遺族年金はいくらもらえる?受給条件・金額・手続きを徹底解説【遺族基礎年金・遺族厚生年金の違いと2028年改正】
公開日:2026年8月23日 / 最終確認日:2026年8月23日
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カテゴリ:相続・遺言
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律・税務・年金相談ではありません。個別の受給資格・金額については、年金事務所または社会保険労務士にご確認ください。記事内の情報は作成時点のものであり、法改正等により変更される場合があります。本記事は2026年8月時点の情報です。
家族を亡くした直後、多くの方が直面するのが「これから生活費はどうなるのか」という不安です。そのとき頼りになる制度のひとつが遺族年金ですが、
「結局、私はもらえるの?」
「いくらもらえるの?」
「子どもがいないと、もらえないと聞いたけれど本当?」
という疑問を抱えたまま、手続きを後回しにしてしまう方が少なくありません。以前の記事「未支給年金の請求方法と時効」では、亡くなった方本人の年金の未支給分について解説しました。今回は、遺された家族自身が受け取る「遺族年金」について、受給条件・金額・手続きを正確に整理します。
本記事でわかること:
- 遺族基礎年金と遺族厚生年金、2つの制度の違い(比較表)
- 「子のない配偶者はもらえない」は本当か——正確な受給条件
- 具体的にいくらもらえるか(ケース別シミュレーション)
- 受給できないケースと、手続きの流れ・期限
- 受給しながら働く場合の注意点
- 2025年6月に成立・2028年4月施行予定の改正で何が変わるか(現時点では未施行)
遺族年金には2種類ある——遺族基礎年金と遺族厚生年金の違い
遺族年金は、亡くなった方の年金加入状況によって「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」のいずれか、または両方が支給される2階建ての制度です。1階部分の遺族基礎年金は国民年金から、2階部分の遺族厚生年金は厚生年金から支給されます。
| 項目 | 遺族基礎年金 | 遺族厚生年金 |
|---|---|---|
| 財源 | 国民年金 | 厚生年金 |
| 対象者 | 子のある配偶者、または子 | 子の有無を問わず配偶者、子、父母等 |
| 子のない配偶者 | 受給不可 | 妻は受給可/夫は55歳以上の条件あり |
| 金額の目安(2025年度) | 年額831,700円+子の加算 | 死亡した人の老齢厚生年金(報酬比例部分)の3/4 |
| 対象となる死亡者 | 国民年金加入者等 | 厚生年金加入者(会社員・公務員等) |
会社員や公務員として厚生年金に加入していた方が亡くなった場合、条件を満たせば遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受け取れます。一方、自営業者など国民年金のみに加入していた方が亡くなった場合は、遺族基礎年金のみが対象です。
子のない配偶者はもらえない?——受給条件を正確に整理
読者の方から特に多い疑問が、この点です。結論から言うと、「子のない配偶者」がもらえるかどうかは、遺族基礎年金と遺族厚生年金で答えが異なります。
遺族基礎年金——子のない配偶者は対象外
遺族基礎年金の対象は、「子のある配偶者」または「子」のみです。ここでいう「子」は、18歳到達年度末までの子、または20歳未満で障害等級1・2級の子に限られます。子がいない配偶者、または子がすでに成人している配偶者は、遺族基礎年金を受け取れません。
遺族厚生年金——妻は子なしでも受給可、夫は55歳以上という条件
一方、遺族厚生年金は子の有無を問わず配偶者が対象になりえますが、ここに現行制度の男女差があります。
- 妻:年齢要件なし。子がいなくても受給できます(ただし30歳未満で子のない妻は5年間の有期給付)
- 夫:55歳以上であることが条件(支給開始は60歳から)
さらに、夫の死亡時に40歳以上65歳未満で子のない妻(または子が18歳到達年度末を超えて遺族基礎年金の対象外になった妻)には、中高齢寡婦加算として年額623,800円(2025年度)が65歳まで上乗せされます。この加算は妻のみを対象とした制度で、夫には設けられていません。
「子どもがいないから遺族年金は一切もらえない」と思い込んでいる方もいますが、厚生年金に加入していた配偶者が亡くなった場合は、子どもがいなくても遺族厚生年金の対象になりうるという点は、正確に押さえておく必要があります。
結局いくらもらえる?——具体的な金額とシミュレーション
遺族基礎年金の金額(2025年度)
- 基本額:年額831,700円
- 子の加算:1人目・2人目は1人につき239,300円、3人目以降は1人につき79,800円
例えば「配偶者+子2人」の場合、831,700円+239,300円×2人=年額1,310,300円が目安です。
遺族厚生年金の金額
遺族厚生年金は、死亡した方が受け取るはずだった老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3が基本的な計算式です。金額は加入期間や平均標準報酬額によって個人差が大きく、目安として「亡くなった方の老齢厚生年金の見込み額×3/4」で概算できます。
ケース別シミュレーション
ケース1:会社員の夫(厚生年金加入)が死亡、専業主婦の妻+子1人が残された場合
- 遺族基礎年金:831,700円+239,300円(子1人分)=1,071,000円
- 遺族厚生年金:夫の老齢厚生年金見込み額(仮に年80万円)の3/4=60万円
- 合計目安:約167万円/年
ケース2:会社員の夫が死亡、子のない40代の妻の場合
- 遺族基礎年金:対象外(子がいないため)
- 遺族厚生年金:夫の老齢厚生年金見込み額の3/4+中高齢寡婦加算623,800円
- 子の有無や加入期間によって金額は大きく変動するため、正確な金額は年金事務所での「年金見込額試算」の利用をおすすめします
