健康寿命と平均寿命の差は男性9年・女性12年|人生100年時代に「不健康期間」を縮める5つの方法
「人生100年時代」という言葉を、耳にする機会が増えました。ただ、長く生きられること自体は、必ずしも喜ばしいことだけを意味しません。
厚生労働省の統計によると、平均寿命と健康寿命の間には、男性で約9年、女性で約12年もの差があります。この期間は、日常生活に何らかの制限がある「不健康期間」です。介護や医療的なサポートを必要としながら過ごす年月と言い換えられます。
本記事では、公的データをもとに健康寿命と平均寿命の違いを整理し、この「不健康期間」を縮めるための実践的な方法を紹介します。あわせて、健康なうちに終活を進めておくことの重要性についても解説します。
本記事で理解できること
– 平均寿命と健康寿命の正確な違いとデータ
– 健康寿命を縮める3つの要因(生活習慣病・認知症・フレイル)
– 健康寿命を伸ばすための5つの実践的な柱
– 健康と終活をセットで考えるべき理由
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療・法律・税務・投資相談ではありません。健康状態や治療方針については、必ず医師など専門家にご相談ください。個別の相続・終活の案件については、弁護士・税理士・司法書士にご相談ください。記事内の情報は作成時点のものであり、統計の更新や制度改正等により変更される場合があります。
健康寿命と平均寿命の違いとは
まず、2つの言葉の違いを整理します。
- 平均寿命:0歳における平均余命。生まれた子どもが何年生きられるかを示す指標
- 健康寿命:健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間
厚生労働省が公表した令和6(2024)年簡易生命表によると、日本人の平均寿命は男性81.09年、女性87.13年でした(出典:厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」)。
一方、健康寿命は2022年時点で男性72.57年、女性75.45年です(出典:厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」)。
この2つの数値の差が、いわゆる「不健康期間」です。
| 指標 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 平均寿命(2024年) | 81.09年 | 87.13年 |
| 健康寿命(2022年) | 72.57年 | 75.45年 |
| 差(不健康期間) | 約8.5年 | 約11.7年 |
男性は約9年、女性は約12年にわたり、介護や医療的なサポートを必要としながら生活する可能性があるということです。厚生労働省は、この差を縮め、健康寿命そのものを延ばすことを重要政策課題として位置づけています。
「人生100年時代」は本当に来るのか
「人生100年時代」という表現は、ベストセラー『LIFE SHIFT』などをきっかけに広く使われるようになりました。実際、2007年に日本で生まれた子どもの半数が107歳まで生きるという推計が示されたことが、この言葉の背景にあります。
長寿化そのものは歓迎すべきことです。しかし、平均寿命が延びるだけでは、必ずしも幸福な人生100年にはなりません。「何歳まで生きるか」だけでなく「何歳まで健康に生きるか」が、これからの時代の最重要課題になっています。
健康寿命を縮める3大要因
健康寿命が短くなる主な要因として、以下の3つが挙げられます。
1. 生活習慣病
高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病は、脳卒中や心疾患のリスクを高め、要介護状態につながりやすい疾患です。生活習慣病の予防と早期発見・治療は、健康寿命を延ばすうえで基本となる取り組みです。
2. 認知症
認知症は要介護状態になる主要因の一つです。早期発見によって進行を緩やかにできる可能性があり、発症前の準備も重要になります。認知症の早期発見サインについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
→ 認知症の早期発見サイン10選|発症前にやるべき5つの準備
3. フレイル(加齢による虚弱)
あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、フレイルは健康寿命を語るうえで欠かせない概念です。次の章で詳しく解説します。
