退職金は一時金と年金どちらが得?税金の違いと賢い使い方|iDeCoの受取順とやってはいけない使い方【2026年最新】

和室の座卓で、定年を迎えた日本人の夫婦が穏やかに今後の暮らしについて話し合っているイメージ写真 終活・エンディングノート

公開日:2026年9月27日 / 最終確認日:2026年9月27日
監修:終活・相続専門チーム(DEN編集部)

長年勤めた会社を離れるとき、多くの方が人生でいちばん大きなお金を受け取ります。それが退職金です。

「一時金と年金、どちらで受け取ればいいのだろう」。
「税金はどのくらいかかるのか」。
「受け取ったお金を、どう使えば老後が安心なのか」。

退職金の受け取り方は、一度決めると後から変えられないことがほとんどです。そして、受け取り方ひとつで、手元に残る金額が数十万円以上変わることもあります。

この記事では、退職金の受け取り方と税金の違いを、具体的な数字で比較します。あわせて、老後30年の生活費から見た退職金の位置づけ、賢い使い方と避けたい使い方を整理しました。

本記事でわかること
– 退職金の3つの受け取り方と、それぞれの税金
– 一時金と年金の手取りの違い(試算つき)
– 2026年から変わったiDeCoとの受け取り順ルール
– 大企業・中小企業の退職金の平均額
– 老後30年の生活費と、退職金だけでは足りない理由
– 賢い使い方5つと、やってはいけない使い方

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、税務・法律・投資相談ではありません。また、特定の金融商品・金融機関への投資や加入を勧めるものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。個別の状況については、ファイナンシャルプランナー(FP)や税理士などの専門家にご相談ください。記事内の情報は2026年9月時点のものであり、税制改正等により変更される場合があります。


  1. 退職金の受け取り方は3通り|一時金・年金・併用
  2. 一時金の税金|退職所得控除と「2分の1課税」の仕組み
    1. 具体例:勤続30年・38年の場合
    2. 「退職所得の受給に関する申告書」を必ず提出
  3. 年金受け取りの税金と社会保険料|公的年金等控除の注意点
    1. 具体例:公的年金200万円に企業年金200万円が加わった場合
    2. 見落としやすい「社会保険料」への影響
  4. 一時金と年金はどちらが得?数字で比較
  5. iDeCo・企業型DCとの受け取り順に注意|2026年から「10年ルール」
  6. 退職金の平均額はいくら?大企業・中小企業の差
  7. 老後30年の生活費試算|退職金だけでは足りない現実
  8. 退職金の賢い使い方5つ
    1. ① 生活予備資金を確保する(生活費の半年〜1年分)
    2. ② 住宅ローンの繰り上げ返済を検討する
    3. ③ NISAなどを使い、長い期間で少しずつ運用する
    4. ④ iDeCoの受け取り方・時期を計画する
    5. ⑤ 「使う時期」ごとにお金を分けて管理する
  9. やってはいけない使い方|高リスク投資・セット商品・詐欺
    1. NG1:退職直後に、大金を高リスクな投資へ一括で回す
    2. NG2:仕組みをよく理解しないまま「セット商品」を契約する
    3. NG3:SNSで知り合った人の投資話にのる
    4. NG4:家族に内緒で大きなお金を動かす
    5. NG5:受け取り方を「なんとなく」で決める
  10. 退職金の情報を家族に残す|受取方法・運用先・口座の記録
  11. FP・税理士への相談のすすめ
  12. よくある質問(FAQ)
  13. まとめ

退職金の受け取り方は3通り|一時金・年金・併用

退職金の受け取り方には、「一時金」「年金」「一時金と年金の併用」の3通りがあります。

ただし、どれを選べるかは勤務先の退職金制度によって決まります。一時金しか選べない会社も多いため、まずは就業規則や退職金規程を確認しましょう。

受け取り方 内容 税金の扱い
一時金 退職時にまとめて受け取る 退職所得(退職所得控除+2分の1課税)
年金 5年・10年などに分けて受け取る 雑所得(公的年金等控除)
併用 一部を一時金、残りを年金で受け取る 両方の扱いを組み合わせる

年金形式で受け取る場合、会社や企業年金基金が残りのお金を運用するため、利息分が上乗せされるのが一般的です。受け取る総額だけを見ると、年金形式のほうが多くなることもあります。

では、税金はそれぞれどのように計算されるのでしょうか。まずは一時金から見ていきます。


一時金の税金|退職所得控除と「2分の1課税」の仕組み

一時金で受け取る退職金は、「退職所得控除」を差し引いたうえで、残りの2分の1だけに課税されるため、税負担が軽くなりやすいのが特徴です。

国税庁によると、退職所得の金額は次の式で計算します。

(退職金の額 − 退職所得控除額)× 1/2 = 退職所得の金額

退職所得控除額は、勤続年数によって決まります。

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円 × 勤続年数(最低80万円)
20年超 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

