定できる
    2. ペットや遺骨は、法令に沿った扱いが必要
    3. スマホ・パソコンは「端末」と「中身」を分けて考える
  8. エンディングノートに記録しておくべき「賃貸と受任者」の情報
  9. 契約前に確認したい注意点と相談先
    1. 使う場面によっては「無効」になる可能性も
    2. ひな形は「そのまま使う」ものではない
    3. 主な相談先
  10. よくある質問(FAQ)
  11. まとめ

残置物問題とは?ひとり暮らしの入居者が亡くなると部屋はどうなるか

残置物問題とは、賃貸住宅の入居者が亡くなった後、部屋に残された家財を誰も処分できず、契約も終わらせられない問題のことです。

「残置物(ざんちぶつ)」とは、部屋に残された家具や家電、衣類、日用品などを指します。一見するとただの「荷物」ですが、法律上は亡くなった方の財産です。

部屋を借りる権利も、家財も「相続人のもの」になる

入居者が亡くなると、賃貸借契約は自動的には終わりません。部屋を借りる権利(賃借権)は、家財の所有権とあわせて相続人に引き継がれます。

そのため、契約を解除したり、家財を処分したりするには、原則として相続人の関与が必要です。これは大家さんにとっても同じです。

大家さんが勝手に処分するとトラブルになるおそれ

大家さんが「もう誰も住んでいないから」と、相続人の同意なしに家財を処分するとどうなるでしょうか。

法律上は、他人の財産を勝手に処分したことになります。後から相続人が現れた場合、損害賠償を求められるおそれがあります。

そのため大家さんは、相続人を探し出し、同意を得てから片づけを進めるのが基本です。

相続人がいない・連絡がつかないと、手続きが止まる

問題が深刻になるのは、相続人がいない場合や、所在が分からない場合です。

警察庁の集計(2025年4月公表)によると、2024年に自宅で亡くなった一人暮らしの方は76,020人でした。このうち65歳以上は58,044人で、全体の76.4%を占めています。

相続人が見つからない場合、裁判所に「相続財産清算人」の選任を申し立てるなど、時間と費用のかかる手続きが必要になることがあります。不動産会社への取材記事では、相続人探しから精算までに1年近くかかった事例も紹介されています。

相続人がいない場合の手続きについては、相続財産清算人とは?相続財産管理人との違いをわかりやすく解説で詳しく解説しています。

では、こうした事態を生前の準備で避ける方法はあるのでしょうか。


残置物の処理等に関するモデル契約条項とは?2021年に国交省・法務省が策定

モデル契約条項とは、入居者が生前に「受任者」を決め、死後の契約解除と家財の処分を任せるための、国が示した契約書のひな形です。

国土交通省と法務省が、2021年(令和3年)6月7日に策定しました。国のひな形に沿って契約を結ぶことで、大家・相続人・受任者の役割を法的に整理できます。

策定の背景は「高齢者の入居拒否」

モデル契約条項の本文では、策定の理由として次の問題が挙げられています。

大家さんが、入居者の死後に契約を終わらせられなくなる「残置物リスク」を心配し、単身の高齢者への賃貸をためらっている、という問題です。

民間の調査でも、この傾向がうかがえます。株式会社R65の「高齢者の住宅難民問題に関する実態調査(2023年)」では、65歳を超えて賃貸住宅を探した人の26.8%が年齢を理由に入居を断られたと回答しました(有効回答500人)。

残置物リスクを減らせば、大家さんが安心して部屋を貸せるようになります。モデル契約条項は、その「安心材料」として作られたものです。

モデル契約条項を構成する3つの契約

モデル契約条項は、次の3つのまとまりで構成されています。

契約 当事者 内容
①解除関係事務委任契約 入居者 ⇔ 受任者 死後に賃貸借契約を解除する代理権を受任者に与える
②残置物関係事務委託契約 入居者 ⇔ 受任者 死後に家財の廃棄・送付・換価などを受任者に任せる
③賃貸借契約の関連条項 入居者 ⇔ 大家 ①②が終了したときの再契約・通知などを定める

