老後破産の原因と対策|狙われる詐欺の手口と見分け方を解説

老後資金について話し合う高齢夫婦をイメージした、老後破産への備えを示す写真 終活・エンディングノート

公開日:2026年7月17日 / 最終確認日:2026年7月17日
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カテゴリ:終活・エンディングノート

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律・税務・投資相談ではありません。個別の案件については、専門家(弁護士・税理士・司法書士・ファイナンシャルプランナー)にご相談ください。記事内の情報は作成時点のものであり、法改正等により変更される場合があります。


「年金と貯金があれば、老後は何とかなるはず」——そう考えている方は多いのではないでしょうか。

しかし今、老後破産は決して他人事ではありません。個人の自己破産申立件数は2025年に8万件を超え、2012年以来13年ぶりの高水準に達しています。しかも破産する人の年代は60代・70代が中心で、その割合は調査開始以来もっとも高くなっているのです。

さらに深刻なのが、老後破産に追い打ちをかける存在です。年金生活者の不安や孤独につけ込み、大切な老後資金を狙う詐欺・悪質商法が後を絶ちません。真面目にコツコツ貯めてきた資産が、たった一度の詐欺被害で一気に失われるケースも珍しくないのです。

本記事では、老後破産の実態と5つの原因を整理したうえで、老後を狙う詐欺の手口と見分け方、そして今からできる対策までをまとめて解説します。

老後破産の実態|自己破産は過去最高水準で増加中

まずは、老後破産がどれほど深刻な問題になっているのか、データで確認しましょう。

個人の自己破産申立件数は、物価高や賃金の伸び悩みを背景に増加が続いています。日本経済新聞の報道によれば、2025年(暦年)の自己破産の新受件数は8万件を超え、これは2012年以来13年ぶりの水準です。

日本弁護士連合会の調査によれば、破産する人のうち60代が16.71%、70代が11.84%を占めており、70代以上の割合は調査開始以来もっとも高い数値となりました。定年後、収入が限られる時期に破産に追い込まれる高齢者が、着実に増えているのです。

家計の実態を見ても、余裕があるとはいえません。総務省の家計調査では、夫婦のみの無職世帯・単身無職世帯ともに、社会保障給付を中心とした収入だけでは毎月の生活費をまかなえず、平均して家計収支が赤字になっている状況が続いています。貯蓄を毎月取り崩しながら生活している世帯が、決して少数派ではないということでしょう。

「うちは大丈夫」と思っていても、想定外の出費や収入減少が重なれば、誰にでも起こり得るのが老後破産です。次の章では、具体的にどのような原因で老後破産に至るのかを見ていきましょう。

老後破産の5つの原因

老後破産に至る背景には、いくつかの共通したパターンがあります。ここでは代表的な5つの原因を整理します。

原因1. 年金収入の不足(老後2,000万円問題)

社会保障給付の平均額は月22.5万円程度とされる一方、最低限の生活費には月23.9万円程度が必要とされています。ゆとりある老後を送るには月39.1万円が目安ともいわれ、年金収入だけでは大きな不足が生じるのが実情です。

いわゆる「老後2,000万円問題」が話題になったように、年金収入と生活費の差額を貯蓄で埋め続けなければならない構造そのものが、老後破産のリスクを高めているといえるでしょう。

原因2. 住宅ローン・借金の長期化

近年は、住宅ローンの完済年齢が70歳以降にずれ込むケースが増えています。現役時代の収入を前提に組んだローンが、年金収入だけの生活になっても続いてしまうと、返済負担が家計を圧迫します。

高齢者の破産理由として、住宅ローンを70歳以降まで組んでいることが挙げられるケースは少なくありません。収入が限られる時期にローン返済が重なる構造そのものが、破産リスクを引き上げているのです。

原因3. 医療・介護費用の増大

年齢を重ねるほど、医療費・介護費の負担は増える傾向にあります。70歳代以降は医療費が急増しやすく、介護が必要になれば月9万円前後の費用が想定外の負担としてのしかかることもあるでしょう。

病気やケガで思うように働けなくなり、収入が減ると同時に医療費が増えるという「収入減・支出増」のダブルパンチが、老後破産の典型的な引き金のひとつです。

原因4. 成人した子供への援助(パラサイトシングル問題)

