公開日:2026年9月13日 / 最終確認日:2026年9月13日
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カテゴリ:デジタル遺産
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律・税務・投資相談ではありません。個別の案件については、専門家(弁護士・税理士・司法書士)にご相談ください。デジタル資産の相続手続きは、サービスの規約や制度改正により変わる可能性があります。記事内の統計・費用・制度に関する情報は作成時点のものであり、最新の状況とは異なる場合があります。
紙の通帳がない。実印を探しても出てこない。保険証券も見当たらない——それなのに、故人のスマートフォンだけがロックされたまま手元に残っている。
これは、これから確実に増えていく相続の光景です。スマホひとつで銀行口座もSNSも資産運用もこなす「デジタルネイティブ世代」の親が年齢を重ね、その子どもたちが相続に直面する時代が近づいています。
従来の相続と何が違うのか。子どもたちはどんな壁にぶつかるのか。そして、今からできる備えとは何か。本記事では、デジタルネイティブ世代特有の相続の課題を、前向きな視点から整理します。
- 本記事で分かること
- デジタルネイティブ世代の親とは?「従来の相続」と何が違うのか
- 壁①:資産の全体像が見えない —「何があるか分からない」という不安
- 壁②:パスワード・2段階認証・生体認証という物理的な壁
- 壁③:サブスクの解約に苦戦する
- 壁④:フォロワー数万人のSNSアカウントをどう扱うか
- 壁⑤:クラウドに眠る写真・動画・ドキュメントの整理
- 壁⑥:仮想通貨・NFTの相続 — 秘密鍵を失えば「消える」資産
- 壁⑦:電子書籍・音楽・ゲームアイテムという「所有していない財産」
- 従来の相続との根本的な違い:通知が来ない、見えない資産という新常識
- 今からできる備え:デジタル資産目録とパスワードの伝え方
- デジタルネイティブだからこそ、前向きに備えられる
- よくある質問(FAQ)
- まとめ|「見えない資産」の時代に、前向きに備える
本記事で分かること
- デジタルネイティブ世代の親が遺す資産が、従来の相続とどう違うのか
- 子どもが直面する7つの具体的な壁(資産の把握・パスワード・サブスク・SNS・クラウド・仮想通貨・電子書籍など)
- 電子書籍やNFTなど「所有していないデジタル財産」の扱い
- 今日からできる、デジタル資産の備え方
デジタルネイティブ世代の親とは?「従来の相続」と何が違うのか
デジタルネイティブ世代とは、生まれたときからインターネットやスマートフォンが身近にあった世代を指します。総務省の令和6年版情報通信白書によれば、20代のSNS利用率は90%を超え、30代でも約85%に達しているとされています。この世代がやがて親となり、資産形成の主戦場もスマホの中に移っていきます。
従来の相続では、通帳・保険証券・不動産の権利証といった「紙の証拠」が手がかりになってきました。金融機関からの郵便物が届くことで、遺族が資産の存在に気づくケースも多くありました。
しかし、デジタルネイティブ世代の資産は、スマホの中、クラウドの中、取引所のサーバーの中に存在します。紙の書類も、郵便物による通知も基本的にはありません。「資産が見えない」という前提に立って備える必要がある、これが最大の違いです。
壁①:資産の全体像が見えない —「何があるか分からない」という不安
最初の壁は、そもそも故人がどんなデジタル資産を持っていたのか、全体像を把握できないことです。
ネット銀行の口座、証券会社の投資口座、電子マネー、複数のサブスクリプション、SNSアカウント、クラウドストレージ——これらはすべてスマホのアプリの中に存在し、外から見ても何も分かりません。
GOODREIが実施した「新・相続実態調査2025」によれば、相続人の4人に3人が何らかのデジタル金融資産を相続しているとされています。つまり、デジタル資産の相続はすでに特別なケースではなく、多くの家庭で直面する現実になりつつあるといえます。
壁②:パスワード・2段階認証・生体認証という物理的な壁
仮に資産の存在が分かったとしても、次に立ちはだかるのがログインの壁です。
多くのサービスでは、パスワードに加えてSMS認証や認証アプリによる2段階認証が設定されています。顔認証・指紋認証といった生体認証も一般的になりました。これらは本人以外のログインを防ぐためのセキュリティ機能ですが、その分、家族であってもアクセスが極めて困難になるという副作用があります。
スマホ本体のロックが解除できなければ、その先にある大半のサービスにたどり着くことすらできません。パスワードマネージャーを利用していた場合、そのマスターパスワードが分からなければ、すべてのアカウント情報が一括で閉ざされてしまう点にも注意が必要です。
壁③:サブスクの解約に苦戦する
デジタルネイティブ世代は、動画配信・音楽配信・クラウドストレージ・フィットネスアプリなど、多数のサブスクリプションサービスを日常的に利用しています。
問題は、契約している本人以外には「何に加入しているか」が分からないことです。国民生活センターの集計によれば、サブスクリプションに関する消費生活相談件数は2021年度の7,461件から2025年度には20,174件へと、5年間でおよそ2.7倍に増加しています。サブスクが生活に定着した分、トラブルの相談も比例して増えている状況です。
契約者本人が亡くなった後も、クレジットカードが有効である限り課金は自動的に継続します。「何がいくつ契約されているか分からないまま、引き落としだけが続く」という事態は、今後さらに一般的になっていくと考えられます。
壁④:フォロワー数万人のSNSアカウントをどう扱うか
デジタルネイティブ世代の中には、趣味や仕事を通じてSNSで多くのフォロワーを持つ人も少なくありません。フォロワー数万人規模のアカウントを持つ故人のSNSをどう扱うかは、これまでの相続にはなかった新しい論点です。
