特別方式遺言とは?4種類の要件・有効期間20日・証人の注意点を徹底解説

相続・遺言

特別方式遺言とは?4種類の要件・有効期間20日・証人の注意点を徹底解説

公開日:2026年8月5日 最終確認日:2026年8月5日

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律・税務・投資相談ではありません。個別の案件については、専門家(弁護士・税理士・司法書士)にご相談ください。記事内の情報は作成時点のものであり、法改正等により変更される場合があります。


「もう公正証書遺言を作る時間はありません。今、意識があるうちに何とかできませんか」——救急搬送された80代の父親を前に、家族が病室の看護師にそう尋ねる場面は、実際の相続現場で起こり得ます。

公正証書遺言は準備に数週間、自筆証書遺言も本人が字を書ける状態でなければ作成できません。しかし民法は、こうした「もう普通の方法では間に合わない」極限状況のために、口頭でも遺言を残せる特別な制度を用意しています。それが特別方式遺言です。

※上記は制度理解のための一般的な想定シーンです。実在の人物・事件とは関係ありません。

この記事を読むと、次のことがわかります。

  • 特別方式遺言とは何か、普通方式遺言と何が違うか
  • 4種類(死亡危急者遺言・伝染病隔離者遺言・在船者遺言・船舶遭難者遺言)の要件比較
  • 実務で最も使われる「死亡危急者遺言」の作成手順
  • 有効期間20日と確認審判を忘れると無効になる仕組み
  • 証人になれる人・なれない人の資格要件
  • ホスピス・ICU・災害孤立など現代的な活用場面
  • 特別方式遺言に頼らないために、今からできる備え

特別方式遺言とは?普通方式が使えない緊急時に使う遺言制度

遺言には、民法が定める2つの大きな方式があります。普通方式遺言(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)と、特別方式遺言です。

普通方式遺言は、時間をかけて要式を整えられることが前提になっています。ところが、病気で意識がいつ失われるかわからない、感染症で隔離されて公証人を呼べない、航海中で陸地の役所に一切アクセスできない——このような状況では、普通方式の要件を満たすこと自体が不可能です。

そこで民法976条から979条は、通常より厳格な要件を緩和する代わりに、有効期間や確認手続きで真意性を担保する、特別方式遺言という緊急避難的な制度を設けています。

普通方式遺言との最大の違いは、次の2点です。

  • 有効期間がある(種類によっては、危機を脱すると失効する)
  • 家庭裁判所の確認(または将来の検認)が必要なケースがある

「とにかく口頭でも意思を残せれば有効になる」という制度ではなく、緊急時の特例だからこそ、事後のチェック体制が組み込まれている点を理解しておく必要があります。


特別方式遺言4種類の一覧比較【証人数・有効期間・確認審判の要否】

特別方式遺言は、状況に応じて次の4種類に分かれます。大きく分けると「死期が迫っている危急時遺言」と「隔絶された場所にいる隔絶地遺言」の2グループです。

種類 根拠条文 想定状況 証人 有効期間 確認審判
死亡危急者遺言(一般危急時遺言) 民法976条 病気・怪我で死亡の危急に迫られている 証人3人以上 普通方式に戻れる状態から6ヶ月生存で失効 必要(作成から20日以内に申立て)
伝染病隔離者遺言(一般隔絶地遺言) 民法977条 伝染病により行政処分で交通を断たれた場所にいる 警察官1人+証人1人以上 期限なし 不要
在船者遺言(船舶隔絶地遺言) 民法978条 船舶(航海)中にいる 船長または事務員1人+証人2人以上 期限なし 不要
船舶遭難者遺言(難船危急時遺言) 民法979条 死亡の危急と船舶の遭難が重なっている 証人2人以上(読み聞かせ不要) 危機脱出後6ヶ月生存で失効 必要(20日の期限なし、速やかに)

表からわかる通り、証人だけで完結する「隔絶地遺言」グループ(伝染病隔離者・在船者)は確認審判が不要な一方、「死亡の危急」を伴う危急時遺言グループ(死亡危急者・船舶遭難者)は家庭裁判所の確認が必須です。この違いを取り違えると、せっかく作った遺言が無効になりかねません。