勤続年数に1年未満の端数がある場合は、1年に切り上げて計算します。

具体例:勤続30年・38年の場合

勤続30年なら、控除額は800万円+70万円×10年で1,500万円です。退職金が1,500万円以下なら、所得税・住民税はかかりません。

勤続38年(22歳入社・60歳定年など)なら、控除額は2,060万円です。退職金2,000万円を一時金で受け取っても、税金はかかりません。

では、控除額を超えた場合はどうなるでしょうか。

項目 勤続30年・退職金2,500万円の場合
退職所得控除 1,500万円
退職所得 (2,500万円 − 1,500万円)× 1/2 = 500万円
所得税(復興特別所得税を含む) 約58.5万円
住民税(10%) 50万円
税金の合計 約108万円
手取り 約2,392万円

2,500万円に対して、税金は約108万円(約4.3%)です。控除と2分の1課税の効果がいかに大きいかがわかります。

「退職所得の受給に関する申告書」を必ず提出

一時金を受け取るときは、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出します。提出すれば源泉徴収で税金の計算が終わり、原則として確定申告は不要です。

提出しないと、退職金の20.42%が一律で源泉徴収されます。払いすぎた税金は確定申告で取り戻せますが、手間がかかります。

なお、役員として5年以下勤めた場合などは、2分の1課税が適用されないなどの例外があります。

一時金の税負担が軽いことはわかりました。では、年金で受け取るとどうなるのでしょうか。


年金受け取りの税金と社会保険料|公的年金等控除の注意点

年金形式で受け取る退職金は「雑所得」となり、国の年金(公的年金)と合算して毎年課税されます。

雑所得の計算では「公的年金等控除」が使えます。65歳以上で、公的年金等の収入が330万円以下なら、控除額は110万円です。

ここで注意したいのは、控除は公的年金と合算して1回だけという点です。すでに公的年金を受け取っていると、企業年金を足した分だけ課税対象が増えやすくなります。

具体例:公的年金200万円に企業年金200万円が加わった場合

65歳以上で、ほかに所得がない方の例です。

項目 公的年金のみ 企業年金を加えた場合
年金収入の合計 200万円 400万円
公的年金等控除 110万円 127.5万円
雑所得(課税のもとになる金額) 90万円 272.5万円

企業年金が加わると、雑所得は90万円から272.5万円へ、毎年182.5万円増えます。

この金額をもとに、所得税や住民税がかかります。家族構成やほかの控除によって税額は変わりますが、住民税だけでも年間十数万円増える計算になります。

見落としやすい「社会保険料」への影響

さらに、国民健康保険料や介護保険料も、前年の所得をもとに計算されます。雑所得が増えると、保険料も上がる可能性があります。

自治体によっては、医療費の自己負担の区分が変わることもあります。年金形式を選ぶときは、税金だけでなく社会保険料も含めて考えることが大切です。

では、一時金と年金、結局どちらが得なのでしょうか。


一時金と年金はどちらが得?数字で比較

税金と社会保険料だけで比べると、退職所得控除の範囲内に収まる場合は、一時金のほうが有利になるケースが多いといえます。

ただし、年金形式には運用による上乗せがあります。そのため「受け取る総額」と「かかる税金・保険料」の両方を比べる必要があります。

比較の視点 一時金が向きやすい人 年金が向きやすい人
税金 退職金が退職所得控除の範囲内 公的年金が少なく、控除枠に余裕がある
受取総額 運用の上乗せが小さい 会社の給付利率(上乗せ)が高い
使い道 住宅ローン返済など、まとまった支出がある 毎月の生活費を安定させたい
お金の管理 自分で計画的に管理できる 一度に大金を持つと使いすぎそう

最近は、一部を一時金、残りを年金で受け取る併用型を選ぶ方もいます。退職所得控除の範囲内は一時金で受け取り、超える分を年金にする方法です。

どの方法が有利かは、退職金の額、勤続年数、公的年金の額、会社の給付利率によって大きく変わります。受け取り方を決める前に、勤務先の試算表を取り寄せ、FPや税理士に確認することをおすすめします。

次に、見落とすと税金が増えてしまう、iDeCoとの受け取り順について見ていきましょう。


iDeCo・企業型DCとの受け取り順に注意|2026年から「10年ルール」

iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DCを一時金で受け取る場合も、退職所得控除の対象になります。そのため、退職金と受け取る時期が近いと、控除が十分に使えないことがあります。