①と②を同じ受任者に頼む場合は、1通の契約書にまとめても差し支えないとされています。

2025年の改正で利用できる範囲が広がった

モデル契約条項は、原則として60歳以上の単身高齢者が部屋を借りる場面を想定しています。

ただし2025年10月、国土交通省は「モデル契約条項の弾力的運用等について」を公表しました。業界団体の全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)のお知らせでも周知されています。

主な変更点は次の2つです。

  • 60歳未満でも活用できる場面を明確化:推定相続人がいない、所在が分からないなど、死後に連絡を取れる相手が期待できない単身者も対象に
  • 改正住宅セーフティネット法との連動:2025年10月1日施行の改正で、居住支援法人の業務に「入居者からの委託に基づく残置物処理」が追加

制度は少しずつ使いやすくなっています。では、実際に亡くなった後はどのように手続きが進むのでしょうか。


契約の仕組み:死後に受任者が行う手続きの流れ

モデル契約条項では、入居者が亡くなると、受任者が「契約の解除」と「家財の処理」を順番に進めます。

入居者(委任者)が生前に受任者と契約を結び、亡くなったことを条件に、その効力が発生する仕組みです。

契約の解除:受任者が相続人の代わりに手続きする

受任者は、亡くなった入居者の相続人の代理人として、大家さんと契約を解除する合意をします。家賃の不払いなどで大家さんから解除する場合も、受任者がその通知を受け取れます。

この解除の委任は、受任者が死亡を知ってから6か月(ひな形上の目安)が経つと終了します。相続人が部屋を引き継ぎたい場合などに備えた仕組みです。

家財は「指定残置物」と「非指定残置物」に分ける

家財の扱いは、入居者が生前に決めた区分によって変わります。

区分 意味 死後の扱い
指定残置物 「捨てないで」と指定した物 契約終了後、指定した送付先に送る
非指定残置物 それ以外の家財 死亡から3か月経過かつ契約終了後に廃棄(換価できる物は換価に努める)
金銭 部屋に残された現金など 廃棄の対象外。相続人に返す(不明なら供託)

生鮮食品など保管に向かない物は、死亡後すぐに廃棄できます。また「3か月」はひな形上の期間で、これより短くするのは避けるべきとされています。

死亡から明け渡しまでの流れ

順番 主な手続き 担当
1 入居者の死亡を受任者に知らせる 大家さん
2 生前に指定された「死亡時の通知先」へ連絡する 受任者
3 賃貸借契約を解除する 受任者・大家さん
4 搬出の2週間前までに、通知先へ再度知らせる 受任者
5 第三者の立会いのもとで状況を記録し、搬出する 受任者
6 換価したお金などから費用を差し引き、相続人に返す 受任者

処分の前に通知や記録の手順が組み込まれているため、相続人との後日のトラブルを防ぎやすくなっています。

では、この仕組みは誰にとって、どのようなメリットがあるのでしょうか。


【立場別】入居者・大家・受任者それぞれのメリットと注意点

モデル契約条項は、入居者・大家・受任者の3者それぞれにメリットがある一方、立場ごとの注意点もあります。

立場 主なメリット 主な注意点
入居者 部屋を借りやすくなる/遺品の行き先を自分で決められる 受任者は自分の意思で選ぶ/指定残置物リストの更新が必要
大家さん 法的リスクを抑えて早期に明け渡しを受けられる 大家自身は受任者になれない(無効のおそれ)
受任者 故人の希望に沿った片づけができる 相続人の利益のために誠実に対応する義務がある

入居者側:借りやすさと「自分で決められる安心」

入居者にとっての一番のメリットは、大家さんの不安を和らげ、部屋を借りやすくなることです。

加えて、「この写真は姪に送ってほしい」など、遺品の行き先を生前に決めておけます。自分の意思を形にできる点も、見逃せない利点です。

大家側:明け渡しまでの見通しが立つ

大家さんにとっては、相続人を探し回らなくても、受任者と手続きを進められる点が大きなメリットです。

ただし、大家さん自身が受任者になることは避けるべきとされています。入居者の利益を一方的に害するおそれがあり、民法や消費者契約法により無効となる可能性があるためです。