次の章では、実務上もっとも利用頻度が高い「死亡危急者遺言」を詳しく見ていきます。


死亡危急者遺言とは?要件・作成の流れを徹底解説

死亡危急者遺言(一般危急時遺言)は、特別方式遺言のなかで最も使われる方式です。末期がん、心筋梗塞、交通事故など、「今すぐ死亡してもおかしくない」状態にある人が、口頭で遺言を残せます。

どんな状況で使われるのか

想定される典型的な場面は次の通りです。

  • 病院に緊急搬送され、意識はあるが手が動かせない
  • 末期状態で余命が数日〜数週間と告げられている
  • 大規模な事故・災害で重傷を負い、公証人を呼ぶ時間的余裕がない

自筆証書遺言のように自分で書く必要がなく、公正証書遺言のように公証人を手配する時間もかからない点が、この方式の最大の特徴です。

証人3人の役割と作成の手順

死亡危急者遺言は、次の手順で作成します。

  1. 証人3人以上が立ち会う
  2. 遺言者が、そのうち証人1人に遺言の趣旨を口頭で伝える(口授)
  3. 口授を受けた証人が、その内容を筆記する
  4. 筆記した内容を、遺言者および他の証人に読み聞かせる、または閲覧させる
  5. 各証人が「筆記が正確である」と承認したうえで、全員が署名・押印する
  6. 遺言の日から20日以内に、証人の1人または利害関係人が家庭裁判所へ確認の申立てを行う

普通方式のように遺言者本人が文字を書く必要がない代わりに、証人3人が「本人の真意を正確に記録した」ことを共同で担保する仕組みになっています。

よくある失敗

死亡危急者遺言は要件がシンプルに見えて、実務では次のようなつまずきが多く報告されています。

  • 証人3人をその場ですぐに確保できない(夜間・休日の病院では特に困難)
  • 証人の中に、後述する欠格事由に該当する人(推定相続人など)が紛れていた
  • 筆記した内容が本人の口授と微妙に食い違い、後日真意性を争われる
  • 20日の期限を意識せず、確認審判の申立てを忘れてしまう

いずれも、遺言そのものが無効になる致命的なリスクです。次の章で、この「20日ルール」を詳しく解説します。


有効期間は作成から20日間|確認審判を忘れると無効になる

死亡危急者遺言には、作成の日から20日以内に家庭裁判所の確認を受けるという時限性のルールがあります。この期限を過ぎると、遺言そのものが無効になります。

確認審判の申立て手続き

  • 申立人:証人の1人、または利害関係人(相続人・受遺者など)
  • 申立先:遺言者の住所地を管轄する家庭裁判所
  • 申立期限:遺言作成の日から20日以内
  • 審査内容:家庭裁判所が、その遺言が遺言者の真意に基づくものであるかどうかを審理します

この手続きは、遺言者が生存中でも死亡後でも行うことができます。ただし、意識のない家族を前にして「あと何日で申立てが必要か」を正確に把握しているケースは多くありません。証人になった人が期限を意識的に管理しておく必要があります。

「確認」と「検認」の違い

混同されやすいのが、この「確認」と、遺言書全般で必要になる「検認」です。

手続き 対象 目的 タイミング
確認(確認審判) 死亡危急者遺言・船舶遭難者遺言 遺言者の真意に基づくか審理する 作成から20日以内(死亡危急者遺言の場合)
検認 公正証書遺言以外のすべての遺言書 遺言書の状態を確認し偽造・変造を防ぐ 遺言者の死亡後、遅滞なく

つまり死亡危急者遺言は、作成直後の「確認」と、遺言者の死亡後の「検認」を、二段階でクリアする必要があるということです。確認を受けただけで安心せず、死亡後には別途、検認の手続きも忘れずに行う必要があります。

なお普通方式に戻れる状態(つまり普通の遺言書を作成できる健康状態)に回復し、そこから6ヶ月間生存すると、死亡危急者遺言は自動的に失効します。これは「危急を脱したなら、正式な方式でやり直しなさい」という制度趣旨によるものです。