控除は「退職金」と「iDeCoの一時金」それぞれに別々に使えるわけではありません。受け取る間隔が短いと、勤続期間と加入期間が重なる部分の控除が差し引かれます。

令和7年度の税制改正で、このルールが見直されました。2026年1月1日以後に受け取る退職金から、iDeCoを先に受け取った場合の調整期間が「5年」から「10年」に延長されています。

受け取る順番 控除の調整を受ける期間の目安
iDeCoの一時金 → 会社の退職金 退職金の前年以前9年以内にiDeCoを受け取った場合(いわゆる「10年ルール」、2026年1月〜)
会社の退職金 → iDeCoの一時金 iDeCoの前年以前19年以内に退職金を受け取った場合(いわゆる「20年ルール」)
同じ年に受け取る 合算して1つの退職所得として計算

たとえば、60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で会社の退職金を受け取る計画は、これまでなら控除を満額使えました。2026年からは調整の対象になり、税負担が増える可能性があります。

受け取り順や時期の組み合わせは複雑です。iDeCoの受け取り方(一時金・年金)も含め、退職前に税理士やFPに試算してもらいましょう。

ここまで税金の話を見てきました。では、そもそも退職金はどのくらい受け取れるものなのでしょうか。


退職金の平均額はいくら?大企業・中小企業の差

退職金の平均額は、大企業と中小企業で2倍前後の差があり、大卒の定年退職者では全体平均で約1,900万円です。

ただし、調査によって対象や計算方法が異なります。主な公的調査を並べると、次のとおりです。

調査 対象 金額
厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」 常用労働者30人以上の企業、大卒、勤続20年以上・45歳以上の定年退職者 平均1,896万円
中央労働委員会「令和5年賃金事情等総合調査」 主に資本金5億円以上・労働者1,000人以上の企業、大卒総合職、60歳のモデル退職金 2,651万円
東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」 都内の従業員10〜299人の企業、大卒、定年時のモデル退職金 1,149.5万円

「モデル退職金」は、学校を卒業してすぐ入社し、標準的に昇進した人を想定した金額です。実際の支給額は、転職の有無や勤続年数によって下回ることも少なくありません。

ご自身の退職金の見込み額は、勤務先の人事部門に確認するのが確実です。では、この退職金で老後はまかなえるのでしょうか。


老後30年の生活費試算|退職金だけでは足りない現実

総務省の家計調査(2025年)をもとに試算すると、夫婦の老後30年の生活費は約9,500万円、毎月の赤字は30年で約1,530万円にのぼります。

家計調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、1か月あたりの家計は次のとおりでした。

項目 月額 30年間の合計(試算)
実収入(主に公的年金) 25万4,395円 —
消費支出(生活費) 26万3,979円 約9,500万円
非消費支出(税金・社会保険料) 3万2,850円 約1,180万円
毎月の不足額 4万2,434円 約1,530万円

生活費の大部分は公的年金でまかなえています。それでも、毎月約4.2万円が足りず、30年続くと約1,530万円になります。

この金額は、東京都の中小企業の大卒モデル退職金(1,149.5万円)を上回ります。さらに、家計調査の平均には、次のような支出は十分に含まれていません。

  • 介護が必要になったときの費用
  • 住宅の修繕やリフォーム、車の買い替え
  • 物価の上昇(インフレ)による生活費の増加

つまり、退職金は「老後の生活費を補う大切な柱」ではあるものの、それだけで安心できる額とは限らないのが現実です。

年金の受け取り方を工夫する方法もあります。詳しくは「年金の繰り上げ・繰り下げ、どちらが得?」や「老後資金2,000万円問題は「4,000万円問題」に拡大していた」で解説しています。

では、限られた退職金をどう使えばよいのでしょうか。


退職金の賢い使い方5つ

退職金は、「すぐ使うお金」「近いうちに使うお金」「長く置いておくお金」に分けて考えると、使い道を整理しやすくなります。

ここでは、多くの専門家が挙げる5つの考え方を紹介します。どれが合うかは家計の状況によって異なります。

① 生活予備資金を確保する(生活費の半年〜1年分)