成人した子供が経済的に自立できず、親が生活費や住居費を援助し続けるケースも、老後破産の隠れた原因として挙げられます。

「かわいい我が子のために」という思いから援助を続けた結果、自分たちの老後資金が想定以上に目減りしてしまう——。こうしたケースは表面化しにくいものの、実際には少なくないと考えられています。

原因5. 退職金の運用失敗・詐欺被害

まとまった退職金を手にしたタイミングで、資産運用に挑戦したり、勧誘を受けたりする方は多いでしょう。しかし、十分な知識のないまま高リスクな商品に手を出したり、悪質な勧誘に応じてしまったりすると、老後資金の大半を一度に失うことにもなりかねません。

実は、この「退職金の運用失敗・詐欺被害」こそが、老後破産のなかでもっとも見過ごされやすい原因です。次の章では、老後の資産を狙う詐欺の具体的な手口を詳しく見ていきましょう。

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老後を狙う詐欺・悪質商法の実態

年金生活者の不安や孤独、そして油断につけ込む詐欺は、年々手口が巧妙になっています。代表的な5つのパターンを見ていきましょう。

投資詐欺(未公開株・FX・仮想通貨)

「絶対に儲かる」「あなただけに特別にご紹介」といった言葉で、未公開株やFX、仮想通貨などへの投資を勧誘する手口です。元本保証をうたうものの、実際には出資金の大半が戻ってこず、勧誘者と連絡が取れなくなるケースが後を絶ちません。

金融商品において「絶対に儲かる」「元本保証」とうたうものは、原則として法律違反か詐欺のいずれかと考えてよいでしょう。

※本記事における投資・資産運用に関する記述は一般的な情報提供であり、特定の金融商品を推奨するものではありません。実際の投資判断は、金融商品取引法に基づく登録業者や専門家への相談のうえ、自己責任で行ってください。

リフォーム詐欺(屋根・床下など)

「無料点検」を名目に自宅を訪問し、屋根や床下など普段確認しにくい箇所を調べたうえで「重大な欠陥が見つかった」と不安をあおり、高額な工事契約を迫る手口です。

近年では、匿名・流動型犯罪グループがリフォーム業者を装い、点検と称して家の中に入り込み、資産状況や現金の有無を確認する事例も報告されています。工事の必要性そのものが虚偽であるケースも多く、注意が必要です。

保険の見直し詐欺(高額保険への乗り換え)

生命保険の契約者に対し、「今の保険は損をしている」「もっと有利な商品に乗り換えられる」などと持ちかけ、既存の保険を解約させて得た現金をだまし取る手口もあります。解約返戻金や現金そのものを狙う点が特徴です。

終活詐欺(葬儀・エンディングノート)

終活への関心の高まりに便乗し、葬儀の生前契約やエンディングノートの作成をきっかけに、不要な契約や高額な費用を請求する悪質な事業者も存在します。終活を考え始めたタイミングそのものが、詐欺のターゲットになりやすい瞬間だといえるでしょう。

終活詐欺の具体的な手口や見分け方については、終活詐欺の5つの手口と見分け方|被害にあったらすぐやるべき対処法で詳しく解説しています。

オレオレ詐欺・架空請求

家族や公的機関を装って電話をかけ、「至急お金が必要」「未払い料金がある」などと信じ込ませて現金を振り込ませたり、直接受け取ったりする手口です。手口は年々巧妙化しており、家族の名前や個人情報を事前に把握したうえで電話をかけてくるケースもあります。

詐欺に引っかかりやすい人の特徴と老後破産リスク

詐欺の被害に遭いやすいのは、必ずしも「判断力が衰えた人」だけではありません。むしろ、次のような状況にある方ほど狙われやすい傾向があります。

  • 一人暮らしで相談相手がいない:家族や友人との交流が少なく、悩みを一人で抱え込みがちな方
  • 経済的な不安を抱えている:老後資金の不足を感じ、少しでも増やしたいという焦りがある方
  • 人の話を疑わない性格:親切にされると断りにくく、深く確認せずに契約してしまう方
  • 最新の詐欺手口に触れる機会が少ない:新しい手口の情報が届きにくく、警戒心が働きにくい方

ここで注目したいのは、老後破産のリスクが高い方ほど、詐欺のターゲットにもなりやすいという構造です。年金だけでは生活が苦しく、少しでも資産を増やしたいと考えている方こそ、「絶対に儲かる」という言葉に心を動かされやすくなります。

つまり、老後破産と詐欺被害は別々の問題ではなく、互いに悪循環を生み出す関係にあるのです。だからこそ、老後破産を防ぐ対策と、詐欺を見抜く力を同時に身につけることが重要になります。