フレイルとは何か|健康と要介護の間にある状態
フレイルとは、加齢に伴って筋力や心身の活力が低下し、健康な状態と要介護状態の中間に位置する段階を指します。「虚弱」とも訳されますが、重要なのは、フレイルは適切な対策によって健康な状態に戻せる可能性があるという点です。
フレイルには、主に3つの側面があります。
- 身体的フレイル:筋力低下、歩行速度の低下、疲れやすさなど
- 精神・心理的フレイル:意欲の低下、軽度の認知機能低下など
- 社会的フレイル:閉じこもり、孤立、人とのつながりの減少など
生活習慣病や認知症に比べると認知度は低いものの、フレイルは健康寿命を左右する重要な段階です。早期に気づき、対策をとることが健康寿命の延伸につながります。
健康寿命を伸ばす5つの柱
公的機関の情報や研究をもとに、健康寿命を伸ばすための実践的な方法を5つの柱に整理しました。
① 適度な運動(週150分の中強度運動)
ウォーキングや軽い体操など、中強度の運動を週150分程度行うことが、健康寿命の延伸に有効とされています。特別な運動でなくても、掃除や買い物、散歩などで日常的に体を動かす習慣が、フレイル予防の基本になります(出典:健康長寿ネット「フレイルの予防」)。
② バランスの良い食事
主食・主菜・副菜をそろえた、バランスの良い食事を1日3食とることが推奨されています。地中海食や和食のような、多様な食品を組み合わせる食事スタイルは、生活習慣病の予防にも役立つとされています。
なお、特定の健康食品やサプリメントに頼るのではなく、日々の食事全体のバランスを見直すことが基本です。
③ 社会参加・つながり(孤独が最大のリスクという事実)
意外に思われるかもしれませんが、社会的なつながりの少なさ、いわゆる「孤独」は、健康寿命にとって非常に大きなリスク要因です。
複数の研究をまとめたメタアナリシスでは、孤独や社会的孤立が死亡リスクを20〜30%高めることが報告されており、これは喫煙や肥満に匹敵する水準とされています。世界保健機関(WHO)も2023年11月に「社会的つながりを育む委員会(Commission on Social Connection)」を設置し、孤独・孤立を世界的な公衆衛生上の課題として位置づけました(出典:WHO Commission on Social Connection)。
地域活動やボランティア、趣味のサークルなど、人とのつながりを保つ場を持つことが、フレイルの社会的側面を予防し、健康寿命を延ばすことにつながります。独居の方が孤立を防ぐための考え方は、こちらの記事でも取り上げています。
→ 孤独死を防ぐ生き方とは|独居老人が「つながりを育てる」ためにできること
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④ 禁煙・節酒
喫煙は生活習慣病やがんのリスクを高める代表的な要因です。飲酒についても、過度な摂取は生活習慣病やフレイルのリスクを高めるとされています。禁煙・節酒は、健康寿命を延ばすための基本的な取り組みの一つです。
⑤ 定期的な健康診断・早期発見
生活習慣病や認知症、フレイルのいずれについても、早期発見・早期対応が健康寿命の延伸に直結します。定期的な健康診断・検診を受診し、変化に早く気づく習慣を持つことが重要です。
フレイル予防の具体策|筋力・タンパク質・口腔ケア
フレイル予防をより具体的に実践するうえで、特に意識したいポイントを3つ紹介します。
- 筋力維持:スクワットやウォーキングなど、下半身の筋力を保つ運動を継続する
- タンパク質摂取:筋肉の材料となるタンパク質を、肉・魚・卵・大豆製品などから毎食意識してとる
- 口腔ケア:噛む力や飲み込む力の低下(オーラルフレイル)を防ぐため、定期的な歯科受診と口腔ケアを行う
これらは特別な道具や費用を必要としない、日常生活の中で取り組める対策です。
健康寿命と終活の関係|健康なうちに進めることが最善策
健康寿命と終活は、一見すると別のテーマに思えるかもしれません。しかし、両者は密接に関係しています。
不健康期間に入ってからでは、自分の意思をまとめて伝えることや、財産・デジタル資産の情報を整理することが難しくなる場合があります。認知症やフレイルが進行する前、判断能力がしっかりしているうちに終活を進めておくことが、家族の負担を減らす最善策です。
具体的には、以下のような情報をあらかじめ整理しておくことが役立ちます。
- かかりつけ医・服薬情報
- 延命治療に関する希望