伝染病隔離者遺言とは?感染症隔離中に使える遺言

伝染病隔離者遺言(一般隔絶地遺言)は、伝染病にかかり、行政処分によって交通を遮断された場所にいる人が使える方式です(民法977条)。

死亡の危急は要件になっておらず、あくまで「行政処分により外部との交通を断たれている」ことが前提です。

  • 立会人:警察官1人+証人1人以上
  • 有効期間:期限なし
  • 確認審判:不要

死亡危急者遺言と異なり確認審判が不要な理由は、警察官という公的な立会人が関与することで、真意性がある程度担保されるためと考えられます。一方で、この方式は法定の「行政処分による交通遮断」が要件のため、感染症であれば何でも使えるわけではない点に注意が必要です。


在船者遺言とは?航海中に使える遺言

在船者遺言(船舶隔絶地遺言)は、船舶の中にいる人が使える方式です(民法978条)。長期間の航海など、陸地の公証人や家庭裁判所に物理的にアクセスできない状況を想定しています。

  • 立会人:船長または事務員1人+証人2人以上
  • 有効期間:期限なし
  • 確認審判:不要

こちらも死亡の危急は要件ではありません。船長という船内の責任者が立ち会うことで、伝染病隔離者遺言と同様に確認審判なしで完結する仕組みになっています。


船舶遭難者遺言とは?最も要件が緩和された遺言

船舶遭難者遺言(難船危急時遺言)は、死亡の危急と船舶の遭難が同時に重なった、特別方式のなかでも最も切迫した状況のための方式です(民法979条)。

  • 証人:2人以上
  • 証人への読み聞かせ:不要(死亡危急者遺言では必須の手続きが省略される)
  • 有効期間:危機を脱してから6ヶ月生存で失効
  • 確認審判:必要(ただし20日という期限はなく、危機が去り次第速やかに申立てを行う)

死亡危急者遺言よりもさらに要件が緩和されているのは、遭難という状況下では「読み聞かせ」すら困難な場合があるためです。ただし要件が緩い分、確認審判における真意性の審査はより慎重に行われる傾向があります。


証人になれる人・なれない人|相続人・受遺者は証人NG

特別方式遺言のすべての種類に共通する重要な注意点が、証人の資格要件です。民法974条により、次に該当する人は証人(および立会人)になれません。

  • 未成年者
  • 推定相続人(遺言者が死亡した場合に相続人になる予定の人)
  • 受遺者(その遺言によって財産を受け取る人)
  • 推定相続人・受遺者の配偶者および直系血族
  • 公証人の配偶者、4親等内の親族、書記および使用人(公正証書遺言の場合)

これは特別方式遺言に限らず、公正証書遺言など証人を要するすべての遺言方式に共通するルールです。病室にいる家族がそのまま証人になれないケースが非常に多く、実務上は看護師・医師・弁護士・第三者の知人などに証人を依頼する必要があります。

欠格事由に該当する人が証人・立会人として立ち会った場合、その遺言は全体が無効になる可能性があります。緊急時こそ、証人選びを慎重に行う必要があるのです。


特別方式遺言が無効になるケース・有効になるケース

特別方式遺言は要件が緩和されている一方、通常の遺言以上に無効リスクが高い方式でもあります。有効・無効の分かれ目を整理しておきましょう。

有効になりやすいケース

  • 証人の人数・資格要件を満たしている
  • 口授(口頭での伝達)が明確に行われ、筆記内容と一致している
  • 期限内(20日以内)に確認審判の申立てを行っている
  • 遺言者が、遺言の内容を理解できる意識状態にあった

無効になりやすいケース

  • 証人に推定相続人・受遺者など欠格者が含まれていた
  • 遺言者本人ではなく、家族や証人が内容を主導し「口授」とみなされなかった
  • 確認審判の申立てが20日を過ぎてしまった
  • 遺言者が普通方式に戻れる状態から6ヶ月生存し、自動失効した
  • 遺言者の意識状態が不明瞭で、真意性が疑われた(家庭裁判所の確認で否定される)

特別方式遺言は「最後の手段」であるがゆえに、後から遺言能力や真意性が争われやすい方式でもあります。可能であれば、確認審判の場に医師の診断記録など、遺言者の意識状態を裏付ける資料を残しておくことが望ましいでしょう。


