改葬許可申請書の書き方と手順|墓じまいで失敗しない7ステップ完全ガイド

静かな墓地の小径の写真:改葬許可申請の手続きをイメージした一枚 終活・エンディングノート

お墓を今の場所から別の場所へ移す「改葬」を考え始めると、まず立ちはだかるのが役所への申請手続きです。厚生労働省の調査によれば、2022年度の改葬件数は過去最大の15万件超に達しました(出典:厚生労働省「衛生行政報告例」)。少子化や継承者不在を背景に、お墓の引っ越しはもはや特別な選択ではなくなっています。

しかし、いざ手続きを始めようとすると「改葬許可申請書とは何か」「どこでもらうのか」「何を書けばよいのか」でつまずく方が少なくありません。本記事では、改葬許可申請書の書き方と提出までの流れを7つのステップに整理し、複数のご遺骨がある場合の注意点や、多くの人がやってしまう順番のミスまで、実務に沿って解説します。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律・税務・投資相談ではありません。個別の案件については、専門家(弁護士・税理士・司法書士)にご相談ください。記事内の情報は作成時点のものであり、法改正等により変更される場合があります。

本記事で理解できること

  • 改葬と墓じまいの違い
  • 改葬許可証が必要な法的根拠
  • 改葬手続きの全体像(7ステップ)
  • 改葬許可申請書の具体的な記載事項
  • 複数の遺骨がある場合の注意点
  • 費用の目安とよくある失敗パターン

それでは、順番に見ていきましょう。

改葬とは?墓じまいとの違いをまず理解する

改葬とは、すでに埋葬・納骨されている遺骨を、今のお墓や納骨堂から別の場所へ移すことをいいます。俗にいう「お墓の引っ越し」です。

一方で「墓じまい」は、今のお墓を解体・撤去して墓地を更地に戻し、寺院や霊園に使用権を返す作業のことを指します。改葬先に納骨する場合は、墓じまいは改葬という手続きの一部分にあたります。ただし、遺骨を取り出したあとに散骨や手元供養を選び、新たな納骨先を用意しない場合は、法律上の改葬には該当しません。

つまり「墓じまい=改葬」ではなく、「新しい納骨先へ移す」ことが伴って初めて改葬に該当する、という整理になります。この違いを理解しておくと、これから説明する許可申請の要・不要も判断しやすくなります。

注意:散骨や手元供養を検討している場合の法的な扱いについては、当メディアの散骨・樹木葬・宇宙葬はどれが合法? も参考にしてください。

改葬には「改葬許可証」が必須|墓地埋葬法第5条の根拠

改葬を行うには、必ず市区町村長が発行する「改葬許可証」が必要です。これは気持ちの問題ではなく、法律上の義務です。

根拠となるのは「墓地、埋葬等に関する法律」(通称:墓地埋葬法)第5条です。

第五条 埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。
2 前項の許可は、埋葬及び火葬に係るものにあつては死亡若しくは死産の届出を受理し、死亡の報告若しくは死産の通知を受け、又は船舶の船長から死亡若しくは死産に関する航海日誌の謄本の送付を受けた市町村長が、改葬に係るものにあつては死体又は焼骨の現に存する地の市町村長が行なうものとする。

出典:厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律」

条文にある通り、改葬の許可は「遺骨が現に存する地」の市区町村長、つまり今、お墓がある場所の市区町村が発行します。引っ越し先の市区町村ではない点に注意してください。

無許可のまま遺骨を勝手に取り出して移動させると、墓地埋葬法違反にあたるおそれがあります。悪意がなくても「知らなかった」では済まされないため、必ず正規の手順を踏むことが大切です。

注意:許可権限の運用細則や様式は市区町村ごとに定められています。着手前に、必ず現在のお墓がある市区町村の窓口(戸籍・住民課や環境衛生課など、担当課は自治体により異なります)へ事前に確認してください。

改葬の全体像|7ステップで見る手続きの流れ

改葬の手続きは、大きく分けて7つのステップで進みます。全体像を把握しておくと、途中で迷わずに済みます。

STEP1 新しい納骨先を決める

まず、遺骨をどこに移すかを決めます。永代供養墓、樹木葬、納骨堂、新しい一般墓など選択肢はさまざまです。家族・親族間での話し合いを済ませ、全員が納得したうえで先に進むことが、後々のトラブル回避につながります。

STEP2 現在のお墓のある市区町村で「改葬許可申請書」を取得する

現在のお墓が所在する市区町村役場の窓口、またはホームページから改葬許可申請書の様式を入手します。

STEP3 現在のお墓の管理者から「埋蔵証明書」をもらう

今のお墓を管理している寺院・霊園の管理者に、遺骨が確かにそこに埋蔵・収蔵されていることを証明してもらいます。申請書に管理者の証明欄が組み込まれている自治体もあります。

