高額介護サービス費とは?月4.4万円を超えた介護費用が戻る制度|上限額・申請方法・2年の時効を解説

落ち着いた雰囲気の和室で封筒と小銭入れが整然と置かれているイメージ 終活・エンディングノート

高額介護サービス費とは?月4.4万円を超えた介護費用が戻る制度|上限額・申請方法・2年の時効を解説

公開日:2026年9月12日 / 最終確認日:2026年9月12日
監修:終活・相続専門チーム(DEN編集部)

「今月は介護サービスをたくさん使ったから、自己負担がいくらになるか不安」——そんな心配をしている方に、まず知っていただきたい制度があります。介護サービスの自己負担額には月ごとの上限が定められており、それを超えた分は申請すれば払い戻されます。「高額介護サービス費」と呼ばれるこの制度、実は知らないまま、本来戻ってくるはずのお金を受け取り損ねている方も少なくありません。

本記事では、高額介護サービス費の仕組みと所得区分別の上限額、申請方法、そして見落としがちな「時効2年」という期限、さらに医療費と合わせて負担を軽減できる高額医療・高額介護合算制度まで、具体的な計算例を交えて解説します。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療・法律相談ではありません。高額介護サービス費や高額医療・高額介護合算制度の具体的な適用条件・手続きについては、必ずお住まいの市区町村(介護保険担当窓口)にご確認ください。記事内の情報は作成時点のものであり、制度改正や自治体の運用変更により内容が変わる場合があります。本記事は2026年9月時点の情報です。

高額介護サービス費とは|上限を超えた分が戻ってくる仕組み

高額介護サービス費は、1ヶ月に利用した介護保険サービスの自己負担額(1〜3割)の合計が、所得に応じて定められた上限額を超えた場合に、その超過分が払い戻される制度です。

対象になるのは、あくまで介護保険サービスの自己負担分のみです。デイサービスやホームヘルプ、ショートステイ、施設サービスなど、介護保険が適用されるサービスの利用料が対象となります。一方で、福祉用具の購入費や住宅改修費の自己負担、施設に入所した際の食費・居住費(滞在費)・日常生活費などは、そもそも介護保険給付の対象外であるため、高額介護サービス費の計算にも含まれません。この点は後ほど詳しく解説します。

介護が長引くほど、あるいは要介護度が上がって利用するサービスが増えるほど、自己負担額も大きくなりがちです。「介護費用がかさんで家計が苦しい」と感じたときこそ、この制度を思い出してほしいところです。

【比較表】所得区分別 自己負担の上限額

高額介護サービス費の上限額は、本人および同じ世帯にいる65歳以上の方の所得状況によって、次のように区分されています。

所得区分 月額上限(世帯)
年収約1,160万円以上 140,100円
年収約770万円以上1,160万円未満 93,000円
年収約383万円以上770万円未満(現役並み所得相当) 44,400円
一般(住民税課税世帯) 44,400円
住民税非課税世帯 24,600円
住民税非課税・老齢福祉年金受給者、または前年の合計所得金額と課税年金収入額の合計が一定額以下の方 世帯24,600円/個人15,000円
生活保護受給者等 15,000円

(出典:厚生労働省「高額介護サービス費の負担限度額」、各市区町村の介護保険担当ページを参考に作成)

多くの一般世帯にとっての目安は「月44,400円」です。それでは、実際にどれくらい戻ってくるのか、具体例で見てみましょう。

計算例:一般世帯で月の自己負担額が10万円だった場合

一般(住民税課税世帯)の上限額は44,400円です。この月に介護サービスの自己負担が10万円かかった場合、

10万円 − 44,400円 = 55,600円が高額介護サービス費として払い戻される

ことになります。自己負担額が上限を大きく超える月ほど、払い戻される金額も大きくなる仕組みです。

申請方法と時効2年の注意点|「申請しないと戻ってこない」

ここが、この制度でもっとも見落とされやすいポイントです。高額介護サービス費は、自動的に振り込まれるわけではありません。原則として申請が必要です。

申請の流れ

  1. 1ヶ月の自己負担額が上限を超えると、多くの市区町村では該当者に対して「高額介護サービス費支給申請書」が送付されます
  2. 申請書に必要事項を記入し、被保険者証や振込先口座がわかる通帳の写しなどを添えて、市区町村の窓口へ提出(郵送・窓口・自治体によっては電子申請にも対応)
  3. 初回の申請が受理されると、以降は該当した月分について、申請なしで同じ口座に自動的に振り込まれる運用となっている市区町村が多く見られます