ケース3:自営業(国民年金のみ)の夫が死亡、子2人のいる妻の場合
- 遺族基礎年金:831,700円+239,300円×2人=1,310,300円
- 遺族厚生年金:なし(厚生年金未加入のため)
正確な金額は、年金の加入期間・標準報酬額によって一人ひとり異なります。日本年金機構「遺族年金」のページ、または年金事務所での試算を必ず確認してください。
【重要】受給できないケース——見落としやすい3つの条件
条件を満たしていると思っていても、次のようなケースでは遺族年金を受給できません。
- 婚姻関係が確認できない:法律上の配偶者ではない、内縁関係の証明ができない場合は対象外となることがあります(事実婚でも一定の証明があれば認められる場合があります)
- 生計維持関係がない:亡くなった方と生計を同じくしていたことが条件です。長期間別居し、経済的な援助関係もなかった場合は認められないことがあります
- 前年の収入が850万円以上(または所得655万5,000円以上):遺族の収入が高い場合、生計維持関係が認められず対象外となります
「収入があるからもらえないだろう」と諦めて手続きをしない方もいますが、850万円という基準は決して低くありません。判断に迷う場合は、まず年金事務所に相談することをおすすめします。
なお、子のない配偶者や、身寄りが少なく手続きを一人で進めなければならない方にとっては、遺族年金の請求自体が大きな負担になりがちです。日頃からのつながりや情報共有の重要性については、「孤独死を防ぐ生き方とは」の記事もあわせてご覧ください。
手続きの流れ——必要書類・提出先・時効5年
遺族年金の請求手続きは、次の流れで進めます。
- 必要書類の準備:年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付、様式第105号)、死亡診断書のコピー、戸籍謄本、住民票の除票、世帯全員の住民票、請求者の収入を確認できる書類(源泉徴収票等)、預金通帳の写しなど
- 提出先:年金事務所、または年金相談センター(遺族基礎年金のみの場合は市区町村役場でも受付可能な場合があります)
- 審査・支給開始:請求から支給開始まで、目安として数ヶ月程度かかります
時効は5年です。 生計を維持していた方が亡くなった日の翌日から5年以内に請求しないと、時効により受給権が消滅します。これは以前の記事で解説した「未支給年金の請求方法と時効」の時効と同じ期間です。悲しみの中で手続きが後回しになりがちですが、他の相続手続きと合わせて、期限を意識したスケジュール管理が欠かせません。相続全体の手続き期限については「相続手続きの期限一覧」も参考にしてください。
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受給しながら働く場合の注意点——在職老齢年金との違い
「遺族年金をもらいながら働くと、年金が減らされるのでは」と心配する方がいますが、これは誤解されやすいポイントです。
遺族厚生年金は、給与収入の多寡によって支給停止される仕組み(在職老齢年金)の対象ではありません。 つまり、フルタイムで働いて厚生年金に加入していても、その給与を理由に遺族厚生年金が減額されることは、原則としてありません。
注意が必要なのは、65歳以降、自分自身の老齢厚生年金を受け取る権利がある場合です。この場合、「1人1年金」という公的年金の原則により、自分の老齢厚生年金が優先的に支給され、遺族厚生年金は老齢厚生年金の額を上回る部分だけが支給される形に調整されます。つまり、両方を満額ずつ重複して受け取れるわけではありません。65歳以降の年金設計については、年金事務所での試算を通じて具体的な金額を確認することをおすすめします。
【検討中】2028年施行予定の改正——遺族厚生年金の男女差解消
ここまで解説してきた「妻は年齢要件なし、夫は55歳以上」という制度には、かねてより男女差の是正を求める指摘がありました。この点について、2025年6月の年金制度改正法で見直しが決定しています。
重要なのは、この改正はすでに法律として成立していますが、施行は2028年4月1日を予定しているという点です。 つまり、本記事執筆時点(2026年8月)では、まだ施行されておらず、現行の受給条件(妻は年齢要件なし、夫は55歳以上)がそのまま適用されます。
改正で予定されている主な内容は、次の通りです。
- 60歳未満で配偶者を亡くした場合、男女とも原則として5年間の有期給付に統一(現行の男女差を解消する方向)
- 5年間の有期給付には「有期給付加算」が上乗せされ、現行の遺族厚生年金額のおよそ1.3倍になる見込み
- 60歳以上で配偶者を亡くした場合は、引き続き無期給付
- 中高齢寡婦加算は、2028年4月以降に新たに発生する加算分から段階的に縮小される予定(すでに受給を開始している方は、経過措置により変更されない見込み)
これらはあくまで2028年4月施行予定の内容であり、政令等による詳細は今後確定していく段階です。具体的にご自身のケースにどう影響するかは、現時点では「検討中」の要素を含むため、年金事務所や社会保険労務士に確認しながら情報を更新していくことをおすすめします。
DENのエンディングノートで、年金情報・ねんきん定期便を記録しておく
遺族年金の手続きをスムーズに進めるには、亡くなった方の年金加入記録がどこにあるか、家族があらかじめ把握しておくことが重要です。「ねんきん定期便」の保管場所や基礎年金番号、年金手帳の所在が分からず、手続きの初動が遅れるケースは少なくありません。
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年金は、亡くなった後の家族の生活を支える重要な制度です。だからこそ、「どこに、何があるか」を生前から共有しておくことが、いざという時の家族の負担を減らします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 子どもがいない場合、遺族年金は一切もらえませんか?