STEP4 新しい納骨先から「受入証明書」をもらう

移転先の墓地・納骨堂の管理者から、遺骨を受け入れる意思があることを証明する書類を発行してもらいます。

STEP5 市区町村に改葬許可申請書を提出し「改葬許可証」を受け取る

必要書類一式を揃えて市区町村の窓口に提出します。書類に不備がなければ、改葬許可証が交付されます。

STEP6 閉眼供養・遺骨の取り出し

改葬許可証を受け取ったら、現在のお墓で閉眼供養(魂抜き)を行い、遺骨を取り出します。石材店に依頼して墓石の解体・撤去を行うのも、このタイミングです。

STEP7 新しい納骨先で開眼供養・納骨

新しい納骨先に改葬許可証を提示し、開眼供養(魂入れ)を経て納骨します。ここまで完了して、ようやく改葬の手続きがすべて終わります。

注意:ステップの順序や必要書類の組み合わせは、自治体・寺院・霊園によって細部が異なります。着手前に、現在の墓地管理者と移転先の管理者、双方に必ず事前確認を行ってください。

改葬許可申請書の書き方|記載事項を項目ごとに解説

改葬許可申請書に記載する主な項目は、次の通りです。様式は自治体ごとに多少異なりますが、記載を求められる内容はおおむね共通しています。

  • 故人の情報:氏名、性別、本籍、住所、死亡年月日
  • 埋葬に関する情報:埋葬または火葬の年月日、現在の埋葬場所(墓地名・所在地)
  • 改葬の理由と改葬先:改葬を行う理由、移転先の墓地・納骨堂の名称と所在地
  • 申請者の情報:住所、氏名、故人との続柄、墓地使用者との関係
  • 墓地管理者による証明:現在の埋葬事実を証明する記名・押印欄

申請者と現在の墓地使用者(お墓の契約者)が異なる場合は、墓地使用者の承諾を得る欄が設けられていることが一般的です。空欄のまま提出すると、窓口で差し戻されることがあるため注意しましょう。

注意:記載項目の呼び方や様式のレイアウトは市区町村によって異なります。窓口で入手した最新の様式に沿って記入し、不明点があれば提出前に必ず担当課へ確認してください。

【注意】遺骨が複数ある場合は1体ごとに申請が必要

見落としがちなポイントとして、改葬許可申請書は遺骨1体ごとに1通が必要という点があります。

先祖代々のお墓には、複数のご遺骨が納められているケースが少なくありません。この場合、改葬許可証も遺骨の数だけ必要になります。事前にお墓の中にどなたの遺骨がいくつ埋葬されているかを、寺院・霊園の記録や過去帳などで確認しておくと、申請時にスムーズです。

一部の自治体では、複数体をまとめて記載できる様式や、一覧表を添付する運用を認めている場合もあります。この点も含めて、事前に窓口へ確認しておくことをおすすめします。

【よくある失敗】石材店を先に手配してしまう順番ミス

改葬の相談を受けていて特に多いのが、「改葬許可証を取得する前に、石材店へ墓石の解体・撤去を先に依頼してしまう」という順番の誤りです。

墓石の解体・撤去や遺骨の取り出しは、改葬許可証が交付されたあとに行うのが原則です。許可証が手元にない段階で作業を進めてしまうと、無許可での遺骨移動とみなされるリスクがあるほか、新しい納骨先への搬入時に許可証の提示を求められて手続きが止まってしまうこともあります。

段取りとしては、次の順番を必ず守ってください。

  1. 新しい納骨先を決める
  2. 埋蔵証明書・受入証明書を揃える
  3. 改葬許可申請書を提出し、改葬許可証を受け取る
  4. 改葬許可証を確認したうえで、石材店に工事を依頼する

石材店の見積もりを先に取ること自体は問題ありませんが、実際の工事着手は改葬許可証の交付後にすることを徹底しましょう。

改葬にかかる費用の目安|行政手数料と石材店・供養費用は別

改葬許可証の交付にかかる行政手数料は、自治体によって異なりますが、数百円〜1,500円程度が目安です(例:ある自治体では改葬許可証1通あたり300円)。

一方で、次のような費用は行政手数料とは別に発生します。

  • 墓石の解体・撤去費用(石材店へ依頼)
  • 閉眼供養・開眼供養のお布施
  • 離檀する場合の離檀料
  • 新しい納骨先の使用料・工事費

行政手数料だけを見て「安く済む」と考えてしまうと、総額の見立てを誤ってしまいます。特に離檀料については、寺院との関係性によって相場や交渉の余地が変わるため、当メディアの離檀料の相場はいくら?払わないとどうなる? もあわせてご確認ください。改葬全体の費用相場については、お墓じまい・永代供養の費用相場と手続き完全ガイド で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