ただし、申請書が届くかどうか、2回目以降が本当に自動振込になるかどうかは、市区町村によって運用が異なります。「案内が来るはず」と待っているだけで、実際には届いていなかった、というケースも起こり得ます。心当たりがある月があれば、届出がなくても一度窓口に確認してみることをおすすめします。

時効は2年

高額介護サービス費の申請には時効があります。対象となるサービスを利用した月の翌月1日から起算して2年で、その権利は時効により消滅してしまいます。「そういえば数年前、介護費用がかなりかさんだ月があった」と思い当たる場合は、まだ間に合う可能性がありますので、早めに市区町村へ確認しましょう。

必要書類の例(自治体により異なります)
– 高額介護サービス費支給申請書
– 介護保険被保険者証
– 振込先口座がわかるもの(通帳等)

具体的な必要書類や手続きの詳細は自治体ごとに異なるため、必ずお住まいの市区町村の介護保険担当窓口にご確認ください。

高額医療・高額介護合算制度との組み合わせ

介護保険サービスだけでなく、医療費もかさんでいる世帯には、もうひとつ知っておきたい制度があります。それが「高額医療・高額介護合算制度」です。

これは、毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間について、同じ世帯における医療保険と介護保険の自己負担額を合算し、その合計が所得に応じた年間上限額を超えた場合に、超過分が払い戻される仕組みです。年間上限額は世帯の所得区分に応じて、おおむね56万円から212万円の範囲で設定されています。

対象となる可能性がある世帯には、計算期間の翌年4月頃を目安に、加入している医療保険者(市区町村国保や後期高齢者医療広域連合など)から案内と申請書が送付されるのが一般的です。ただし、この案内の時期や様式も自治体・保険者によって異なります。心当たりのある方は、案内を待つだけでなく、お住まいの市区町村や加入している医療保険の窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。

高額介護サービス費が「介護費用だけ」を見る制度であるのに対し、高額医療・高額介護合算制度は「医療費と介護費の合計」を見る制度です。両方の制度を知っておくことで、家計への負担をより広い視点で見直すことができます。

「対象外」でよくある誤解|食費・居住費は含まれない

高額介護サービス費についてよくある誤解が、「介護にかかる費用なら何でも対象になる」というものです。実際には、次のような費用は対象外です。

  • 施設サービス利用時の食費
  • 施設サービス利用時の居住費(滞在費)
  • 日常生活費(理美容代、おむつ代など施設が独自に定める費用)
  • 福祉用具購入費・住宅改修費の自己負担分
  • 介護保険の区分支給限度額を超えて全額自己負担したサービス利用分

これらは、そもそも介護保険の給付対象外として位置づけられている費用のため、高額介護サービス費の計算にも含まれません。特別養護老人ホームなどの施設に入所すると、介護サービス費とは別に食費・居住費の負担が発生することに驚く家族は少なくありません。

なお、食費・居住費についても負担が重くなりすぎないよう、所得や資産が一定以下の方を対象とした「特定入所者介護サービス費(補足給付)」という別の軽減制度が用意されています。高額介護サービス費とは異なる制度ですので、該当しそうな場合は、こちらもあわせて市区町村や施設のケアマネジャーに相談してみることをおすすめします。

介護保険制度全体の仕組みや利用者負担の考え方については、介護保険とは?仕組み・要介護認定7段階・申請から利用開始までの流れを完全ガイドもあわせてご確認ください。

エンディングノートに介護費用・申請状況を記録する重要性

高額介護サービス費は、申請さえすれば本来受け取れるお金です。しかし、実際に手続きを進めるのは、本人ではなく家族やケアマネジャーであることも少なくありません。「どの月にいくら自己負担があったか」「申請書はもう出したか」「振込口座はどこか」といった情報が家族の間で共有されていないと、時効2年という期限内に気づけないまま権利を失ってしまうおそれもあります。

エンディングノートには、こうした介護費用の記録や申請状況、担当ケアマネジャーの連絡先、市区町村の介護保険担当窓口の連絡先などを、家族の誰が見てもわかる形で残しておくことができます。介護は長期化することも多く、記録が積み重なるほど、後から振り返って「申請し忘れていた月」に気づく助けにもなります。DENでは、こうした介護・終活にまつわる大切な情報を暗号化した状態で安全に記録し、必要なときに家族が確認できる仕組みを目指しています。デジタル終活を安全・簡単に進めたい方は、DENのモニター募集をぜひご覧ください。