遺族基礎年金は子のある配偶者・子のみが対象のため、子がいない場合は対象外です。ただし、亡くなった方が厚生年金に加入していた場合、遺族厚生年金は子の有無を問わず配偶者が対象になりえます(妻は年齢要件なし、夫は55歳以上という条件あり)。まずはご自身が対象になるか、年金事務所に確認することをおすすめします。
Q2. 内縁関係(事実婚)でも遺族年金はもらえますか?
住民票上の続柄や生計維持の実態など、一定の証明ができれば、事実婚のパートナーも遺族年金の対象と認められる場合があります。個別の状況によって判断が分かれるため、年金事務所または社会保険労務士への相談をおすすめします。
Q3. 遺族年金の手続きに期限はありますか?
はい、時効は5年です。生計を維持していた方が亡くなった日の翌日から5年以内に請求しないと、受給権が時効により消滅します。未支給年金の時効と同じ期間のため、あわせて早めの手続きをおすすめします。
Q4. 遺族年金と未支給年金は同じものですか?
異なります。未支給年金は、亡くなった方本人がすでに受け取る権利があったのに支給されていなかった年金分を遺族が代わりに受け取るものです。遺族年金は、遺された家族の生活保障として新たに支給される年金です。両方とも該当する場合、それぞれ別に請求手続きが必要です。
Q5. パートで働きながらでも遺族厚生年金はもらえますか?
はい。遺族厚生年金は、給与収入の額によって支給停止される在職老齢年金の対象ではないため、働きながらでも原則として満額を受け取れます。ただし65歳以降、自分自身の老齢厚生年金を受け取る権利がある場合は、「1人1年金」の原則により支給額が調整される点に注意が必要です。
Q6. 2028年の改正を待ってから手続きをした方がよいですか?
いいえ、おすすめできません。改正は2028年4月施行予定であり、現時点(2026年8月)ではまだ施行されていません。遺族年金の請求権には5年の時効があるため、現行制度のもとで速やかに手続きを進めることをおすすめします。
Q7. 手続きに必要な書類は、どこで確認できますか?
日本年金機構の公式サイト、または最寄りの年金事務所・年金相談センターで確認できます。年金請求書(様式第105号)のほか、戸籍謄本や住民票、収入を確認できる書類などが必要です。個別の必要書類は状況によって異なるため、事前に年金事務所へ問い合わせることをおすすめします。
まとめ:正確な条件を知り、5年の期限内に手続きを
- 遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があり、対象者と金額の計算方法が異なる
- 遺族基礎年金は子のある配偶者・子のみが対象。子のない配偶者は遺族厚生年金(妻は年齢要件なし、夫は55歳以上)が受給できる可能性がある
- 金額の目安は、遺族基礎年金が年額831,700円+子の加算、遺族厚生年金は死亡した方の老齢厚生年金の3/4
- 前年収入850万円以上など、生計維持関係が認められないと受給できないケースもある
- 請求期限は死亡日の翌日から5年——未支給年金と同じく、早めの手続きが重要
- 2025年6月成立・2028年4月施行予定の改正で男女差は解消される見込みだが、現時点ではまだ施行されておらず、現行ルールが適用される
今日できる1アクション:
- 亡くなった方(または将来のご家族)の年金加入記録・ねんきん定期便の保管場所を確認する
- 自分が遺族年金の対象になるか、年金事務所または社会保険労務士に相談する
- 年金情報の保管場所を、DENなどで家族が把握できる状態にしておく
制度は複雑に見えますが、「対象になるかどうか」「いくらもらえるか」は、年金事務所での試算によって具体的に把握できます。5年という期限を意識し、早めに動くことが、遺された家族の生活を守る第一歩です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律・税務・年金相談ではありません。個別の受給資格・金額の算定については、年金事務所または社会保険労務士にご確認ください。記事内の情報は作成時点のものであり、法改正等により変更される場合があります。2028年4月施行予定の改正内容は、政令等により今後変更される可能性があります。本記事は2026年8月時点の情報です。


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