現代的な活用場面|ホスピス入院中・ICU・自然災害での孤立

特別方式遺言というと「時代劇のような特殊な話」に聞こえるかもしれませんが、実は現代でも起こり得る場面は少なくありません。

ホスピス・緩和ケア病棟

余命告知を受け、ホスピスや緩和ケア病棟に入院している場合、意識がはっきりしている期間に公正証書遺言を準備できないまま容態が急変することがあります。このようなとき、死亡危急者遺言が選択肢になります。

ICU(集中治療室)

事故や急病でICUに搬送され、面会や外部との連絡が制限されている状況では、公証人の来訪自体が難しいケースがあります。医療スタッフの協力を得ながら、証人3人を確保できるかが実務上の課題になります。

自然災害での孤立

大規模な地震・水害などで交通が寸断され、負傷した状態で孤立するケースも想定されます。このような状況では、伝染病隔離者遺言に近い「交通遮断」の考え方が参考になりますが、実際にどの方式が適用できるかは個別の事情によるため、専門家への相談が不可欠です。

いずれの場面でも共通するのは、「その場に居合わせた人が、特別方式遺言の存在と要件をあらかじめ知っているかどうか」で対応のスピードが大きく変わるという点です。


特別方式遺言と普通方式遺言の比較|どちらを選ぶべきか

最後に、特別方式遺言と普通方式遺言(公正証書遺言・自筆証書遺言)を比較しておきます。

項目 公正証書遺言 自筆証書遺言 特別方式遺言(死亡危急者遺言)
適用場面 平常時 平常時 死亡の危急・隔離・航海など緊急時のみ
証人 2人以上 不要 3人以上
作成期間 数週間〜2ヶ月程度 即日可能(自書できれば) 即日(口頭で完結)
有効期間 無期限 無期限 6ヶ月生存または20日以内の確認が必要
家庭裁判所の関与 検認不要 検認必要(保管制度利用時は不要) 確認審判+将来の検認の両方が必要
無効リスク 低い 形式ミスで無効になりやすい 期限・証人資格で無効になりやすい
コスト 財産額に応じて数万〜20万円以上 実質無料 実質無料(ただし手続きの手間は大きい)

この比較からわかる通り、特別方式遺言は「緊急避難的な最終手段」であり、平常時に選ぶべき方式ではありません。有効期間の制約、確認審判という追加手続き、証人資格の厳格さなど、普通方式にはないハードルが多く存在するためです。


最善策は「事前に」通常の遺言書を作っておくこと

ここまで特別方式遺言の要件を詳しく見てきましたが、率直に言えば、特別方式遺言は「使わずに済むなら、それに越したことはない」制度です。

  • 証人3人をその場で確保する難しさ
  • 20日以内に確認審判を申し立てる時間的プレッシャー
  • 欠格事由による無効リスク
  • 遺言者の真意性が争われやすい構造

これらのハードルを考えれば、健康なうちに公正証書遺言や、法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言を準備しておくことが、最も確実な対策です。

公正証書遺言の具体的な準備期間や証人確保の注意点は、こちらの記事で詳しく解説しています。

公正証書遺言は最低2ヶ月かかる|手続き全プロセスと証人確保の落とし穴

また、2026年の民法改正で導入された新しい遺言方式については、こちらをご覧ください。

130年ぶりの遺言革命!「デジタル遺言(保管証書遺言)」とは?2026年改正民法で何が変わるか【速報解説】

そして、そもそも遺言書には「効力の限界」があることも知っておく必要があります。デジタル資産の扱いなど、遺言書だけでは家族に届かない情報については、こちらで詳しく解説しています。

遺言書の効力と限界|書き方ミスで無効になる?相続トラブルを防ぐ5つの盲点


DENのエンディングノートで遺言書の有無・保管場所を記録する

特別方式遺言が使われる場面の多くは、家族が「遺言書があるかどうかすら分からない」緊急事態です。この情報の空白こそが、いざというときに家族を最も苦しめます。

  • 普通方式の遺言書はすでにあるのか
  • あるとすれば公正証書か自筆証書か、保管場所はどこか
  • 遺言執行者は誰に依頼しているか
  • 万が一、特別方式遺言を使う事態になった場合の連絡先(弁護士など)

こうした情報を、家族があらかじめ確認できる形で記録しておくことが、特別方式遺言に頼らずに済む最大の備えになります。

DENは、相続・遺言・終活に関する大切な情報を暗号化して安全に保管するデジタル終活サービスです。遺言書の有無や保管場所、専門家の連絡先といった情報を、三分割暗号化方式で安全に記録し、いざというときに家族へ確実に伝えられる仕組みを提供します。現在、サービス開始に向けてモニターを募集しています。

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よくある質問

Q1. 特別方式遺言は誰でも作成できますか?