老後の介護費用は、家計全体の見直しとあわせて考えることも大切です。老後の家計見直しチェックリスト|固定費・収入の見直しポイントもあわせてご覧いただくと、介護費用を含めた老後資金全体の見通しを立てやすくなります。また、介護費用だけでなく、万が一のときにかかる死後の費用についても知っておくと、より安心して将来に備えられます。死後処理にかかる費用は総額いくら?葬儀・相続まで含めた費用相場もご参照ください。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 高額介護サービス費は、申請しなくても自動的に振り込まれますか?
A1. 初回は原則として申請が必要です。市区町村から支給申請書が届く場合が多いですが、届かないケースや、2回目以降の自動振込の運用も自治体により異なります。心当たりがある場合は、必ずお住まいの市区町村の窓口にご確認ください。

Q2. 申請には時効があると聞きました。いつまで申請できますか?
A2. サービスを利用した月の翌月1日から起算して2年です。過去に自己負担が多かった月がある場合は、時効になる前に市区町村へ確認することをおすすめします。

Q3. 施設に入所していますが、食費や居住費も対象になりますか?
A3. いいえ。施設サービス利用時の食費・居住費・日常生活費は、もともと介護保険の給付対象外のため、高額介護サービス費の対象にも含まれません。ただし、所得や資産が一定以下の方には「特定入所者介護サービス費」という別の軽減制度があります。詳しくは施設のケアマネジャーや市区町村にご相談ください。

Q4. 医療費と介護費、両方が多い月はどうすればいいですか?
A4. 高額介護サービス費とは別に、医療保険と介護保険の年間自己負担額を合算して軽減する「高額医療・高額介護合算制度」があります。計算期間は毎年8月から翌年7月で、該当する場合は加入している医療保険者から案内が届くのが一般的です。詳しくは加入している医療保険の窓口にご確認ください。

Q5. 上限額は誰の所得で決まりますか?
A5. 本人および同じ世帯に属する65歳以上の方(第1号被保険者)の住民税課税状況・所得金額によって区分が決まります。世帯構成や課税状況によって上限額が変わるため、詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。

Q6. 申請はケアマネジャーが代わりにやってくれますか?
A6. 制度上、申請手続きは基本的に本人またはご家族が行うものですが、ケアマネジャーが申請のタイミングや必要書類について相談に乗ってくれることは多くあります。まずは担当のケアマネジャーに相談してみることをおすすめします。

Q7. 上限額は毎年見直されることがありますか?
A7. 所得区分や基準額は制度改正により変更されることがあります。本記事の金額は作成時点の情報のため、最新の金額については厚生労働省の発表やお住まいの市区町村の窓口で必ずご確認ください。

まとめ|「知らなかった」で終わらせないために

高額介護サービス費は、介護サービスの自己負担が月の上限額を超えた場合に、超過分が払い戻される心強い制度です。しかし、多くの場合は申請しなければ戻ってこず、時効も2年と限られています。「介護費用がかさんだ月があったかもしれない」と思い当たる方は、まずお住まいの市区町村の介護保険担当窓口、または担当のケアマネジャーに相談してみてください。

あわせて、医療費と介護費を合算できる高額医療・高額介護合算制度や、施設の食費・居住費を軽減する特定入所者介護サービス費など、関連する制度も存在します。それぞれ適用条件や手続きが異なり、地域による運用の違いもあるため、詳細は必ず市区町村に確認しながら、使える制度を漏れなく活用していきましょう。

介護保険料や介護サービスの手続きについてはお住まいの市区町村の窓口に、ケアプランに関することは担当のケアマネジャーに、個別の法的・税務的な判断が必要な場合は弁護士・税理士など専門家にご相談ください。


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参考・出典
– 厚生労働省「高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」
– 千代田区「高額介護(予防)サービス費」
– 京都市「高額医療・高額介護合算療養費制度について」
– 健康長寿ネット「介護保険の高額介護合算療養費制度とは」

(本記事は2026年9月時点の情報に基づいて作成しています。高額介護サービス費・高額医療高額介護合算制度の具体的な適用条件や手続きは、必ずお住まいの市区町村の介護保険担当窓口にご確認ください。ケアプランに関することは担当のケアマネジャーに、個別の法的・税務的な判断については弁護士・税理士など専門家にご相談ください。)

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