詐欺の見分け方「3原則」

手口は多岐にわたりますが、詐欺・悪質商法に共通するサインは、実はそれほど多くありません。次の3つの原則を覚えておくだけで、多くの被害を未然に防げます。

  1. 急かす:「今日中に契約しないと損をする」「今だけの特別価格」など、考える時間を与えずに決断を迫ってくる
  2. 保証する:「絶対に儲かる」「元本保証」「必ず問題は解決する」など、本来ありえない確実性を強調してくる
  3. 一人で判断させる:「家族には内緒で」「他の人には言わないでください」など、相談させないよう仕向けてくる

この3つのうち、どれか1つでも当てはまる話があれば、その場で契約せず、いったん持ち帰る勇気を持ちましょう。信頼できる相手であれば、家族や専門家に相談する時間を嫌がることはないはずです。

※詐欺・悪質商法への具体的な対応(契約の取り消し、返金請求、刑事告訴の可否など)は個別の事情によって異なります。被害の可能性がある場合は、自己判断せず弁護士や消費生活センター、警察にご相談ください。

老後破産を防ぐ4つの柱

老後破産を防ぐには、原因と詐欺リスクの両方を踏まえた備えが欠かせません。ここでは、そのための4つの柱を整理します。

柱1. 健康を維持する

老後破産を防ぐ土台になるのが、実は「健康」です。体が動かなくなれば、働き続けるという選択肢そのものが失われ、医療・介護費用も増加します。収入源の選択肢を狭めないためにも、日頃からの健康維持が老後資金を守る最初の一歩だといえるでしょう。

柱2. できるだけ長く働く・複数の収入源を持つ

年金収入だけに頼らず、再雇用やシニア向けの仕事などで働く期間を延ばすことは、老後破産を防ぐ有効な対策です。年金以外にも、少額からの資産運用や不動産の活用など、複数の収入源を持っておくことで、一つの収入が途絶えたときのリスクを分散できます。

柱3. 金融リテラシーを高める・適切な資産運用

「絶対に儲かる」話に飛びつかないためには、金融の基本的な知識を身につけておくことが重要です。分散投資や長期投資の考え方を理解しておくだけでも、怪しい勧誘への耐性は大きく高まります。

※資産運用には元本割れのリスクが伴います。具体的な商品選びや運用方針については、本記事の内容のみで判断せず、必ずファイナンシャルプランナーなど専門家にご相談ください。

柱4. 家族と疎遠にならない(孤立が詐欺の温床)

そして、意外と見落とされがちなのが「家族とのつながり」です。日頃から家族と連絡を取り合い、資産状況や困りごとを共有できる関係を築いておくことは、老後破産だけでなく詐欺被害を防ぐうえでも極めて重要です。

孤立は、詐欺師にとって最も付け入りやすい隙になります。逆にいえば、家族との関係を保っておくことこそが、もっとも身近で効果的な防御策なのです。

おひとりさまで老後を迎える方が抱えやすいリスクについては、おひとりさまの終活で気をつけたい老後リスクでも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

エンディングノートで資産状況を整理し、家族と共有する

老後破産と詐欺被害の両方に共通する弱点は、「資産の全体像が見えていないこと」です。預貯金・保険・不動産・年金など、資産があちこちに分散していると、本人ですら全体像を把握できず、詐欺の被害に気づくのが遅れてしまうことがあります。

また、資産状況が家族に共有されていないと、詐欺被害が発生しても発覚が遅れたり、そもそも家族が異変に気づけなかったりします。逆に、資産状況を家族と共有できていれば、「最近様子がおかしい」「知らない契約書が届いている」といった小さな変化にも早く気づけるでしょう。

DENは、預貯金・保険・不動産といった資産情報を暗号化した状態でデジタル管理し、必要なタイミングで家族へ安全に共有できるデジタルエンディングノートサービスです。資産状況を整理しておくことは、老後破産の予防だけでなく、詐欺の早期発見・早期対応にも直結します。

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なお、資産を家族へ引き継ぐ際の生前贈与については、生前贈与の7年ルールとは|2024年改正で変わった相続税の持ち戻し期間と対策もあわせてご確認ください。