- 財産・デジタル資産(ネット銀行、SNSアカウントなど)の情報
- 家族に伝えたいこと、遺言の方針
DENのようなエンディングノートサービスを活用し、健康情報やかかりつけ医の情報をあらかじめ記録しておくことで、万一の際にも家族が迷わず対応できます。
DENは、相続・遺言・終活に関する大切な情報を暗号化して安全に保管するデジタル終活サービスです。現在、サービス開始に向けてモニターを募集しています。
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人生100年時代の資産設計とのつながり
健康寿命の延伸は、資産設計とも切り離せないテーマです。不健康期間が長くなれば、それだけ医療費・介護費用がかさむ可能性があります。老後資金を「2,000万円」と想定していても、インフレや不健康期間の長期化によって、必要な資金はさらに増える可能性があります。
老後資金とインフレの関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 老後資金2,000万円問題は「4,000万円問題」に拡大していた|インフレ時代にタンス預金だけでは危ない理由と今日からできる対策
健康面の備えと資産面の備えは、どちらか一方ではなく、両輪で考えることが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 健康寿命はどうやって計算されているのですか?
A. 国民生活基礎調査などをもとに、「日常生活に制限のない期間」を統計的に算出しています。詳細な算出方法は厚生労働省の資料で公開されています。
Q2. 健康寿命を延ばすために、まず何から始めればよいですか?
A. 特別なことを始めるより、まずは適度な運動習慣やバランスの良い食事など、日常生活の中でできることから取り組むことをおすすめします。持病がある場合は、まず医師に相談してください。
Q3. フレイルは自分で気づけるものですか?
A. 体重減少、歩行速度の低下、疲れやすさなどの変化から気づけることがあります。気になる変化があれば、早めに医療機関や地域の相談窓口に相談することをおすすめします。
Q4. 孤独が健康に影響するというのは本当ですか?
A. 複数の研究で、孤独や社会的孤立が死亡リスクを高めることが報告されています。人との交流を保つことは、身体面・精神面の両方で健康維持に役立つとされています。
Q5. 健康なうちに終活を始めるメリットは何ですか?
A. 判断能力がしっかりしているうちに、自分の意思や財産・デジタル資産の情報を整理しておくことで、将来家族が対応に迷う場面を減らせます。健康情報やかかりつけ医の情報も、早めに記録しておくと安心です。
Q6. 健康寿命の統計は今後どう変わっていく見込みですか?
A. 厚生労働省の将来推計では、平均寿命は今後も延びる見込みです。健康寿命についても、生活習慣病対策やフレイル予防の普及により延伸が期待されていますが、確定的な将来値ではなく推計値である点に留意が必要です。
まとめ
健康寿命と平均寿命の差、すなわち不健康期間は、男性で約9年、女性で約12年にのぼります。この期間をいかに短くするかが、人生100年時代における最重要課題です。
生活習慣病・認知症・フレイルという3つの要因を理解し、運動・食事・社会参加・禁煙節酒・定期健診という5つの柱を日常生活に取り入れることが、健康寿命を延ばす具体的な一歩になります。
そして、健康なうちに終活を進めておくことも、将来の自分と家族を守る備えの一つです。健康面の対策と情報整理を、今日から少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。
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参考文献・出典
– 厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」(2025年公表)
– 厚生労働科学研究「健康寿命のページ」(健康寿命 令和4年値)(厚生労働省 健康日本21(第三次)推進専門委員会、2024年公表)
– 健康長寿ネット「フレイルの予防」(公益財団法人長寿科学振興財団)
– WHO Commission on Social Connection(世界保健機関、2023年11月設置)
最終更新日:2026年8月17日


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