注意:行政手数料・供養費用・工事費の相場は地域や依頼先によって幅があります。見積もりの段階で必ず各窓口・業者に事前確認を取りましょう。

市区町村によって書式・手続きが異なる点への対処法

ここまで見てきた通り、改葬許可申請書の様式や添付書類の呼び方は、市区町村ごとに細部が異なります。これは法律上、改葬許可の運用を各市区町村長に委ねているためです。

対処法としてはシンプルです。

  • 現在のお墓がある市区町村の公式サイトで「改葬許可」のページを確認する
  • 様式をダウンロードできる場合は事前に入手し、必要事項を控えておく
  • 郵送での申請・代理申請の可否も、あわせて確認しておく
  • 不明点は電話や窓口で直接質問する

「隣の市はこうだったから」という思い込みで進めず、その都度、担当窓口に確認する姿勢が、手続きをスムーズに進める一番の近道です。

エンディングノートに「お墓・改葬の希望」を書いておく重要性

改葬の手続きは、多くの場合、本人が亡くなったあとに家族が進めることになります。そのとき「本人がどうしたかったのか」が分からず、家族間で意見が割れてしまうケースは少なくありません。

  • 今のお墓をどうしたいか(維持する・改葬する・墓じまいする)
  • 改葬する場合の希望先(永代供養・樹木葬・散骨など)
  • 現在のお墓の所在地・管理者の連絡先
  • 遺骨の数や埋葬されている方の情報

こうした情報をあらかじめエンディングノートに記録しておくことで、家族は迷いなく、本人の意思に沿った形で手続きを進められます。

デジタル終活を安全・簡単に進めたい方は、DENのモニター募集をご確認ください。
モニター募集に申し込む

DENは、お墓・改葬に関する希望や連絡先の情報も含め、相続・遺言・終活に関する大切な情報を暗号化して安全に保管するデジタル終活サービスです。現在、サービス開始に向けてモニターを募集しています。
詳細はこちら

よくある質問(FAQ)

Q1. 改葬許可証はどこで発行してもらえますか?
A. 現在、遺骨が埋葬・収蔵されている墓地の所在地を管轄する市区町村役場が発行します。引っ越し先の市区町村ではない点に注意してください。

Q2. 改葬許可申請書は自分で書けますか?
A. ご自身で記入できます。ただし記載事項が多く、埋蔵証明書・受入証明書など複数の書類を並行して揃える必要があるため、行政書士など専門家に代行を依頼する方もいます。

Q3. 改葬許可証を取得せずに遺骨を移動させたらどうなりますか?
A. 墓地埋葬法第5条に定める許可を受けずに改葬を行うことは、法律違反にあたるおそれがあります。トラブルを避けるためにも、必ず正規の手順で許可を取得してください。

Q4. 遺骨が複数体ある場合、申請はまとめてできますか?
A. 原則として遺骨1体ごとに申請書・許可証が必要です。まとめて記載できる様式を用意している自治体もあるため、事前に窓口で確認してください。

Q5. 改葬許可申請書の提出は郵送でもできますか?
A. 自治体によって郵送申請に対応している場合とそうでない場合があります。窓口へ出向く前に、必ず現在のお墓のある市区町村に確認しましょう。

Q6. 石材店への依頼はいつ頼めばよいですか?
A. 見積もり相談自体は早めに行っても構いませんが、実際の墓石解体・撤去工事の着手は、改葬許可証を受け取ったあとにするのが原則です。

まとめ

改葬は、①新しい納骨先を決める、②改葬許可申請書を取得する、③埋蔵証明書をもらう、④受入証明書をもらう、⑤市区町村に提出して改葬許可証を受け取る、⑥閉眼供養・遺骨の取り出し、⑦新しい納骨先で開眼供養・納骨という7つのステップで進みます。

法的な根拠は墓地埋葬法第5条にあり、改葬許可証を取得しないまま遺骨を動かすことは避けなければなりません。また、遺骨が複数ある場合は1体ごとの申請が必要であること、石材店への工事依頼は許可証取得後にすべきであることも、必ず押さえておきたいポイントです。

手続きの詳細は市区町村によって異なるため、着手前には必ず現在のお墓がある市区町村の窓口へ確認してください。そして、本人の意思を家族に伝えるためにも、お墓や改葬に関する希望をエンディングノートに残しておくことをおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律・税務・投資相談ではありません。個別の案件については、専門家(弁護士・税理士・司法書士)にご相談ください。記事内の情報は作成時点のものであり、法改正等により変更される場合があります。

更新日・最終確認日:2026年8月28日

コメント

タイトルとURLをコピーしました