まずは、病気や家の修理などの急な出費に備えるお金を、普通預金などすぐ引き出せる形で確保しましょう。

目安は生活費の半年〜1年分です。夫婦で月30万円の生活費なら、180万〜360万円ほどになります。

② 住宅ローンの繰り上げ返済を検討する

住宅ローンが残っている場合、繰り上げ返済で将来の利息を減らせます。毎月の返済がなくなれば、年金生活の家計も安定します。

ただし、手元のお金を減らしすぎると、急な出費に対応できません。住宅ローン控除を受けている場合や、低い金利で借りている場合は、返済しないほうがよいこともあります。

③ NISAなどを使い、長い期間で少しずつ運用する

すぐに使わないお金は、NISA(少額投資非課税制度)などを使い、長期・分散で運用する選択肢もあります。

ただし、投資には元本割れのリスクがあります。退職金を一度にまとめて投資するのではなく、時期を分けて少しずつ始める方法もあります。

④ iDeCoの受け取り方・時期を計画する

iDeCoに加入している場合は、先ほどの「10年ルール」を踏まえて、受け取る時期と方法(一時金・年金)を計画しましょう。

退職金とiDeCoのどちらを先に受け取るかで、税金が変わることがあります。

⑤ 「使う時期」ごとにお金を分けて管理する

たとえば、5年以内に使うお金は預金、10年以上先のお金は運用、というように使う時期で分けると、相場が下がったときにも慌てずにすみます。

家計全体の見直しについては「老後の家計見直しチェックリスト」も参考にしてください。

使い方を考えるのと同じくらい大切なのが、「やってはいけない使い方」を知っておくことです。


やってはいけない使い方|高リスク投資・セット商品・詐欺

退職金で最も避けたいのは、よく理解しないまま大きな金額を一度に動かしてしまうことです。

NG1:退職直後に、大金を高リスクな投資へ一括で回す

退職直後は、まとまったお金が手元にあり、「増やさなければ」という気持ちも強くなりがちです。

しかし、退職後は給料という収入がなくなります。大きな損失が出ても、働いて取り戻すことが難しくなります。仕組みがわからない商品には投資しないことが基本です。

NG2:仕組みをよく理解しないまま「セット商品」を契約する

金融機関の「退職金専用プラン」の中には、高い金利の定期預金と、投資信託などの運用商品を組み合わせたものがあります。

高い金利が適用されるのは最初の数か月だけのことが多く、セットの商品には手数料がかかる場合があります。契約する前に、金利の適用期間、手数料の総額、解約の条件を確認しましょう。

NG3:SNSで知り合った人の投資話にのる

警察庁によると、2025年のSNS型投資詐欺は認知件数9,523件、被害額1,288億円にのぼりました。年代別の認知件数では、男性は60代が最も多くなっています。

「元本保証で高利回り」「あなただけに特別な情報」「今だけ」といった言葉は、詐欺の典型的な誘い文句です。SNSで知り合った人から投資を勧められたら、お金を振り込む前に家族や警察相談専用電話(#9110)に相談しましょう。

NG4:家族に内緒で大きなお金を動かす

退職金の使い道を家族に話さないまま、大きな金額を動かすのも危険です。詐欺に気づくきっかけを失うだけでなく、万一のときに家族がお金の行方を把握できません。

NG5:受け取り方を「なんとなく」で決める

一時金か年金か、iDeCoといつ受け取るか。こうした選択を、試算せずに決めてしまうと、本来払わなくてよい税金を払うことになりかねません。

高齢期を狙う詐欺の手口は「老後破産の原因と対策|狙われる詐欺の手口と見分け方」で詳しく紹介しています。

退職金を守るためには、家族との情報共有も欠かせません。次は、その方法を見ていきましょう。


退職金の情報を家族に残す|受取方法・運用先・口座の記録

退職金をどこに預け、どう運用しているかを記録し、家族に伝わる形で残しておくことが、老後と相続の両方の備えになります。

退職後は、預金・証券口座・iDeCo・企業年金など、お金の置き場所が一気に増えます。本人が元気なうちは把握できていても、認知症や急な入院のときに家族が困るケースは少なくありません。

エンディングノートに残しておきたい項目は、次のとおりです。

項目 記録する内容
退職金の受け取り方 一時金・年金・併用、年金の受取期間
預け先 銀行名・支店、口座の種類
運用先 証券口座、NISA、iDeCoの運営管理機関
企業年金 企業年金基金の名称・連絡先、受取口座
大きな支出 住宅ローンの繰り上げ返済、贈与などの記録
ログイン情報 ネット銀行・ネット証券のIDの保管場所

特に、ネット銀行やネット証券は通帳や郵便物が届かないことが多く、家族が口座の存在に気づかないことがあります。スマホの中にしかない金融資産は、デジタル遺産として整理しておくことが大切です。

DEN(Digital Everlife Note)は、こうした大切な情報を暗号化して保管するデジタル終活サービスです。三分割暗号化方式により、生前は本人以外が見られない形で保管しつつ、いざというときに家族へ届けられる仕組みを目指しています。