いいえ。特別方式遺言は、死亡の危急・伝染病による隔離・航海中・船舶遭難といった、民法で定められた特定の状況にある人しか作成できません。平常時にこの方式を選ぶことはできず、あくまで普通方式遺言が作成できない緊急時の特例です。

Q2. 死亡危急者遺言の証人3人は、どんな人にお願いすればよいですか?

推定相続人・受遺者およびその配偶者・直系血族、未成年者は証人になれません。病院関係者(医師・看護師)や、利害関係のない知人・弁護士などに依頼するのが一般的です。緊急時に慌てないよう、事前に証人候補を想定しておくことをおすすめします。

Q3. 確認審判の20日を過ぎてしまったら、どうなりますか?

死亡危急者遺言は、作成の日から20日以内に家庭裁判所の確認を受けなければ無効になります。期限を過ぎた場合、原則としてその遺言は効力を持ちません。証人や利害関係人は、期限管理を最優先で行う必要があります。

Q4. 特別方式遺言と普通の遺言書、両方あったらどうなりますか?

遺言書は複数存在する場合、内容が矛盾する部分については最後に作成された遺言書が優先されます。特別方式遺言の作成後に、遺言者が回復して普通方式の遺言書を新たに作成した場合は、そちらが優先される可能性があります。また、死亡危急者遺言は普通方式に戻れる状態から6ヶ月生存すると自動的に失効します。

Q5. 特別方式遺言に、遺言書の検認は必要ですか?

必要です。確認審判(危急時遺言グループのみ)とは別に、遺言者の死亡後には、公正証書遺言以外のすべての遺言書と同様に、家庭裁判所での検認手続きが必要になります。確認審判を受けたことで安心せず、死亡後の検認も忘れずに行ってください。

Q6. 特別方式遺言を使う可能性がある場合、事前に何を準備しておくべきですか?

最善策は、健康なうちに公正証書遺言などの普通方式遺言を作成しておくことです。それでも万が一に備え、特別方式遺言の要件(証人資格・20日ルールなど)を家族や近しい人が知っておくこと、遺言書の有無や保管場所、専門家の連絡先をエンディングノートなどで共有しておくことが実務上の備えになります。


まとめ|特別方式遺言は「最終手段」、備えは今日から

特別方式遺言は、通常の遺言書が作れない極限状況のために民法が用意した、4種類の緊急避難的な制度です。

  • 死亡危急者遺言:証人3人、作成から20日以内に確認審判が必要(最も使われる方式)
  • 伝染病隔離者遺言:警察官1人+証人1人以上、確認審判不要
  • 在船者遺言:船長等1人+証人2人以上、確認審判不要
  • 船舶遭難者遺言:証人2人以上、確認審判は必要だが期限なし

いずれも、証人の資格要件や有効期間という普通方式にはない制約があり、無効になるリスクは決して低くありません。

だからこそ、特別方式遺言に頼らざるを得ない事態を避けるために、健康なうちに公正証書遺言などの普通方式遺言を準備しておくことが、最も確実で現実的な対策です。あわせて、遺言書の有無や保管場所を家族が把握できる状態にしておくことも、いざというときの安心につながります。

エンディングノートのデジタル化にご興味がある方は、DENのサービス紹介ページをご覧ください。


執筆・監修について

本記事は、DEN編集部が相続・終活に関する公開情報をもとに作成しました。法律に関する内容については、弁護士・司法書士の監修を受けることを推奨します。個別の相談は専門家にお問い合わせください。

参考資料・外部リンク
裁判所:遺言書の検認
裁判所:遺言書の検認の申立書
裁判所:家事事件Q&A
日本公証人連合会:遺言公正証書

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