「そのまま残しておくか」「追悼アカウントに切り替えるか」「削除するか」——サービスごとに用意されている手続きは異なり、遺族が把握していないケースがほとんどです。放置されたアカウントが乗っ取りの標的になるリスクも指摘されています。SNSアカウントごとの具体的な扱いについては、死後、SNSアカウントはどうなる?主要6サービス徹底比較で詳しく解説しています。
壁⑤:クラウドに眠る写真・動画・ドキュメントの整理
デジタルネイティブ世代は、紙のアルバムではなく、クラウドストレージに大量の写真や動画を保存しています。子どもの成長記録、旅行の思い出、日々のメモまで、生活の記録そのものがデータとしてクラウド上に蓄積されています。
これらは経済的な価値こそ小さいものの、遺族にとってはかけがえのない記録です。しかし、クラウドサービスのアカウントにログインできなければ、その中身に触れることすらできません。「見せたい写真がそこにあるのに、開けない」というのは、デジタル時代ならではのもどかしさといえるでしょう。
壁⑥:仮想通貨・NFTの相続 — 秘密鍵を失えば「消える」資産
デジタルネイティブ世代の資産形成において、仮想通貨やNFT(非代替性トークン)は無視できない存在になりつつあります。
仮想通貨は、取引所の口座情報や、自己管理型ウォレットの秘密鍵(シークレットキー)がなければアクセスできません。秘密鍵は本人以外に知らされていないことが多く、紛失すれば資産そのものが永久に失われる可能性があります。取引所を通さない自己管理型の仮想通貨は、誰にも知られないまま消えてしまうリスクを抱えている点で、他の金融資産とは性質が異なります。詳しい仕組みと対策は、仮想通貨の秘密鍵を失くしたら永久に消える?でも解説しています。
NFTについても同様で、ゲーム内で取得したアイテムやデジタルアートが資産的価値を持つケースが増えていますが、ウォレット情報が分からなければ相続人が引き継ぐことはできません。申告漏れが指摘される資産でもあるため、生前の情報整理が重要になります。
壁⑦:電子書籍・音楽・ゲームアイテムという「所有していない財産」
見落とされがちなのが、電子書籍や音楽、ゲームアイテムといったデジタルコンテンツです。
多くの電子書籍ストアでは、購入者が得ているのは本の「所有権」ではなく「閲覧する権利」に過ぎず、利用規約上、第三者への譲渡や相続人への引き継ぎが禁止されているケースが一般的です。つまり、生前に何百冊もの電子書籍を購入していたとしても、法律上は遺族がそのまま引き継げるとは限らないのが実情です。
一部のサービスでは、Apple・Googleが提供するファミリー共有機能を使うことで、家族間でコンテンツを一部共有できる場合もあります。ただし、これはあくまで各サービスの仕様に依存する運用上の工夫であり、正式な相続の手続きとは性質が異なる点に留意が必要です。
従来の相続との根本的な違い:通知が来ない、見えない資産という新常識
ここまで見てきた7つの壁に共通するのは、「資産の存在に気づく手がかりがない」という点です。
従来の相続では、銀行からの郵便物や証券会社の取引報告書といった「紙のサイン」が、遺族に資産の存在を知らせる役割を果たしてきました。しかしデジタル資産の多くは、通知が郵送されることもなく、家の中を探しても物理的な痕跡が残りません。
その結果、遺産分割協議や相続税の申告からデジタル資産が漏れてしまい、後になって発覚するというトラブルも報告されています。実際にどのようなトラブルが起きているのか、具体的な事例はデジタル遺品トラブル事例8選でまとめています。「見えない資産」を前提とした相続対策が、これからの時代には欠かせません。
今からできる備え:デジタル資産目録とパスワードの伝え方
こうした壁は、生前の備えによって大きく減らすことができます。ポイントは次の3点です。
- デジタル資産目録を作成する:利用しているサービス名・口座の種類・大まかな残高感を一覧にしておくだけでも、遺族が「何を探せばよいか」が分かるようになります
- パスワードの伝え方を決めておく:すべてを書面に残すのではなく、パスワードマネージャーのマスターパスワードなど「鍵となる情報」の保管場所と伝達方法を決めておくことが有効です
- 家族に一言伝えておく:資産目録を作るだけでなく、「何かあったらこれを見てほしい」と家族に伝えておくことで、いざというときに気づいてもらいやすくなります
パスワードの管理方法そのものについては、パスワード管理は老後こそ重要でも詳しく取り上げています。
こうした情報は紙のノートに書き残す方法もありますが、デジタルネイティブ世代にとっては、デジタル資産の情報こそデジタルツールで管理する方が実践しやすいという側面もあります。デジタル終活を安全・簡単に進めたい方は、DENのモニター募集をご確認ください。デジタル資産の情報を暗号化した状態で一元管理し、必要なタイミングでご家族に安全に共有できます。
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デジタルネイティブだからこそ、前向きに備えられる
ここまで、デジタルネイティブ世代の相続で起こりうる課題を紹介してきましたが、これは特定の世代を批判するものではありません。むしろ、デジタルツールを使いこなしてきた世代だからこそ、備え方次第でこれらの課題をスマートに解決できる可能性があります。
紙の書類を探し回るのではなく、スマホやクラウド上で情報を整理し、必要なときに家族へ安全に共有する——これは、デジタルネイティブ世代の強みを生かした終活の形といえるでしょう。「デジタルに強いからこそ、デジタルの終活も上手にできる」という前向きな捉え方で、少しずつ準備を始めてみることをおすすめします。
DENは、パスワードや資産情報、SNSアカウントの希望などを暗号化した状態で管理し、家族に安全に引き継げるデジタルエンディングノートサービスです。現在、サービス開始に向けてモニターを募集しています。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 親のスマホがロックされていて開けません。どうすればよいですか?