受任者側:「相続人のため」に動く責任

受任者は、亡くなった入居者の相続人のために手続きを進める立場です。故人や相続人の意向が分かっていれば、それを考慮する必要があります。

家の中の手紙などから相続人の住所が分かる場合は、連絡を取るなどの対応も求められます(国土交通省Q&A)。

では、この重要な受任者を、誰に頼めばよいのでしょうか。


受任者の選び方:誰に頼むべきか

受任者は、まず推定相続人(将来相続人になる予定の親族)が望ましく、難しい場合は居住支援法人などの第三者を選ぶのが基本です。

モデル契約条項の解説では、次の順で考えることが示されています。

受任者になれる主な候補

候補 向いている人 注意点
推定相続人(甥・姪・兄弟姉妹など) 連絡が取れる親族がいる 高齢の兄弟姉妹だと、先に亡くなる可能性も
信頼できる友人・知人 親族と疎遠だが、身近に頼れる人がいる 負担が大きいため、費用や範囲を事前に話し合う
行政書士・弁護士・司法書士 契約書の作成から一括で頼みたい 報酬は事務所ごとに異なる
居住支援法人・NPO・一般社団法人 身寄りがなく、見守りも含めて頼みたい 法人の実績・継続性・費用の確認が必要
管理業者 物件の事情に詳しい 大家の利益を優先しない誠実な対応が前提

居住支援法人は、住宅セーフティネット法に基づき都道府県が指定する法人です。国土交通省の住宅セーフティネット制度のページなどで、地域の居住支援法人を確認できます。

避けるべき受任者

次の2者は、受任者にすることを避けるべきとされています。

  • 大家さん本人:入居者と利害が対立するため、無効となる可能性がある
  • 家賃債務保証会社:契約終了が遅れると保証額が増えるなど利害が対立し、無効となる可能性がある(国土交通省Q&A)

なお、管理会社が「転貸人(又貸しの貸主)」の立場にある場合も、受任者にするのは避けるべきとされています。

受任者を選ぶときのチェックリスト

  • 自分より長く、手続きを担える見込みがあるか
  • 契約内容を十分に理解し、引き受ける意思があるか
  • 費用と報酬の目安を、書面で確認できたか
  • 法人の場合、事業の継続性や相談窓口は明確か
  • 大家さんや家賃債務保証会社など、利害が対立する立場ではないか

誰に頼むか迷う場合は、行政書士や弁護士に相談しながら決めると安心です。次に、おひとりさまにとってこの制度がなぜ重要なのかを見ていきます。


おひとりさまこそ使いたい理由と、死後事務委任契約との組み合わせ

身寄りがない、または親族と疎遠なおひとりさまにとって、モデル契約条項は「死後の部屋」を確実に片づけてもらうための有力な選択肢です。

相続人がいない、あるいは連絡がつかない場合、何も準備がなければ部屋の片づけは長期間止まってしまいます。生前に受任者を決めておくことは、大家さんへの配慮であると同時に、自分の遺品を大切に扱ってもらうための備えでもあります。

おひとりさまが備えたいリスク全体については、おひとりさま終活で備えるべき老後リスク8選でまとめています。

死後事務委任契約とのカバー範囲の違い

死後の手続きを任せる契約には、「死後事務委任契約」もあります。両者は対象とする範囲が異なります。

項目 残置物モデル契約条項 死後事務委任契約
主な対象 賃貸借契約の解除・部屋の家財処理 葬儀・納骨・役所の手続き・各種解約など
内容の決め方 国のひな形がある 当事者間で自由に定める
大家さんとの関係 賃貸借契約と連動して確認される 大家さんが内容を把握しているとは限らない

死後事務委任契約で何ができるかは、死後事務委任契約でできること・できないこと完全ガイドで詳しく解説しています。

同じ受任者にまとめると「窓口」が一本化できる

死後事務委任契約と残置物に関する契約を、同じ受任者に任せる方法もあります。

葬儀から部屋の明け渡しまでを一人(一法人)が担えば、大家さんや関係者の連絡先が一つにまとまります。受任者どうしの連絡の行き違いも起きにくくなるでしょう。

ただし、財産を誰に引き継ぐかは、これらの契約では決められません。財産の行き先を決めたい場合は、遺言書もあわせて検討することが大切です。

こうした「死後の手続きに必要な情報」を、一か所にまとめておきたいと思いませんか。

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指定残置物リストの作り方:「捨ててほしくない物」を決める