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FP・税理士への相談のすすめ

退職金の受け取り方は一度決めると変えにくいため、退職の半年〜1年前を目安に、FPや税理士に相談するのがおすすめです。

相談するときは、次の資料を用意するとスムーズです。

  • 勤務先の退職金規程と、一時金・年金それぞれの試算表
  • ねんきん定期便(公的年金の見込み額)
  • iDeCo・企業型DCの残高と加入期間がわかる資料
  • 住宅ローンの残高と金利

あわせて、次のような点を質問してみましょう。

  • 一時金・年金・併用で、税金と社会保険料を含めた手取りはいくら違うか
  • iDeCoと退職金は、どの順番・時期で受け取るのがよいか
  • 生活予備資金はいくら残しておくべきか
  • 住宅ローンは繰り上げ返済したほうがよいか

特定の商品を販売していない独立系のFPや、退職金の税務に詳しい税理士に相談すると、中立的な意見を得やすくなります。FP選びのポイントは「FP(ファイナンシャルプランナー)の選び方」で紹介しています。


よくある質問(FAQ)

Q1. 退職金を一時金で受け取ったら、確定申告は必要ですか?
A. 勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、原則として確定申告は不要です。提出していない場合は20.42%が源泉徴収されるため、確定申告で精算します。

Q2. 勤続年数に端数がある場合はどうなりますか?
A. 1年未満の端数は1年に切り上げて計算します。たとえば勤続29年3か月なら30年として、退職所得控除額は1,500万円になります。

Q3. 年金形式で受け取ると、住民税非課税世帯でなくなることはありますか?
A. あり得ます。企業年金は公的年金と合算されるため、所得が増えて住民税がかかるようになる場合があります。その結果、介護保険料や医療費の負担区分が変わることもあります。

Q4. iDeCoと退職金を同じ年に受け取るとどうなりますか?
A. 同じ年に受け取った場合は、合算して1つの退職所得として計算します。勤続期間と加入期間が重なる部分は二重に控除されません。最適な時期は人によって異なるため、税理士やFPにご相談ください。

Q5. 「退職給付金がもらえる」とうたうサポートは、退職金と関係ありますか?
A. 関係ありません。「退職給付金」という名前の公的な給付はなく、失業保険などの申請サポートを高額で勧める業者の呼び方です。国民生活センターも注意を呼びかけています。

Q6. 退職金の運用は、金融機関の窓口に任せても大丈夫ですか?
A. 相談すること自体は問題ありません。ただし、窓口では自社や関連会社の商品を勧められることもあります。手数料やリスクを理解したうえで、ご自身で判断することが大切です。

エンディングノートのデジタル化にご興味がある方は、DENのサービス紹介ページをご覧ください。


まとめ

退職金は、退職所得控除と2分の1課税が使える一時金のほうが、税金面では有利になるケースが多いといえます。一方、年金形式には運用による上乗せがあり、受け取る総額では有利になる場合もあります。2026年からはiDeCoとの受け取り順のルールも変わりました。税金・社会保険料・受取総額の3つをそろえて比べることが大切です。

家計調査をもとに試算すると、老後30年の不足額は約1,530万円にのぼり、退職金だけで安心できるとは限りません。予備資金を確保し、使う時期ごとにお金を分け、よく理解できない投資や甘い誘いには手を出さない。この基本を守ることが、退職金を守る近道です。

そして、受け取った退職金の行き先を家族に伝えておくことも忘れないでください。それが、ご自身の老後の安心と、家族の負担を減らすことにつながります。

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退職金の受け取り方や税金は、勤続年数・退職金の額・公的年金の額・家族構成によって最適な答えが変わります。受け取り方や税金の試算は税理士に、老後の資金計画や運用の考え方はファイナンシャルプランナー(FP)にご相談ください。投資詐欺が疑われる場合は、警察相談専用電話(#9110)や消費者ホットライン(188)にご相談ください。

参考資料
– 国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」
– 国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」
– 国税庁「No.2260 所得税の税率」
– 厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」
– 中央労働委員会「令和5年賃金事情等総合調査」
– 東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」
– 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」
– 警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)」(2026年5月)

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、税務・法律・投資相談ではありません。特定の金融商品・金融機関・証券会社への投資や加入を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあり、将来の運用成果を保証するものではありません。税額の試算は一定の条件を置いた概算であり、実際の税額は個別の状況により異なります。退職金の受け取り方や運用については、ファイナンシャルプランナー(FP)や税理士などの専門家にご相談ください。記事内の情報は2026年9月時点のものであり、税制改正等により変更される場合があります。

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