一人で抱えず専門家に相談する

老後の資金計画や資産運用、そして詐欺への不安は、一人で抱え込む必要はありません。次のような専門家・窓口への相談を検討しましょう。

  • ファイナンシャルプランナー(FP):年金・貯蓄・支出のバランスを踏まえた老後資金計画の相談
  • 弁護士・司法書士:詐欺被害に遭った場合の法的対応、契約の取り消し手続きなど
  • 消費生活センター:怪しい勧誘や契約トラブルについての無料相談窓口
  • 地域包括支援センター:高齢者の生活全般に関する相談窓口

高齢者を狙う消費者被害の具体的な事例や相談件数については、国民生活センターの特集ページでも確認できます。「まだ被害に遭っていないから相談するほどではない」と思わず、少しでも不安を感じた時点で相談することが、老後破産と詐欺被害の両方を防ぐ近道です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 老後破産になりやすい人の特徴はありますか?

年金収入だけで生活費をまかなえていない方、住宅ローンが70歳以降まで残っている方、退職金を計画なく運用・消費してしまった方などは、老後破産のリスクが比較的高いといえます。あわせて、家族や相談相手が少なく孤立しやすい方は、詐欺被害を通じた老後破産のリスクも高まる傾向があります。

Q2. 老後破産の前兆にはどのようなものがありますか?

毎月の家計収支が赤字で貯蓄を取り崩し続けている状態、クレジットカードやカードローンの利用が増えている状態、生活費のために資産運用の話に飛びつきやすくなっている状態などは、老後破産に向かう前兆と考えられます。

Q3. 家族が詐欺の被害に遭ったかもしれません。どうすればよいですか?

まずは本人を責めずに状況を確認し、契約書や振込記録などを確認しましょう。そのうえで、消費生活センターや警察、弁護士など専門家へ早めに相談することをおすすめします。クーリングオフや契約取り消しが可能な場合もあるため、時間が経つほど不利になりやすい点に注意が必要です。

Q4. 「絶対に儲かる」と言われた投資話は、どう判断すればよいですか?

金融商品において元本保証や絶対に儲かるという説明は、原則としてあり得ません。「急かす」「保証する」「一人で判断させる」のいずれかに当てはまる場合は、その場で契約せず、家族や専門家に相談してから判断しましょう。

Q5. 老後破産を防ぐために、今すぐ始められることは何ですか?

まずは家計収支を見直し、収入と支出のバランスを把握することから始めましょう。あわせて、資産状況を一覧にして整理し、家族と共有しておくことも有効です。エンディングノートなどを活用して資産の全体像を可視化しておくと、将来の対策も立てやすくなります。

Q6. 相談窓口がわからない場合、どこに連絡すればよいですか?

お住まいの自治体の消費生活センター、または地域包括支援センターが窓口となります。全国共通の消費者ホットライン「188(いやや!)」に電話することで、最寄りの相談窓口を案内してもらうことも可能です。

まとめ|老後破産と詐欺被害はセットで備える

老後破産は、年金収入の不足や住宅ローンの長期化、医療・介護費の増大といった構造的な要因に加え、退職金の運用失敗や詐欺被害によって一気に進行することがあります。自己破産件数が過去最高水準に達し、60代・70代の割合が高まっている今、決して他人事ではありません。

一方で、健康の維持、長く働くこと、金融リテラシーの向上、そして家族とのつながりという4つの柱を意識することで、老後破産のリスクは着実に減らせます。特に「家族と疎遠にならない」という視点は、老後破産だけでなく、詐欺の温床になりやすい孤立を防ぐうえでも重要な対策です。

そして、詐欺を見抜くうえで覚えておきたいのが「急かす」「保証する」「一人で判断させる」という3原則です。この3つに当てはまる話には、必ず一呼吸置いて、家族や専門家に相談してから判断しましょう。

資産状況を整理し、家族と共有しておくことは、老後破産の予防にも詐欺の早期発見にもつながります。DENでは、資産情報を安全にデジタル管理できるエンディングノートサービスのモニターを募集しています。ご自身とご家族の老後を守るための一歩として、モニター募集の詳細をぜひご確認ください。


参考:日本経済新聞「個人の自己破産、12年ぶり高水準 物価高・賃金低迷で借り入れ拡大」/日本弁護士連合会「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査」/総務省「家計調査」/国民生活センター「高齢者の消費者被害」

監修:本記事は終活・資産管理分野の専門家監修のもと、公的機関・報道機関の公表情報を参照して作成しています。統計数値は作成時点のものであり、最新のデータとは異なる場合があります。

最終更新日:2026年7月17日

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