指定残置物リストとは、死後に廃棄せず、特定の人に送ってほしい物とその送付先をまとめた一覧のことです。

このリストに載せなかった物は、原則として廃棄の対象になります。高価な物も例外ではないため、リスト作りはこの制度の要といえます。

一つずつ書かなくても指定できる

「全部を書き出すのは大変」と感じる方もいるでしょう。国土交通省のQ&Aでは、次のような方法も認められています。

  • 指定したい物にシールを貼る
  • 金庫や箱を決め、「この中身は捨てない」とリストに書く
  • 家財が増減したら、その都度リストを追加・更新する

「大切な物は、この箱に入れる」と決めておくだけでも、受任者の判断はずっと楽になります。

ペットや遺骨は、法令に沿った扱いが必要

ペットや遺骨など、扱い方が法令で定められている物もあります。こうした物は、専門家に相談したうえで法令に沿って対応する必要があるとされています。

ペットを飼っている方は、引き取り先を生前に決め、受任者と共有しておくことが大切です。

スマホ・パソコンは「端末」と「中身」を分けて考える

見落としやすいのが、スマートフォンやパソコンです。端末は家財(動産)なので、指定残置物にしなければ廃棄の対象になりえます。

ただし、指定残置物として送付しても、ロックが解除できなければ中の写真やデータは見られません。ネット銀行や証券口座、サブスクリプションの情報も同じです。

端末は「指定残置物」として送付先を決め、ロックの解除方法やアカウント情報は別の方法で信頼できる人に伝える。この2段構えで備えておくと安心です。

では、こうした情報はどこに記録しておけばよいのでしょうか。


エンディングノートに記録しておくべき「賃貸と受任者」の情報

モデル契約条項を結んでも、その存在や受任者の連絡先を周囲が知らなければ、手続きはスムーズに始まりません。

契約書は受任者も持っていますが、あなたの死亡を受任者が知るには、誰かが連絡する必要があります。エンディングノートに次の情報をまとめておくと、発見した人や親族が迷わずに済みます。

記録しておきたい項目 具体例
受任者の情報 氏名・法人名、電話番号、担当者名
契約書の保管場所 原本・写しの場所、契約日
賃貸物件の情報 住所・部屋番号、大家さんや管理会社の連絡先
死亡時の通知先 知らせてほしい親族・友人の連絡先
指定残置物リスト 捨てないでほしい物と送付先、保管している箱の場所
デジタル資産の情報 スマホのロック解除方法、ネット銀行・SNSのアカウント

特にスマホのパスコードや口座情報は、紙のノートに書くと盗み見のリスクがあります。一方で、誰にも伝えなければ、死後に家族や受任者が困ってしまいます。

DEN(Digital Everlife Note)は、こうした大切な情報を暗号化して保管するデジタル終活サービスです。三分割暗号化方式により、生前は本人以外が内容を見られない形で保管しつつ、いざというときに信頼できる人へ届けられる仕組みを目指しています。

ひとり暮らしの方が備えておきたい見守りやつながりづくりについては、孤独死を防ぐ生き方とはも参考にしてください。また、何も備えがない場合に周囲が負う負担は、孤独死が残す迷惑の実態で詳しく紹介しています。

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契約前に確認したい注意点と相談先

モデル契約条項は便利な仕組みですが、使う場面や内容によっては無効になる可能性もあるため、契約前の確認が欠かせません。

使う場面によっては「無効」になる可能性も

モデル契約条項の本文では、残置物リスクへの不安が生じにくい場面で使うと、無効となる可能性があると注意されています。

たとえば、個人の保証人がいて、その人に片づけを期待できる場合です。このような場面では、入居者に余計な負担を課すことになりかねないためです。

また、入居者と受任者の双方が内容を十分に理解し、自分の意思で同意していることが前提です。

ひな形は「そのまま使う」ものではない

モデル契約条項は、あくまで国が示したひな形です。「3か月」「6か月」などの期間も、実情に合わせて当事者が決めることが想定されています。

【必ず専門家にご確認ください】
賃貸借契約や残置物に関する契約の内容は、物件や当事者ごとに個別に異なります。契約を結ぶ前・内容を変更する前には、必ず行政書士・弁護士などの専門家に確認してください。