生体認証や暗証番号が分からない場合、家族であっても第三者が強制的に解除することは基本的にできません。生前にロック解除の方法や、重要な情報へのアクセス方法を家族と共有しておくことが、最も確実な備えになります。
Q2. 仮想通貨を持っていたことは分かっているのですが、取引所も分かりません。相続できますか?
利用していた取引所やウォレットの情報が全く分からない場合、資産の所在を特定すること自体が難しくなります。取引所によっては相続手続きに対応している場合もあるため、心当たりのある取引所に個別に問い合わせることをおすすめします。自己管理型ウォレットの場合、秘密鍵が見つからなければ資産へのアクセスは極めて困難です。
Q3. 電子書籍やゲームアイテムは、家族が引き継ぐことはできないのですか?
多くのサービスでは、購入者本人限定の「利用権」という位置づけのため、法律上の相続財産として第三者に譲渡することは想定されていません。サービスによってはファミリー共有機能などで一部利用を引き継げる場合もありますが、正式な相続とは異なる運用上の対応である点にご留意ください。
Q4. 亡くなった家族のSNSアカウントは、そのままにしておいてもよいのでしょうか?
放置されたアカウントは、乗っ取りなどのリスクにさらされる可能性があるとされています。多くのSNSでは追悼アカウントへの切り替えや削除の申請手続きが用意されているため、サービスごとの規約を確認し、必要な対応を検討することをおすすめします。
Q5. デジタル資産目録は、何から書き始めればよいですか?
まずは「利用しているサービス名」を一覧にすることから始めるのがおすすめです。銀行・証券・電子マネー・サブスク・SNS・クラウドストレージなど、カテゴリーごとに書き出していくと、全体像を把握しやすくなります。金額やパスワードそのものまで細かく書く必要はなく、まずは「何があるか」を家族が分かる状態にすることが第一歩です。
Q6. サブスクの解約が難しいと聞きましたが、なぜですか?
契約者本人でなければ解約手続きができないサービスが多く、家族が代わりに解約しようとしても、本人確認や契約情報の照合で行き詰まるケースが少なくありません。生前に加入しているサービスの一覧を残しておくことで、遺族が把握しやすくなります。
まとめ|「見えない資産」の時代に、前向きに備える
デジタルネイティブ世代の相続では、資産の全体像が見えない、パスワードでアクセスできない、サブスクが解約できない、SNSアカウントの扱いに困る、クラウドの中身に触れられない、仮想通貨やNFTが消えてしまう、電子書籍やゲームアイテムを引き継げない——これら7つの壁が、これまでにはなかった新しい課題として立ちはだかります。
しかし、これはデジタルネイティブ世代の弱点ではなく、備え方次第で乗り越えられる課題です。紙の書類が残らない時代だからこそ、デジタル資産目録を作り、パスワードの伝え方を決め、家族と共有しておくことが何よりの対策になります。
DENのエンディングノートで、デジタル資産の情報を整理しておくことも、その一歩として検討してみてはいかがでしょうか。
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参考:
– GOODREI「新・相続実態調査2025」プレスリリース
– 国民生活センター:通信販売での定期購入(サブスクリプション)に関する相談件数の推移
– 総務省:令和6年版情報通信白書(SNS利用状況)
– 日経クロストレンド:故人の電子書籍は家族も継承できず
監修:本記事は終活・資産管理分野の専門家監修のもと、公的機関の統計データおよび各種専門家解説記事を参照して作成しています。特定の世代を批判・否定する意図はなく、デジタルツールに親しんできた世代の強みを生かした前向きな終活のあり方を紹介する目的で執筆しています。統計・制度に関する情報は作成時点のものであり、最新の状況とは異なる場合があります。


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