主な相談先

  • 行政書士:契約書の作成、死後事務委任契約との組み合わせの相談
  • 弁護士:相続人とのトラブルが心配な場合、契約内容の法的なチェック
  • 居住支援法人:住まい探しから受任者の引き受けまで、まとめて相談したい場合
  • 自治体の住宅・福祉の窓口:地域の居住支援法人や支援制度を知りたい場合

住み替えそのものを検討している方は、老後の住まい、どう選ぶ?6つの選択肢を費用・介護度・自由度で徹底比較もあわせてご覧ください。


よくある質問(FAQ)

Q1. 60歳未満のひとり暮らしでも、モデル契約条項を使えますか?
A. 原則は60歳以上の単身高齢者を想定していますが、国土交通省のQ&A(2025年10月版)では、60歳未満でも推定相続人がいない、所在が分からないなど、死後に連絡が取れる相手が期待できない場合の活用は否定されないと整理されています。

Q2. すでに住んでいる部屋でも、契約を結べますか?
A. 単身高齢者で保証人もおらず、相続人の有無も分からないなど残置物リスクが高い場面では、大家さんとの合意のうえで利用すること自体は否定されないとされています。賃貸借契約の変更が必要になる点に注意が必要です。

Q3. 費用はどのくらいかかりますか?
A. モデル契約条項は費用の額を定めていません。受任者への報酬や実費は、受任者との話し合いで決まります。受任者は、家財を換価したお金や部屋に残された現金から、必要な費用を差し引くことができるとされています。依頼前に書面で確認しましょう。

Q4. 受任者が先に亡くなったら、どうなりますか?
A. 委任契約は、受任者の死亡などによって終了することがあります。モデル契約条項では、契約が終了した場合、入居者は速やかに同じ内容の契約を結び直すよう努め、大家さんにも通知することになっています。受任者は余裕をもって選ぶことが大切です。

Q5. 大家さんから契約を勧められました。断ることはできますか?
A. 国土交通省のQ&Aでは、この契約を入居の条件にすること自体は差し支えないとされています。ただし、内容を十分に理解して同意していることが前提で、受任者は入居者自身が選ぶべきとされています。大家さん本人を受任者にする形は避けるべきです。

Q6. 遺言書との関係はどうなりますか?
A. モデル契約条項は、部屋の明け渡しと家財の処理を任せる契約で、財産を誰に引き継ぐかを決めるものではありません。遺言執行者がいる場合は、3か月を待たずに遺贈の対象物を引き渡せる場合があるとされています。財産の承継先は遺言書で定めることを検討しましょう。

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まとめ

「残置物の処理等に関するモデル契約条項」は、賃貸住宅の入居者が亡くなった後の契約解除と家財の処理を、生前に選んだ受任者へ任せるための国のひな形です。大家さんの不安を和らげ、ひとり暮らしの高齢者が部屋を借りやすくなることを目的としています。2025年10月には、60歳未満の単身者でも使える場面が明確になりました。

おひとりさまにとっては、受任者選びと「捨ててほしくない物」のリスト作りが備えの中心になります。死後事務委任契約や遺言書と組み合わせ、受任者や契約の情報をエンディングノートにまとめておけば、周囲が迷わずに手続きを進められます。まずは、自分の部屋の賃貸借契約書を確認し、行政書士や弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

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参考資料
– 国土交通省「残置物の処理等に関するモデル契約条項」(2021年6月策定、2025年10月資料更新)
– 国土交通省「残置物の処理等に関するモデル契約条項(本文)」
– 国土交通省「残置物の処理等に関するモデル契約条項に係るQ&A」(2025年10月版)
– 法務省「残置物の処理等に関するモデル契約条項(ひな形)の策定について」(2021年)
– 警察庁「令和6年中における警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者について」(2025年)
– 株式会社R65「高齢者の住宅難民問題に関する実態調査(2023年)」(2023年)

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律・税務・投資相談ではありません。個別の案件については、専門家(弁護士・行政書士・司法書士・税理士)にご相談ください。賃貸借契約や残置物に関する契約の内容は個別に異なるため、必ず専門家に確認してください。記事内の情報は2026年9月時点のものであり、法改正等により変更される場合があります。

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